不動産の売買契約書に収入印紙を貼る理由と消印の正しい方法とは

不動産の賃貸仲介では馴染み薄いですが、売買では当たり前に登場する収入印紙、最初その扱いがよく分からず戸惑いませんか?

でもこの記事を読めば、そんな収入印紙の基本事項が押さえられます!

この記事では、印紙税と収入印紙や消印について、売買初心者の方向けにわかりやすくご説明します。

是非収入印紙の基本を押さえ、売買契約本場の緊張を少しでも軽減しましょう!

では、どうぞ。

目次

売買契約書に収入印紙を貼り付ける理由

私たちは様々な経済取引の場面で、契約書や領収書を扱いますよね。

そして我が国では、そういう文書に印紙税という税金が課税される場合があります。

印紙税が課税される文書のことを課税文書と言います。

そして不動産の売買契約書は、この課税文書に当たります。

よって不動産売買契約書に収入印紙を貼り付け、印紙税を納付するわけです。

【重要】収入印紙に印鑑を押す理由

売買契約書に収入印紙を貼り付けたら、その後印鑑を押しますよね。

何故だか分かりますか?

理由は主に2つあります。

下記の通りです。

収入印紙に印鑑を押す2つの理由

理由の1つ目は、使い回しを防止するためです。

収入印紙を貼り付けた後、何も施さなかったら、貼り付いた印紙を剥がしてまた使われてしまう恐れがありますよね。

よって貼り付けた収入印紙に印鑑を押し、そういう使い回しを防止するわけです。

切手と同じですね。

2つ目は、誰が印鑑を押したかわかるようにするためです。

そのためにも印鑑は、契約書と収入印紙に跨がるように、かつ収入印紙の模様のところに掛かるように、くっきり押す必要があります。

割印でなく消印

契約書に貼り付けた収入印紙に印鑑を押す行為を何と言うかご存じですか?

消印と言います。

勘違いされがちなようですが、割印ではないです。

ちなみに私たちが出した葉書や手紙の切手に、郵便局がハンコを押すのも消印と言いますよね。

それと同じです。

消印はボールペン等による署名でも可

さてそういう消印ですが、実は印鑑でなくてもOKなのをご存じですか?

消印する理由の1つは、使い回しの防止でしたよね。

よってボールペン等で署名するのもOKとされています。

契約名義が法人でしたら、その名称をボールペン書きするのもOKとされています。

使い回しを防ぐためなんだから、「二重線」とか「レ点」などでも良さそう、って思いますよね。

でもこれらはNGとされています。

消印の理由の2つ目に、「誰が消印したか分かるようにする」というのがありましたよね。

「二重線」や「レ点」では、誰がしたか分からないからです。

なお鉛筆など、簡単に消し落とせるのもNGとされています。

消印することができる者

消印はその収入印紙を購入して貼り付けた者、不動産の売買契約書であれば、売主様と買主様が行うのが一般的です。

だからと言って契約書1通ごとに、売主様と買主様双方の消印(1通につき消印2個)が必須かというと、そうではありません。

どちらか一方でもOKとされています。

双方が、自ら保有する1通のみに消印してもOKです。

また2通とも売主様、あるいは2通とも買主様というのもOKです。

この場合、一方は相手方が消印した契約書を保有することになりますが、特に問題ありません。

この辺りのことは、持ち回り契約の場合など、知っておくと良い場合があったりします。

また作成者以外に、代理人、使用人、法人の従業者も消印していいことになっています。

ここで押さえておきたいのは、法人の従事者でも良いという点です。

例えばその契約当事者の一方が、勤務先の法人というケースがあり得ます。

いわゆる自ら売主、あるいは自ら買主というケースです。

そういう場合、消印は会社の印鑑でなく、ご自分の印鑑で良いわけです。

ご自分の署名でも構わないとされています。

この点も持ち回り契約の場合など、知っておくと良かったりします。

印紙税の納税義務が発生するタイミングと納税義務者

不動産売買に携わってみると、印紙税の納税義務発生のタイミングが売買契約締結時である点、またその納税義務者は売主様及び買主様である点は、何となく感覚的に分かりますよね。

この辺り、法律的にはどうなっているのでしょう?

この項では少々硬いかもしれませんが、印紙税法における、印紙税の納税義務発生のタイミングと、納税義務者の規定について、確認しておきます。

納税義務が発生するタイミング

まず納税義務発生のタイミングですが、印紙税法では、「印紙税の納税義務は、課税文書の作成によって発生する」とされています。

これだけ読むと、「えっ!仲介業者が売買契約書を作ったら納税義務が発生?」と思ってしまいそうですよね。

でもそうではありません。

ここで言う「作成」とは、「売買契約書という課税文書を、契約当事者の意思の合致を証明するために行使すること」を言います。

この中の「意思の合致を証明する」とは、売主様と買主様双方が記名・押印することを指します。

私たち仲介業者が契約書を作っただけでは「意思の合致の証明」になりませんし、売主様と買主様の一方だけが記名・押印しても「意思の合致の証明」になりません。

「双方」がポイントです。

整理しますとここで言う「作成」とは、売主様と買主様双方が記名・押印を完了することを言い、このタイミングに印紙税の納税義務が発生するというわけです。

納税義務者は課税文書の作成者

では印紙税法では、印紙税の納税義務者について、どのように定めているでしょう?

