住宅ローンの金利とは?意味や仕組みを不動産売買営業員向けに解説!

よく銀行のホームページの住宅ローン紹介欄などに、「金利○%」とありますよね。

よく見かけるこの「金利○%」の意味、正しく理解できてますか?

この記事では、住宅ローンの金利の仕組みや意味について、不動産の売買営業員の方向けに分かりやすくご説明します。

住宅ローンの金利については、不動産売買営業のベテランの方でも、我流に誤って解釈している方が時折いらっしゃいます。

私たち不動産業従業者は、金融のプロではないので、金利について特別詳しくなくても問題ないかもしれません。

でも知っておくと、お客様と対峙する時など、不思議と自信が持てたりします。

せっかくですので正しい知識を習得してしまいましょう!

では、どうぞ。

目次

住宅ローンの金利の年利と月利

例えばある銀行がホームページで、「当行の住宅ローン金利は1.2%です」と、うたっていたとします。

この1.2%とは、どういう意味でしょう?

この意味は、年利1.2%という意味です。

でも住宅ローンって、年ごとでなく月ごとの返済ですよね。

にもかかわらず年利1.2%とは、どういうことでしょう?

実はこれは、年利1.2%であることと併せ、月利0.1%ということも意味しています。

この0.1%という数値は、年利である1.2%を、12ヶ月で割って(1.2÷12)算出します。

銀行は、住宅ローンの金利を年利で表示します。

しかしその返済は、月ごとです。

したがって住宅ローンの返済を細かく見ていく場合は、表示の年利を12で割り、月利換算して見ていく必要があります。

住宅ローンの年利表示と、月々の返済における月利に基づく利息額との関係

ここで新たにもう1点、住宅ローンの年利表示と月利換算に関することで、ご説明したいことがあります。

実は、月利に基づく利息の1ヶ月目から12ヶ月目までの額の合計は、年利に基づく利息額と同額にはなりません。

何を言っているか、分からないですよね!

例えばAさんが、BさんとCさんに10万円を、年利1.2%で貸し付けたとします。

それをBさんは、1年後に一括で返済することにし、一方Cさんは、月ごと12回に分けて返済することにしたとます。

すなわちBさんは、1年後に1.2%の利息を添えて一括返済することにし、Cさんは月ごとに0.1%の利息を添えて返済し、それを12回繰り返すことにしたとします。

この場合、Bさんが返済に際し添えた利息額は、1200円になります。

ところが、Cさんが添えた利息額の合計額は、1200円にはなりません。

ローン電卓や住宅ローンシミュレーション等で計算してみると分かりますが、646円になります。

このように、月利に基づく利息の1ヶ月目から12ヶ月目までの合計額(上記具体例の646円)は、年利に基づく利息額(上記具体例の1200円)と同額ではありません。

【重要】住宅ローンの金利の仕組みとは

ここまで、銀行等の住宅ローンの金利は、表示は年利ですが、実際の返済は月ごとであることをご説明しました。

ただこれだけでは、肝心の住宅ローンの仕組みは、分からないままだと思います。

住宅ローンの返済に、金利はどう関わってくるのでしょう?

以下、住宅ローンの金利の仕組みについて、具体例を用いて、分かりやすくご説明します。

ご理解頂きやすくするため、架空ですが、まずは金利0%の住宅ローンの例からご説明します。

今仮に、債務者Aが金利0%の住宅ローンで100万円を借り、月々8000円づつ払っていくことになったとします。

この場合、債務者Aの1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目の返済は、どうなるでしょう?

まず1ヶ月目、Aは8000円を払います。

Aが借り受けている住宅ローンは金利0%でしたね!

したがって、Aの払った8000円は、そのまま満額が100万円に対する返金分として扱われ、残高は99万2000円になります。

これがもし、何%かでも金利が上乗せされていたら、こうはなりません。

8000円払っても、その中に利息を含ませなければならないため、8000円満額を返したことにはなりません。

さて、Aの返済の続きです。

2ヶ月目、やはりAは8000円を払いました。

金利0%なので、やはり8000円満額を返したことになり、残高は98万4000円になります。

3ヶ月目もやはり8000円が払われ、8000円満額を返したことになり、残高は97万6000円になります。

そして最後125ヶ月目、やはりAは8000円を払うことで、住宅ローンは完済となります。

このように、もし住宅ローンの金利が0%だったら、月々に払った額が、そのまま返した額になります。

以上、金利0パーセントの場合の返済の仕組みでした。

ではここから、実際に金利が上乗せされた場合を見ていきます。

今仮に債務者Bが、金利1.2%の住宅ローンを使って100万円を借り、やはり毎月8000円づつ返済していくとします。

表示の金利1.2%は年利でしたね!

