開発許可制度の「公共施設」とは?現役宅建士がわかりやすく説明

独学で宅建の勉強をしていると、開発行為とその許可制度のところで挫折しそうになりませんか?

もしそういう状況でしたら、一度だけ立ち止まって、この記事を読んで頂きたいです。

この記事では、開発行為とその許可制度について、参考書の字面だけでは間違って捉えかねない2つのことを、超初心者の方向けにご説明します。

この記事の内容は、もしかしたら宅建の講義等を受講されている方には有益でないかもしれません。

なぜなら、講師の方が類似のご説明をなさっているかもしれないからです。

でも独学の方には、きっとモヤモヤが晴れ、宅建参考書の理解がグッと進むきっかけになると思います!

早速参りましょう。

目次

開発行為と開発許可制度において、実は正しい意味を捉えづらい重要用語2つ

それにしても開発行為とその許可制度のところ、本当に難しいですよね。

一体何が、この箇所をこうも難しくしているのでしょう?

実はここのところは、現場で活躍する有資格者の方々にも「あれ、何か取り違えてるな!」と感じさせる方々が少なくないんです。

もちろん、開発行為を何度も経験済みの方はそんなことはありません。

でもいわゆる、地域密着型の総合不動産会社に勤務する方々の多くは、開発行為に関する業務以外の業務がメインだったりします。

きっと宅建の試験勉強で習得した開発行為に関する知識が、補足修正されないまま日常業務をされているのでしょう。

そういう方々の話をよくよく聞いてみると、ある2つの重要用語を間違って理解されていることに気付かされます。

その2つの重要用語の1つ目は、何を隠そう「開発行為」です。

あともう1つは「公共施設」です。

きっと只今宅建勉強中の方々、とりわけ独学の方々の中にも、類似の方がいらっしゃるように思います。

これらの言葉を間違って捉えてしまうと、その先の理解がなかなか進まなくて凄いストレスだと思います。

以下にこれらの言葉の適切な意味を、一緒に探って参りましょう!

都市計画法の「開発行為」とは

開発行為と聞いて、どういう光景をイメージしますか?

高層ビルの工事現場で、大型クレーンが鋼材を引き上げている光景ですか?

あるいは、20戸とか30戸の住宅用地に建築中の家があって、ここかしこから大工さんが打つカナヅチの音が聞こえてくるイメージでしょうか?

実はこれ、2つとも開発行為ではないんです。

開発行為とは、ブルドーザーで土をならしたり、ダンプカーで残土を運びだしたりするイメージなんです。

何を申し上げたいのか?

実は開発行為とは、土地をいじる行為であって、建物等を建てる行為ではありません。

開発行為で扱うもの、それはあくまで土地なんです。

だから是非、建物等ウワモノのことは一旦忘れましょう!

確かに、土地を扱う目的は建物等を建てることです。

つまり開発行為とは、建物等を建てる目的で土地をいじる行為です。

いきなりで恐縮ですが、借地借家法の借地がございますよね。

あれも目的は建物を建てることですが、借地自体は土地ですよね!

開発行為もあの感じに似ています(稚拙な表現ですみません)。

ウワモノは関わってきますが、扱う対象はあくまで土地です。

今「ウワモノ」という、極めてアバウトな言葉を使用させて頂きました。

開発行為で言うウワモノが何かは、宅建の参考書等の記載の通りです。

建築物あるいは特定工作物です。

ただし繰り返しになってしまいますが、開発行為は、あくまで土地いじりの工程が終われば完了となります。

開発行為の工事工程表にウワモノを作る工程は登場しません。

宅建の参考書の開発許可制度の箇所をお読み頂けば分かりますが、工事完了前にウワモノを絡めて認識してしまうと、「工事完了の公告」以降が理解できなくなります。

宅建参考書の開発行為とその許可制度の箇所を読み込む際は、是非「ブルドーザーのガガガッ」をイメージし、「開発行為は土地いじり」であることを念頭に置いて読むようにしましょう!

