【不動産】建物の減価償却とは?耐用年数と併せ初心者の方向けに説明

不動産の売買営業に携わっていると、減価償却という言葉を耳にしますよね。

この減価償却、「何となく税金に関係ありそう」ぐらいは分かるけど、詳しいことは分からない、という方も多いのではないでしょうか?

この記事では減価償却について、不動産売買営業員が知っておきたい内容を、具体例を交えてわかりやすくご説明します。

併せて、耐用年数や償却率、また減価償却期間についてご説明します。

この記事を読めば、減価償却の基本が分からりますよ!

早速、参りましょう。

目次

減価償却とは

個人でも法人でも仕事で金銭を得ようとすると、そこには様々な経費が発生しますよね。

それら経費の中には、機械装置みたいに高額かつ長く使えるモノもあったりします。

そういうモノは、「買ったその年に全額を経費とするのでなく、一定の方法によって1年ごとの経費として配分していきましょう」とされています。

税制ではこのことを、減価償却と言います。

経費にできるもののうち、高額で長く使えるモノの取得に要した金額を、一定の方法によって各年分の経費に配分していこう、というわけです。

具体例に見る減価償却

ここでは減価償却について、ミシンを例に少し具体的に見てみましょう!

ミシンも他の様々なモノと同様に、新品の時が一番高額で、それが古くなるにつれ、だんだん安値になっていきますよね。

仮にAさんが2011年に、新品のミシンを50万円で買い、それをしばらく使ったとします。

そして翌年の2012年に、今度はBさんがAさんからそのミシンを45万円で買い、それをしばらく使ったとします。

そして更にその翌年の2013年、CさんがBさんから、そのミシンを40万円で買ったとします。

この時、AさんとBさんの差額の5万円、BさんとCさんの差額の5万円は、どう捉えたらいいでしょう?

それはAさんとBさんが、それぞれ1年間ミシンを使ったから、と捉えられそうですよね。

いわばAさんは50万円のミシンの5万円分を、Bさんは45万円のミシンの5万円分を、消費したわけです。

この例では、ミシンはAさん→Bさん→Cさんと移っていますよね。

仮にこれが、ずっとAさんだったらどうなるでしょう?

以下のように捉えられませんでしょうか?

・2011年のAさんが50万円の5万円分を消費

・2012年のAさんが45万円の5万円分を消費

・2013年のAさんが40万円から使用開始

実は減価償却とは、あるモノの消費を、このように1年ごとに分配することを言います。

そしてその分配の仕方は、そのモノごとに設けられた基準に従うことになります。

では実際に、この減価償却という手続きが必要となる場面はどういう場面か、以下に見ていくことにしましょう!

(注)

実際のミシンの償却率は、上記例とは異なります。

減価償却が用いられる2つの場面

減価償却は、下記の2つの場面で用いられます。

1.その資産を使って収入を得る場面

2.その資産を売却する場面

順番にご説明します。

1.その資産を使って収入を得る場面

先ほどの例のつづきです。

実は2011年にミシンを買ったAさんは、副業で洋服を作って売っているとします。

材料の生地を買ってミシンで縫い、仕上がった洋服を売っていました。

やがて2011年分の申告の時がきました。

売上は70万円、そのための経費は生地代30万円、あとミシン代50万円でした。

生地代30万円はそのまま経費として良さそうですよね。

問題はミシン代です。

ミシン代50万円は、そのまま2011年分の経費とするのは相応しいでしょうか?

そのまま経費とすると、2011年分は70万円ー30万円ー50万円で、10万円の赤字になりますよね。

そして仮に、Aさんは2012年も2011年と同じような感じで洋服を作って売ったとします。

すると2012年分は一転して40万円の黒字になりますよね。

10万円の赤字から40万円の黒字、激変ですね。

すると税金も、2011年分は赤字なので課税されないのに対し、2012年分には一転して40万円に対し課税されることになりますよね。

これも激変ですね。

実は税制においては、このような処理は適切でないとされています。

そこで用いられるのが減価償却です。

仮にミシンの基準を0.1/年で、減価償却期間10年とします。

すると2011年分には35万円、2012年にもやはり35万円に対し課税されることになり、適切とされる処理がなされるわけです。

このように減価償却は、その資産(この例ではミシン)を、収入に対する経費とする場面で用いられたりします。

(注)