印紙税法では納税義務者を「課税文書の作成者」と定めています。

これも捉え方は上記と同じです。

「課税文書の作成って、仲介業者のこと?」と感じますが、そうではありません。

不動産の売買契約書という課税文書の「作成」とは、売主様と買主様双方が記名・押印することでしたよね。

よってここで言う「作成者」とは、「作成」する者、すなわち売主様と買主様を指します。

よって納税義務者は、売主様と買主様になります。

印紙税額(収入印紙代)とそれに関する注意点2つ

ここで不動産の売買契約における、主な印紙税額(収入印紙代)を確認しておきましょう。

印紙税額(収入印紙代)

それぞれの契約金額に対する印紙税額(収入印紙代)は下記の通りです。

●(契約金額)500万円を超え1000万円以下のもの→(収入印紙代)5000円

●(契約金額)1000万円を超え5000万円以下のもの→(収入印紙代) 10000円

●(契約金額)5000万円を超え1 億円以下のもの→(収入印紙代) 30000 円

ここで押さえておきたい点が2点あります。

以下の通りです。

不動産の売買(譲渡)は軽減措置の対象

まず1点目は、それぞれの印紙税額(収入印紙代)は、軽減措置が施されているという点です。

軽減措置の対象でない場合(「本則」というそうです)、上記の額の倍額になります。

軽減措置理由は、その契約が売買(印紙税法では「譲渡」という言葉を用いています)だからです。

従って不動産に関する契約書であっても、それが売買(譲渡)に当たらない場合、本則のほうになる可能性があります。

とは言え、そこまで神経質になる必要はありません。

現時点(令和3年9月)においては、不動産の「売買」契約書であれば、軽減措置対象という解釈で間違いありません。

令和4年3月31日までという期限あり

2つ目は上記の内容は、現時点(令和3年9月)においては、令和4年3月31日までに作成された契約書について、とされている点です。

それ以降に作成される契約書については、変更となる可能性がある点、注意しましょう。

収入印紙を貼り付けなかった場合、消印しなかった場合

このような印紙税ですが、万が一収入印紙を貼り付けなかった場合、どうなるでしょう?

その場合、納付しなかった印紙税額と、その2倍相当の金額との合計額(=印紙税額の3倍)の過怠税が徴収されます。

また印紙は貼り付けたけど、消印しなかった場合、消印されていない印紙と同じ額の過怠税が徴収されます。

気をつけましょう。

一方の売買契約書をコピーとし、印紙税納付を一方のみとすることについて

これまで見てきた通り、不動産の売買契約においては、契約書を2通作成し、1通を売主様、もう1通を買主様が保有します。

しかし中には、原本を一方だけとし、もう一方をコピーとする場合もあると思います。

そうすることの主たる目的は、通常2通それぞれに必要な収入印紙を、1通の原本のみとすることだと思います。

コピーは課税文書に当たらないとされているため、納税義務は発生しないとされていることによります。

この手法を用いること自体は、双方が同意し、かつ正しく用いれば特段問題無いとされています。

ただし万が一法的な争いになってしまった場合、コピー側が不利になる可能性があるそうです。

この手法を用いる場合は、当事者様にしっかりそのリスクをご説明する必要があると言えそうです。

また場合によっは、どちら側をコピーにするかで揉めるケースもあるようです。

この分野に造詣の深い方々の中には、引渡し後の保有契約書の必要度合いから、売主様をコピー、買主様を原本とするのが適切とご教示くださる方々がいらっしゃるようです。

しかし一方で、買取を積極的に行っている宅建業者様などは、自分達(買主側)がコピーを保有するのが通例であると認識していたりします。

そもそも印紙税の納付を適法に回避できるのであれば、「当方こそコピーで行きたい」とお思いになる当事者様は、多いと思います。

よって互いに「こっちがコピー」という要望で揉める可能性があります。

仲介業者としてはその点に留意し、双方の合意を充分に得たうえで用いる必要があると言えそうです。

なお公益財団法人不動産流通推進センターは、過去に「売買契約書は、売主・買主双方が保有すべき」との見解をお示しになっています。

印紙税は国税、問い合わせ等は最寄りの税務署に

印紙税は国税になります。

最新の収入印紙代の確認や、その他確認・質問等の問い合わせ先は、最寄りの税務署になります。

市役所の税務署や都道府県税事務所ではない点、注意しましょう。

まとめ

いかがでしたか?

売買契約書に収入印紙を貼り付けるうえでの様々なポイントが、ご確認頂けたと思います。

最後にもう一度、内容を確認しておきましょう。

□収入印紙

不動産の売買契約書は課税文書。

収入印紙を貼り付け、印紙税を納付しなければならない。

□消印のポイント

・契約書と収入印紙に跨がって、かつ収入印紙の模様に掛かるように消印する。

・消印は署名でも良い。

・不動産の売買契約書に貼り付けた収入印紙への消印→売主もしくは買主のいずれか一方でも可。

・作成者以外に、代理人、使用人、法人の従業者も消印できる。

□印紙税の納税義務発生のタイミング

課税文書の作成によって発生。

□印紙税の納税義務者

作成者→不動産の売買契約においては売主及び買主。

□印紙税額(収入印紙代)

5000円/10000円/30000円 等

*令和4年3月31日までに作成された契約書

□過怠税

・納付しなかった場合→印紙税額の3倍

・消印しなかった場合→消印されていない印紙と同じ額

□一方をコピーとする手法

・適法に印紙税を回避→用いる際はリスクをしっかり説明する必要あり。

・(公財)不動産流通推進センターは「売主・買主双方が保有すべき」との見解。

□印紙税の問い合わせ先

最寄りの税務署

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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