開発許可制度における「公共施設」とは

宅建の参考書の開発許可制度のところを読んでいると、「公共施設」という言葉が出てきますよね。

そしてそこには、概ね下記の2つのような記載があると思います。

1.開発許可を申請しようとする者は、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

2.開発許可を申請しようとする者は、開発行為により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。

(注)参考書によって違いがあると思いますが、概ねこのようなことが書かれていると思います。

以下にこの「公共施設」を明らかにして参りましょう!

開発許可制度における公共施設とは具体的に何か

さてここで言う公共施設とは、具体的に何のことでしょう?

一般的に公共施設というと、公民館や図書館などをイメージしますよね。

仮に公民館だとするとどうでしょう?

「公民館を建築するための開発行為では、それを管理することとなる者と予め協議してくださいね」ということでしょうか?

でもちょっと待ってください。

開発許可制度においては、公民館を建築するための土地いじり(=開発行為)は、そこが市街化調整区域だったら、駅舎や図書館や変電所等と同様に、開発許可は不要でしたよね。

もしかしたら公民館の建築を目的とする開発行為は、市街化調整区域内だったら許可不要だけど、市街化区域内だったら開発許可制度に則って、許可申請→許可→完了公告という流れで進む、ということなのでしょうか?

でもこれもちょっとおかしいですよね。

市街化区域は1000㎡越えが対象です。

市街化区域で1000㎡越えの土地いじり(=開発行為)を要する公民館!

随分大きな公民館ですよね。

1000㎡越えの公民館も市町村によってはあるかもしれませんが、きっとレアケースに違いありません。

そのようなレアケースのために、わさわざ主要規定を設けるでしょうか?

何だかだんだん苦しくなってきました。

公共施設には公民館や図書館等とは異なる、何か別の意味はないものでしょうか?

考えてみるとありますね。

道路・下水道・水路等です!

そうです!

ここで言う公共施設とは、実はこれら道路や下水道や水路等のことなんです。

いわばインフラですね。

都市計画法の第4条の第14項に見る、開発許可制度における公共施設

開発許可制度を定めている法律は都市計画法ですが、その第4条の第14項に公共施設に関する下記のような記載があります。

「この法律において『公共施設』とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう」

ちゃんと定めがあるんですね!

そして都道府県や政令指定都市では、この定めに基づき、開発許可制度における公共施設を道路、下水道、公園、河川、運河、水路等としていたりします。

開発許可制度における公共施設とは、道路、下水道、公園、河川、運河、水路等なんですね!

覚えておきましょう。

開発許可制度における公共施設は、開発行為の主要目的物ではない

ここまでで、開発許可制度における公共施設が、道路、下水道、公園、河川、運河、水路等であることは分かりました。

とは言え、やっぱりまだしっくり来ませんよね。

開発行為とは、建築物あるいは特定工作物を建築・建設する目的で行われる土地いじりでしたよね。

道路や水路って、建築物でしょうか?

違いますよね。

では特定工作物でしょうか?

これも違います。

一体どういうことでしょう?

ここでもう一度、土地いじり(=開発行為)の現場を、今度は少し細部までイメージしてみましょう!

例えば市街化区域にある空地をいじって、20区画とか30区画の戸建用地を作るイメージをしてみることにしましょう。

すると宅地と宅地の間に、道路が通っている光景が浮かんできませんか?

考えてみればこれらの戸建用地は、それぞれ建築基準法の道路に有効に接する必要がありますよね。

そうでなければ接道義務を満たせませんから。

やっと繋がりました!

実はこの道路こそ、ここで言う公共施設なのです!

つまりここで言う公共施設とは、開発行為の主要目的物のことではないんです。

主要目的物は、あくまで土地いじり後に建築される家々ですよね。

それに対して道路は、あぐまで副次的な施設です。

開発許可制度における公共施設とは、開発行為の主要目的物でなく、副次的施設である点を、しっかり押さえておきましょう!