実際のミシンの基準は0.1/年、減価償却期間10年ではありません。

2.その資産を売却する場面

引き続きAさんの例です。

Aさんは2013年に本業が忙しくなり、服作りの副業を辞めなければならなくなりました。

でもできれば辞めたくありませんでした。

その理由の1つは、減価償却の視点でミシンを捉えた時、まだあと40万円も価値が残っていたからです。

Aさんは税務署にそのミシンを持ち込んで、40万円に換金して欲しいくらいでした。

しかしもちろんそんなことはできません。

そこでAさんは、そのミシンを売却することにしました。

やがて買い手が現れ、45万円で売買できました。

この時、Aさんのミシン売却による利益ないし損失は、どのように計算すべきでしょうか?

そもそもAさんはそのミシンを50万円で買ったのだから、45万円-50万円で5万円の損失でしょうか?

違いますよね!

45万円-40万円で5万円の利益になります。

このように税制では、減価償却の対象となる資産を売却する時は、購入した額そのもの(ここでは50万円)でなく、その額に減価償却を反映させたほうの額(ここでは40万円)で計算することになっています。

不動産に見る減価償却

さてここからは、これまで見てきた減価償却を、不動産に落とし込んで参りたいと思います。

建物は減価償却資産、土地は減価償却資産でない

不動産における減価償却を見る上で、まず最初に知っておかなければならないことが1点ごさいます。

それは、建物は減価償却できますが、土地はできないということです。

減価償却できる資産のことを、減価償却資産と言います。

減価償却資産の条件は、下記の通りです。

「時の経過等によってその価値が減っていく資産」

建物は時の経過によってその価値がだんだん減っていって、最終的には解体されてしまいますよね。

いわゆる経年劣化です。

一方土地は経年劣化しませんよね。

したがって土地は、減価償却資産には成り得ません。

この点はとても大切なので、しっかり押さえておきましょう!

(注)

ただし月極駐車場のアスファルト舗装等、土地上に施したモノ(「構築物」と言います)は、減価償却資産に当たるとされています。

不動産所得に見る減価償却

上記のミシンの例で、減価償却が用いられる1つ目の場面として、その資産を使って収入を得る場面と申しました。

不動産においては、自ら所有する不動産を使って賃料収入を得る行為がこれに該当します。

オーナー様方は得た賃料収入に対し、原則として確定申告をなさっています。

そしてその際、得た収入から様々な出費等を必要経費として差し引いていらっしゃいます。

この差し引きによって算出された利益なり損失なりを、不動産所得と言います。

不動産所得を計算する際は、購入したり建築した建物費用も必要経費になります。

仮にあるオーナー様が土地建物を5000万円で購入して、そのうち建物代が3000万円だったとします。

その場合、いきなり3000万円を経費計上するのでなく、ここで減価償却が用いられるわけです。

不動産の譲渡所得に見る減価償却

上記のミシンの例で、減価償却が用いられる2つ目の場面として、減価償却資産を売却する場面と申しました。

不動産のオーナー様方も、ご承知の通り折に触れその不動産を売却します。

不動産の売却によって算出された利益なり損失なりを譲渡所得と言います。

不動産の譲渡所得を算出する場合においても、減価償却が用いられます。

譲渡所得を算出する時の出発点となる額は、不動産の購入価格でなく、その購入価格に建物の減価償却を反映させた額になります。

建物の法定耐用年数と償却率

上記で、減価償却における1年ごとの分配方法は、各減価償却資産ごとに決められている、と申しました。

では私たちが扱う建物は、どういうふうに分配されるのでしょう?

まず建物の種別ごとに定められている法定耐用年数というものと償却率というものを見てみます。

下記の通りです。

【事業用の法定耐用年数と償却率】

(木造)

法定耐用年数→22年

償却率→0.046/年

(鉄骨造)

法定耐用年数→19年~34年

償却率→0.053~0.030/年

(RC造)

