注文住宅で使われるつなぎ融資とは?またそれを使わない手法について

宅建業の従業者として戸建て用地の売買に携わっていると、つなぎ融資という言葉を耳にしませんか?

ハウスメーカーや工務店の方、あるいは建設業の免許も持ち、建築条件付き土地売買から注文住宅の請け負いまでのスキームでやっている不動産会社の従業者の方にとっては、つなぎ融資は当たり前の知識かと思います。

しかしそうでない不動産会社の従業者にとっては、あまりよく分からない言葉なのではないでしょうか。

この記事では、つなぎ融資について、住宅等の建築を請け負わない宅建業者にお勤めの方向けに、わかりやすくご説明します。

併せて、一部の金融機関で取り扱っている、つなぎ融資を使わない住宅ローンについてもご説明します。

では、どうぞ。

目次

請負契約とは

つなぎ融資について触れる前に、注文住宅の流れや請負契約について、押さえておく必要があります。

まずは請負契約とはどういう契約か、見ていくことにしましょう。

請負契約と売買契約の違い

建設業の免許を持たない宅建業者の従業者にとっては、土地の買主がその土地上に注文住宅を建てる場合の契約は、建物の売買契約であるかのように感じるのではないでしょうか。

しかしそうではありません。

この場合に交わされる契約こそ、請負契約になります。

Aさんから土地を買ったBさんが、C工務店に注文住宅を建ててもらう契約をしたとします。

この場合、AさんとBさんとの土地売買は、ご存じの通り、売買契約ですよね。

ところがBさんとC工務店の契約は、売買契約でなく、請負契約になるのです。

請負契約とは、注文者が仕事を完了させることを依頼し、請負者がそれを請け負う契約を言います。

請負者は注文を受けた仕事を完了させ、注文者はそれに対して報酬を支払います。

請負契約の当事者は注文者と請負者

請負契約の当事者は、注文者と請負者になります。

請負契約書においては、注文者を「甲」、請負書を「乙」とするのが一般的なようです。

契約の当事者を売主と買主とする売買契約との違いを、押さえておきましょう。

施主とは

注文住宅の注文者のことを、ハウスメーカーや工務店の方々は、施主(せしゅ)と言ったりします。

施主という言葉は、建築基準法や請負契約書に登場する専門用語ではありません。

しかし建設業の方々は、この言葉はたいへんよく用います。

この機会に覚えておきましょう。

注文住宅の流れと注文者に発生する支払いのタイミング

では土地の買主が、その土地上に戸建てを建てる場合、土地の売買契約から家の完成・引渡しまでの流れはどうなるでしょう?

また、その都度発生する売主及び請負者への支払いは、どうなるでしょう?

以下、土地の売買契約から順番に見ていくことにしましょう。

1.土地の売買契約

注文住宅を建てるための土地が見つかったら、まずその土地の売主との間で、土地の売買契約を結びます。

なお土地の売買契約のタイミングで、ご存じの通り、買主は売主に土地の手付金を支払います。

【支払い1】土地の手付金

2.建築工事の請負契約

土地の買主は、今度は注文住宅工事の注文者として、請負者である工務店等との間で、注文住宅工事の請負契約を結びます。

3.土地の決済・引渡し

一般的には注文住宅工事の請負契約の後に、土地の決済・引渡しが行われます。

土地が売主から買主に引渡され、土地の所有権も売主から買主に移転します。

なお土地の決済・引渡しのタイミングで、ご存じの通り、買主は売主に土地の残代金を支払います。

【支払い2】土地の残代金

4.基礎工事

買主が土地を得たことで、請負者である工務店等は、漸く注文住宅の建築工事をスタートすることができます。

なお工務店等が工事をスタートすることを、工事着工と言います。

工事はまず基礎工事から始まります。

建物の基礎とは、建物の土台となるコンクリートのことです。

中には鉄筋が張り巡らせれ、頑丈に作られています。

なお基礎工事のタイミングで、注文者は請負者に着工(時)金を支払います。

【支払い3】着工(時)金

5.棟上げ(上棟)