公共施設の管理者との協議やその同意について

ここまでで、開発許可制度における公共施設が、開発行為の主要目的物でない副次的な道路、下水道、公園、河川、運河、水路等であることが分かりました。

そこでもう一度、宅建の参考書等に登場する、開発許可制度の公共施設2つを、1つづつ確認してみることにしましょう。

公共施設の管理者との協議やその同意について

1つ目は、以下のような記載内容でしたね。

「開発許可を申請しようとする者は、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない」

ここでの公共施設とは、既設の(もうすでに存在している)公共施設です。

再び上記の1000㎡越への20区画とか30区画の戸建用地を例に見てみましょう。

この用地に例えば、市が管理する1本の水路が通っていたとします。

そして「開発行為を申請しようとする者」は、その水路に蓋をしたいと考えていたとします。

1つ目の記載内容の定めが適用されるのは、このような場合なんです!

「開発行為を申請しようとする者」は、その水路に勝手に蓋をするわけにはいきませんよね。

管理者である市からすると、勝手に工事されて水路を塞がれでもしたら大変です。

したがって蓋をすることについて、管理者である市と協議する必要があるわけです。

そしてその上で、市に同意を得なければならない、というわけです。

公共施設を管理することとなる者との協議について

2つ目は、以下のような記載内容でしたね。

「開発許可を申請しようとする者は、開発行為により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない」

1つ目が既設の公共施設について言っているのに対し、この2つ目は、新たに設置される予定の公共施設について言っています。

上記の戸建用地の例で言えば、道路がこれに当たります。

また「公共施設を管理することとなる者」とは、ここでは市のことです。

開発許可を申請しようとする者は、開発行為によって新しく設置されることになる道路について、あらかじめ市と協議しなければなりませんよ、ということです。

なお参考書によっては、新たに設置された公共施設について、下記のような記載内容を設けている場合もあると思います。

「開発行為により設置された公共施設は、工事完了の公告の日の翌日に市町村の管理となる」

ここは、新たに設置された公共施設が、いつから市町村の管理になるかが定められています。

開発行為はその工事が終わったら、工事完了の届出→検査済証の交付→工事完了の公告というように進行していきますよね。

新たな公共施設を市町村が管理することになるのは、「工事完了の公告の日の翌日」からということです。

上記の戸建用地の道路の例で言えば、道路は工事が終わってすぐに市の管理になるわけでなく、工事完了の公告の日の翌日から管理になりますよ、ということです。

開発行為に出てくる特定工作物について

以下は参考までです。

余裕のある方だけお読みくださいね!

宅建の参考書の中で唯一、開発行為とその許可制度の箇所にだけ、特定工作物という言葉が出てくると思います。

この特定工作物について、2点だけ補足しますね。

まず特定工作物は建築物ではないです!

だから特定工作物を「建築する」とは言いません。

参考書等をご確認頂けたら分かりますが、「建設する」になっていると思います。

また、宅地建物取引業法で言う「建物」でもありません。

したがって例えば、特定工作物の売買や賃貸を仲介しても、宅建業法の制限は受けません。

まとめ

いかがでしたか?

宅建の試験範囲の中で、この開発許可制度が一番の難所と感じる受験予定者様もいらっしゃると思います。

そしてこの箇所が難しい理由の1つに、用語を正しく捉えづらい、というのがあるように思います。

今回の記事が、開発行為とその許可制度の理解促進に、少しでも役立ったら幸いです。

最後にもう一度、内容を確認しておきましょう!

□「開発行為」とは

ブルドーザーやダンプカーを活用しての土地いじり。ただしその目的はウワモノ(建築物と特定工作物)の建築・建設。

□開発許可制度における「公共施設」とは

道路、下水道、公園、河川、運河、水路等のことで、開発行為の主要目的物でない副次的な施設のこと。

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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