【宅建】市街化調整区域の開発許可を受けた開発区域以外の区域内とは

宅建のテキストに出てくる「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉、意味分からな過ぎて、できたらスルーしたいと思いませんか?

でも過去問見たら、ちょくちょく出題されてるみたいだし…。

本当、宅建受験生泣かせの言葉ですね。

今回、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉を的確に捉える、この1点だけにフォーカスした記事をご用意しました。

この記事では、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」を、3つのことを手掛かりに探っていきます。

きっとお役に立てると思います。

早速参りましょう!

目次

「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」を、「まるごと」かつ「適切に」捉えるべき理由

宅建参考書の開発許可制度のところ、ただでさえ難しいですよね!

ほとんどの参考書の開発許可制度の箇所は、以下の2つの内容で構成されていると思います。

1.開発許可申請から完了公告までの流れ

2.開発許可に関する建築制限の内容

このうちの2つ目のほうに、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉が出て来ますよね。

幾多の苦難を乗り越えてやっと開発許可制度のゴールが見えてきた矢先のこの言葉、本当に宅建試験受験者泣かせですよね!

この言葉、一体どこを指し示しているのでしょう?

と申しますか参考書だったら、もっと分かり易い言葉を用いてほしいですよね!

ではなぜ、わざわざこのような分かりづらい言葉を用いるのでしょう?

実は参考書によっては、もっと簡素化した言葉を用いている場合もあるようです。

でも本当のことを申しますと、この「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉は、簡素化せずにまるごと捉える必要があるんです。

と申しますのも、この言葉が本番試験にまるごと出題される可能性が少なくないからです。

ではなぜそう言えるのでしょう?

それはこの言葉が、都市計画法の第43条の第1項というところの言葉そのままだからです。

つまりこの言葉は、宅建参考書を編集された方々が、読者向けに構築した言葉ではないんです。

法律の言葉そのものなのです。

よって宅建試験にも、そのまま出題されてもおかしくない言葉と言えるわけです。

もしかしたら宅建試験受験予定者様の中には、この言葉を簡素化した参考書のほうをお持ちの方もいらっしゃると思います。

その場合、この「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という何とも分かりづらい言葉を、ご覧になったことが無いかもしれません。

でも宅建試験には出題される可能性があるわけです。

本番でタイムリミット目前だったりする時に、初めてこの言葉を目の当たりにしたら、慌ててしまいそうですよね。

またあるいは、お手元の参考書にガッツリ記載されていたとしても、何とも分かりづらい言葉ですよね。

以下にこの「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉について、3種類のご説明を用意しました。

きっとこの言葉を「まるごと」かつ「適切に」ご理解頂けると思います。

以下に一緒に見て参りましょう!

市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」を捉えるためのアプローチ3つ

3種類のご説明とは下記の通りです。

○言葉の対比によるアプローチ

○視覚イメージによるアプローチ

○具体的事例によるアプローチ

では順番に見て参りましょう!

(注)

この記事は、市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」についてのみ言及しております。市街化区域については言及しておりません。

言葉の対比による「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」へのアプローチ

本当に分かりづらいこの「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉ですが、慎重に参考書を読んでいると、ある言葉と対比されて説明されていることに気付きませんか?

「開発許可を受けた開発区域内」という言葉です。

これが大きなヒントかと思います。

仮に「開発許可を受けた開発区域内」をAとしますと、それと対比的に扱われる「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉は、「A以外の区域内」と表せそうですね。

つまり「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」とは、「開発許可を受けた開発区域でない区域」ということのようです。

ただしこのように言葉にしてしまうと、いわゆる「説明のための説明」の悪い例になってしまっていますね!

ここでは「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」は、「開発許可を受けた開発区域以内」という言葉と対比的に扱われる言葉で、仮に「開発許可を受けた開発区域内」をAとすると「A以外の区域内」と表せる、と捉えておくことにしましょう。

視覚イメージによる「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」へのアプローチ

さて次は、視覚イメージを頼りにアプローチしてみましょう!

まず最初に1つだけ、イメージして頂きたいアイテムがございます。

追突で恐縮ですが、「日の丸の旗」です。

その日の丸の旗が床に広がっているイメージを、思い描いてみて頂けますでしょうか。

そして「市街化調整区域」と「開発許可を受けた開発区域内」を、それぞれ以下のように指定するとします。

・「市街化調整区域」=日の丸の旗
・「開発許可を受けた開発区域内」=日の丸の赤い円の部分

さてこの場合、問題としている「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」とは、どこになるでしょう?