細かく見ていくためには、これを月利に変換しなければなりません。

月利は0.1%です。

1ヶ月目、Bは8000円を払いました。

しかしこの場合、「8000円を返した」とはなりません。

なぜならその中に、月利0.1%に基づく利息を含ませなければならないからです。

100万円の0.1%は1000円になります。

したがってBの払った8000円のうち、 1000円は利息に過ぎず、実際に返したとみなされる額は、7000円になります。

払った額の中に、月利に基づく利息額を含ませることがポイントです。

なお話しは反れますが、払った8000円をそのまま返金額として扱い、利息として別途1000円を払う、という返済方法も存在します。

実はこの返済方法が、元金均等返済と呼ばれるものです(詳しくは後述します)。

さて、話しを戻します。

1ヶ月目の返済で債務者Bは、実際には7000円のみを返したことになると申しました。

したがってこの時点での残高は、99万3000円になります。

続いて2ヶ月目、Bはやはり8000円を返済します。

しかしその中の幾らかは、利息として扱われることになります。

さてそれは幾らか?

残高は99万3000円でしたね。

99万3000円の0.1%は、993円になります。

8000円のうち、993円が利息として扱われ、実際に返したとみなされる額は7007円になります。

そして、Bが2ヶ月目の返済を終えた時点での残高は、99万3000円-7007円で、98万5993円になります。

次に3ヶ月目、やはりBは8000円を返済します。

しかしその8000円のうち、986円(残高98万5993円の0.1%)は利息として扱われます。

したがって実際に返したとみなされる額は、7014円になります。

そして3ヶ月目の返済を終えた時点での残高は、97万8979円になります。

このように住宅ローンの返済は、月利に基づく利息を、月々の返済額に組み入れながら返済していきます。

その都度の利息額は、直近の残高に月利を掛けた額になります。

・1ヶ月目の利息額:1000円

・2ヶ月目の利息額:993円

・3ヶ月目の利息額:986円

またその都度の「返したとみなされる額」は、月々の返済額からその月の利息を差し引いた額になります。

・1ヶ月目の「返したとみなされる額」:7000円

・2ヶ月目の「返したとみなされる額」:7007円

・3ヶ月目の「返したとみなされる額」:7014円

月々の返済額が、そのまま「返したとみなされる額」ではない点、押さえておきましょう。

更にその都度の残高は、1つ前の残高から「返したとみなされる額」を差し引いた額になります。

・1ヶ月目の残高:99万3000円

・2ヶ月目の残高:98万5993円

・3ヶ月目の残高:97万8979円

そして残高が0になった段階で、完済となります。

なお今回のご説明では、便宜上金利と借り入れ額に加え、月々の返済額を先に決めてご説明しました。

しかし実際の住宅ローンでは、ご承知の通り、金利と借り入れ額に加え、支払い回数を先に決めて、月々の返済額を見ていきます。

元利均等返済と元金均等返済

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。

上記具体例で引用した返済方法は、元利均等返済のほうになります。

上記具体例では、月々の返済額は8000円でした。

しかしこの8000円は、月利に基づく利息額を含んでおり、実際に「返したとみなされる額」は、利息を差し引いた額でした。

元利均等返済とはこのように、毎月の一定の返済額の中に、利息を含ませて返済する方法を言います。

毎月一定額を返済するも、その中に利息が含まれるので、「返したとみなされる額」は、少し低くなります。

一方元金均等返済とは、上記具体例を引き合いに出すと、「返したとみなされる額」は常に8000円で、その8000円に利息を上乗せして返済する方法を言います。

「返したとみなされる額」が常に一定で、都度の利息をその額に上乗して返済する方法です。

「返したとみなされる額」は定額ですが、その上に付される利息は変わるので、トータル返済額も変わります。

ローン電卓やインターネットのローンシミュレーションを用いた計算について

上記で住宅ローンの返済を細かく見ていくためには、表示の年利を月利に変換する必要がありました。

ローン電卓やローンシミュレーションを活用した場合でも、年利を月利に変換して計算しなければならないのでしょうか?

結論を申しますと、その必要はありません。

表示の年利をそのまま入力すれば、自動的に月利に変換して計算してくれます。

まとめ

いかがでしたか?

住宅ローンの金利の仕組みについては、不動産売買に携わる方々は、漠然とは理解していいるものの、細かく的確に押さえている方は、以外に少ないのではないでしょうか?

1つ1つ紐解いていけば、決して難しいものではないので、是非的確に押さえておきましょう。

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□住宅ローンの表示と実際の返済との関係

・表示:年利

・実際の返済:月利(月利=年利÷12)

□年利に基づく利息と月利に基づく利息の関係

月利に基づく利息の1ヶ月目から12ヶ月目まで合計は、年利に基づく利息と同額ではない。

□金利の仕組み

・利息額:残高に月利を掛けた額

・「返したとみなされる額」:月々の返済額から利息を差し引いた額

・残高:前月の残高から当月の「返したとみなされる額」を差し引いた額

□元利均等返済と元金均等返済

・元利均等返済:毎月の定額の返済額の中に、利息を含ませて返済する方法。

・元金均等返済:「返したとみなされる額」が常に定額で、都度の利息をその額に上乗して返済する方法。

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

コメント

コメントする

目次