【不動産】信託受益権売買とは?その概要と宅建業法との絡みを解説

宅建の試験勉強で過去問を解いている時に、「信託受益権」という言葉を目にして焦った経験はありませんか?

不動産会社で賃貸なり売買なりの営業をやっていても、信託受益権という言葉を耳にすることは、あまりありませんよね!

信託受益権とは、一体何なのでしょう?

この記事では、不動産取引における信託受益権売買について、極めておおまかですが、分かりやすくご説明します。

なお信託受益権は、宅建業法でも少し出てきます。

この記事では、その点についてもご説明します。

では、どうぞ。

(注)

この記事では、委託者と受益者が同一、かつ信託財産が不動産の場合についてのみ言及します。委託者と受益者が異なる場合、または信託財産が不動産以外の場合ついては言及しません。

目次

そもそも信託とは

不動産の信託受益権売買の概要を押さえる前に、まずは信託そのものについて、見ていくことにしましょう。

信託の概要

そもそも信託とは、どういうものでしょう?

財産を多く持っているいわゆる資産家の方々は、実はそれなりに色々大変だったりします。

不動産を多く所有する不動産オーナー様方について言えば、収益物件を適切に維持管理する必要もありますし、節税対策のために、物件を適切なタイミングで売却・買い換えする必要もあったりします。

更には、それに伴う煩雑な諸手続きも付いて回ります。

不動産を多く所有するオーナー様方をはじめ、資産家と言われる方々は、できれば信頼できる他者に、それらの管理や処分等を、包括的におまかせしたいところでしょう。

そこで登場するのが信託です。

信託とは、財産を持っている方が、その財産の管理や処分等を、信頼できる他者に包括的に委託することを言います。

財産が不動産である場合について言えば、不動産オーナー様方が、その不動産の維持管理(管理)、売却や買い換え(処分)、並びにそれに伴う諸手続きを、信頼できる他者におまかせすることを、信託と言います。

信託における信託財産・委託者・受託者

信託においては、それぞれの立場の者について、明確な定義付けがされています。

信託の対象となる財産を信託財産、その財産の管理処分等を委託する側の者を委託者、委託を受ける側の者を受託者と言います。

例えば不動産オーナーが、信託銀行に不動産を信託を委託した場合は、下記の通りとなります。

・信託財産:不動産

・委託者:不動産の当初のオーナー

・受託者:信託銀行

信託財産の所有権者は受託者

ところでこの不動産信託ですが、見方によっては、不動産会社による手厚いサービスの不動産管理と、大差無いように感じますよね。

不動産の管理に強い不動産会社も、物件オーナー様から物件の維持管理や、売却や買い換え、更には節税に関するご相談などを承るところもあります。

果たして不動産の信託は、これら不動産会社が委任を受けて行う維持管理や処分の代理・媒介と何が違うのでしょう?

実は、決定的に違う点が幾つかあります。

そしてその1つが、所有権です。

不動産会社がこれら委任を受けて管理業務を行う場合、その不動産の所有権はオーナー様になります。

ところが信託は、そうではありません。

信託においては、その所有権は受託者に帰属します。

信託を受託した受託者は、その財産の所有権を得て管理・処分等を行うことになります。

信託の受託者は信託法等に基づく様々な義務を負う

財産の所有者は通常、その財産について強い権利を有します。

その財産から生じる利益は通常、その所有者が優先的に享受できます。

ところがその所有権が、信託の受託に基づく場合、そういうわけには行きません。

もし信託の受託者が、自分達の利益だけのために好き勝手にその財産を扱い出したら、大変なことになってしまいます。

信託の受託者には、主に信託法という法律によって、様々な責任や義務を負うことになります。

所有者だからといって、信託財産を勝手に扱うことはできません。

○受託者は信託財産を信託目的に則って管理・運用しなければならない

信託は通常、委託者を登記義務者、受託者を登記権利者として登記されます。

そして信託には、通常の登記情報だけでは収まりきらない様々な大切な事項が伴うため、一緒に信託目録というものが作成されます。

その信託目録に「信託目的」という欄があります。

文字通り当該信託の目的が、記録される欄です。

すなわち信託においては、その目的が決められ、それが登記されることになるわけです。

信託の受託者は、その信託目的に則って信託財産を管理・運用しなければならないことになっています。

信託における受益者と受益権について

ここまで信託について、主に委託者と受託者をベースにご説明して参りました。

この項ではもう1つ、受益者についてご説明します。

ただしこの記事においては、受益者=委託者と捉えて頂いて大丈夫です。

信託における受益者とは、受託者が信託財産を管理・運用することで生み出される利益を、享受することができる権利を有する者のことを言います。

この記事で扱う信託のスキームにおいては、委託者がその権利を有しますので、委託者=受益者になります。

実は信託においては、受益者が委託者でないスキームも多く存在するとされています。

そして信託そのものを的確に捉えるには、実は委託者と受益者が異なるスキームを、深く正しく理解する必要があるようです。

しかしその辺りについては、金融関連の他の解説書等にお譲りすることとし、この記事での言及は控えることとします。

なお、受益者の地位に基づく権利のことを受益権と言います。

繰り返しになってしまいますが、この記事で扱う信託については、委託者が受益者に当たります。

よって受益者である委託者が、受益権を有することになります。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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