もうお分かりですよね。

日の丸の白い部分です。

市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」とは、市街化調整区域(日の丸の旗)において、「開発許可を受けた開発区域内(赤い円の部分)」を差し引いたところ(白い部分)を指し示す言葉なんですね!

具体的事例による「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」へのアプローチ

では続いて、具体的事例を頼りにアプローチしてみましょう!

例えばある工務店が、20戸から30戸ぐらいの新築戸建用地を探しているとします。

そしてたまたま、郊外に広くて良い土地を見つけたとします。

その工務店は、その土地を慎重に調整しました。

まずは自分たちがやろうとしている計画をその土地でやる場合、開発許可が必要かどうか、その行為が開発行為に当たるかどうかの調査です。

その土地があるのは市街化調整区域でしたが、幸い平坦で綺麗な土地だったので、大規模な盛土や切土は発生しません。

この工務店がさらに慎重に調査を進めた結果、自分たちがやろうとしている計画をこの土地でやるのに、開発許可は必要ない、開発行為に当たらないことが明らかになりました。

さてここで、新たに別の疑問が浮上して参りますよね!

果たしてこの工務店は、この土地上に建築物を建築できるのでしょうか?

幸い開発許可は不要であることは確認できました。では建築行為も制限されることなく出来るのでしょうか?

実はこのようなケースで確認されるべき制限こそが、市街化調整区域の「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」における建築制限になります!

このことから分かるように、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」とは、「建築物の建築や特定工作物の建設を行おうとするも、開発行為を要しないところ」を指し示す言葉であるわけです。

市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の建築制限

ここまでで、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉が指し示すところは、市街化調整区域においては、下記のところであることが確認できましたね!

「そこは『開発許可を受けた開発区域内』と対象的なところで、建築物の建築や特定工作物の建設を行おうとするも、開発行為を要しないところであり、市街化調整区域を日の丸の旗、『開発許可を受けた開発区域内』を赤い円の部分に例えると、白い部分のところ」

では以下に、ここに定められた建築制限、市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の建築制限について、原則と例外に分けて記載しておきますね。

宅建参考書でお馴染みの事項でご存じの方も多いと存じますが、大切なので確認しておきましょう!

【原則】

「都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更・第1種特定工作物の新設はできない」

【例外】

「ただし、農林漁業用建築物・公益上必要な建築物(駅舎・図書館・公民館・変電所等)・都市計画事業の施行として行う建築物の建築については許可不要」

まとめ

いかがでしたか?

「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉は、どこを指し示しているか非常に分かりづらいですが、一度押さえてしまえば後が楽ですよね!

是非この言葉を「まるごと」かつ「適切に」押さえ、難所の開発許可制度を仕上げてしまいましょう!

最後にポイントをまとめておきます。

□「まるごと」かつ「適切に」押さえるべき理由

「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」は、都市計画法そのままの言葉。よってそのまま宅建試験に出題される可能性あり。

□言葉の対比によるアプローチ

「開発許可を受けた開発区域内」をAとした場合の「A以外の区域内」

□視覚的イメージによるアプローチ

市街化調整区域を日の丸の旗、「開発許可を受けた開発区域内」を赤い円の部分とした場合の白い部分

□具体的事例によるアプローチ

建築物の建築や特定工作物の建設を行おうとするも、開発行為を要しないところ

□市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の建築制限

【原則】都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更・第1種特定工作物の新設はできない

【例外】農林漁業用建築物・公益上必要な建築物(駅舎・図書館・公民館・変電所等)・都市計画事業の施行として行う建築物の建築については許可不要

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 市街化調整区域における「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の建築制限の項の【原則】で「都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更・第1種特定工作物の新設はできない」とありますが、第2種特定工作物の新設は許可を要しないのでしょうか。

    • この度はコメントありがとうございます。また回答が遅くなり申し訳ありません。
      投稿者様のご質問内容について、私自身も認識が曖昧でしたので、色々調べてみました。
      「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」については、都市計画法第43条で定められていますが、第2種特定工作物については、何ら言及されておりませんでした。
      よって第2種特定工作物は、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の規制の対象外と捉えて良いようです。
      とは言え実務においては、その計画が第2種特定工作物のみのつもりであっても、小規模建築物(例えばトイレ)等を混在させてしまっている場合があったりするようですので、役所と協議しながら、慎重に計画を進めるのが望ましいようです。
      頂いたご質問を通じて、私も都市計画法の理解を深めることができました。
      ありがとうございました。

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