法定耐用年数→47年

償却率→0.022/年

法定耐用年数や償却率という難しい言葉が出てきましたが、意味はシンプルです。

これらは1年ごとの配分を示しています。

買った時の価格のうちの建物の価格を、法定耐用年数で割りましょう、そして償却率相当額を1年ごとに経費としましょう、ということです。

参考までに1を法定耐用年数で割ってみてください。

少数第3位を四捨五入した値が、償却率になっているかと思います。

例えばRC造は、法定耐用年数が47年ですね。

1/47は0.022で、それが償却率です。

仮にある方が、投資用のRC造分譲マンションの1室を新築で購入したとします。

そして、そのマンションの建物部分の価格が1034万円だったとします。

そうすると1034万円を1年ごと22万円に分配し、47年間経費としましょう、ということです。

ただしこれは、物件を新築で買った場合で、かつ事業用の場合です。

中古事業用、及び非事業用(居住用)の場合については下記に記します。

中古事業用建物の減価償却期間と償却率

上記の新築事業用建物では、法定耐用年数がそのまま減価償却期間でしたね。

例えばRC造で言えば、47年という法定耐用年数を、そのまま減価償却できる期間として分配しました。

それが中古の事業用建物になると、少し算出方法が変わります。

更に中古事業用建物では、購入時期が法定耐用年数を越える前か越えた後かでも変わります。

以下にそれぞれ見ていきましょう。

法定耐用年数を越える前に中古で購入した事業用建物の減価償却期間と償却率

法定耐用年数を越える前に購入した中古の事業用建物は、下記の計算式に当てはめて減価償却期間を算出します。

(法定耐用年数-経過年数)+経過年数✕20%

例えばあるオーナー様が、築10年のRC造を購入したとします。

するとその計算式は下記のようになります。

(47年-10年)+10年✕20%=39年

減価償却期間は39年、償却率は0.026/年になります。

法定耐用年数を越えて購入した事業用建物の減価償却期間と償却率

一方法定耐用年数を越えた後の事業用建物は、下記の計算式に当てはめて減価償却期間を算出します。

法定耐用年数✕20%

例えばあるオーナー様が、築50年のRC造を購入したとします。

47年✕20%=9.4年

減価償却期間は9年、償却率は0.112/年になります。

非事業用(居住用)建物の法定耐用年数と償却率

ここからは、非事業用(居住用)建物について見ていきます。

まず法定耐用年数ですが、これは事業用の法定耐用年数の1.5倍になります。

下記の通りです。

【非事業用(住居用)建物の法定耐用年数と償却率】

(木造)

法定耐用年数→33年

償却率→0.031/年

(鉄骨造)

法定耐用年数→28年~51年

償却率→0.036~0.020/年

(RC造)

法定耐用年数→70年

償却率→0.015/年

なお非事業用(居住用)の建物の場合は、新築か中古を問わず、法定耐用年数がそのまま採用され、償却率はその法定耐用年数をもとに算出された数値になります。

減価償却期間は、法定耐用年数から購入時経過年数を差し引いた年数となります。

例えばある方が、築10年の中古のRC造分譲マンションの1室を購入したとします。

減価償却期間は下記の通りです。

70年-10年=60年

償却率はそのまま、0.015/年です。

そのマンションの購入価格のうち、建物価格が600万円としたら、1年ごとに4万円づつ、向こう60年間に渡って目減りする計算になります

お客様に減価償却についてご説明する場合の注意点

減価償却は、慣れてしまえば難しくはないでしょうが、慣れないうちは概念そのものが捉えづらく、難しい処理方法です。

減価償却は国税に関する事項ですので、その問い合わせ先は税務署です。

お客様からご質問等を受けた場合は、最初のうちは独力ですべて回答しようとするのは避けましょう。

お客様ご本人からも、税務署にご確認頂くよう、必ず申し伝えましょう。

まとめ

いかがでしたか?

減価償却の基本が押さえられると、不動産そのものに対する視野が広がり、とりわけ不動産の投資的側面に興味が湧いてくるのではないでしょうか?

是非この機会に、減価償却の基本知識を自分のものにしてしまいましょう。

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□減価償却とは

減価償却資産を一定の方法によって各年分の経費として配分していく手続き

□減価償却期間

【事業用新築】

減価償却期間=法定耐用年数

【事業用(法定耐用年数を越える前)】

減価償却期間=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数✕20%

【事業用(法定耐用年数を越えた後)】

減価償却期間=法定耐用年数✕20%

【非事業用(居住用)】

減価償却期間=事業用の法定耐用年数✕1.5 -経過年数

*なお償却率は、その法定耐用年数をもとに算出された数値

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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