基礎工事が完了したら、次は棟上げという工程に入ります。

棟上げとは、戸建ての骨組みとなる木材を、下から上へと順に組み上げていき、最後2階の屋根の最上部まで組み上げてしまう工程を言います。

なお棟上げは、上棟(じょうとう)ともを言います。

棟上げ(上棟)は、担当大工が仲間の大工を集め、1日ないし2日で仕上げてしまうのが一般的です。

なお棟上げ(上棟)のタイミングで、注文者は請負者に上棟(時)金(中間金)を支払います。

【支払い4】上棟(時)金(中間金)

6.完成・引渡し

その後、様々な工程を経て戸建ては完成し、請負者である工務店等から注文者に引渡されます。

なお最後、完成・引渡しのタイミングで、注文者は請負者に注文住宅の残代金を支払います。

【支払い5】注文住宅の残代金

つなぎ融資と住宅ローンの関係

さてここまでで、注文住宅の流れとそれぞれの工程ごとに発生する買主(注文者)の支払いについて見て参りました。

それぞれの支払いを改めて抽出すると、下記の通りになります。

1.土地の手付金

2.土地の残代金

3.着工(時)金

4.上棟(時)金(中間金)

5.注文住宅の残代金

このうち「1.土地の手付金」は、買主の自己資金で支払われるケースが多く、ここでは問題視しなくて良さそうです。

問題は「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」、「5.注文住宅の残代金」の支払いです。

買主(注文者)は、注文住宅によって戸建てを手に入れるにあたり、大抵の場合住宅ローンを組みます。

そもそも住宅ローンとは、どういう性質のものでしょう?

金融機関は住宅ローンによって、数千万円にも及ぶ高額な額を個人に融資します。

なぜこのような高額な融資をしてくれるのでしょう?

それは担保があるからです。

つまり住宅ローンは、ローン対象となる住宅を担保にすることを条件に、融資されるわけです。

さてここで問題が生じます。

上記の「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」のタイミングで、戸建てを担保とすることは出来るでしょうか?

出来ませんよね!

なぜなら戸建てがまだ完成していないからです。

つまり金融機関は、「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」のタイミングでは、住宅ローンを融資することはできないわけです。

でも注文者は「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」を、支払わなければなりません。

さてどうしましょう?

他の金融機関から無担保で融資を受け、そのお金で「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」を支払うのも、一案かもしれません。

その上で「5.注文住宅の残代金」の支払いのタイミングで住宅ローンを借り入れ、まず「5.注文住宅の残代金」を支払いを済ませ、残りのお金で「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」の借り入れを、一括精算するのです。

この方法を用いれば、注文住宅の工程でその都度発生する高額な支払いを、うまく行えそうです。

でも実は、わざわざそのようなことをしなくても、その都度の支払いを済ませる方法があります。

それがつなぎ融資です。

つなぎ融資とは、その時はまだ担保が無くても、近い将来担保が提供されることを条件に、金融機関が通常の無担保ローンよりも低い金利で貸し出す融資のことです。

当然のこととして、住宅ローンが実行されるタイミングで、一括精算されます。

このように注文住宅においては、「2.土地の残代金」、「3.着工(時)金」、「4.上棟(時)金(中間金)」の支払いには、つなぎ融資が用いられるのです。

なおつなぎ融資の金利は、他の無担保ローンよりは低いものの、住宅ローンよりはやはり高くなります。

つなぎ融資を使わない住宅ローン

つなぎ融資は住宅ローンよりも金利が高めなことから、できれば使いたくないと考える注文者も居るようです。

金融機関によっては、つなぎ融資によらずにその都度の支払いを行えるよう、住宅ローンに融通を効かせているところもあるようです。

どのように融通を効かせているか、以下にその手法を2つご紹介します。

ただしすべて金融機関が、これらを実施しているわけではありません。

また注文者にとっては、これらを利用するデメリットもあり、ハウスメーカーや工務店等の営業担当者は、これらのお薦めには慎重な場合が多いようです。

土地だけ先に担保にして融資してもらう

土地の残代金の支払いのタイミングで、土地を担保にして、借り入れ予定額の一部を融資してもらう方法があります。

ただしこの場合、つなぎ融資を使う場合よりも登記費用が高額になります。

なぜなら土地に対する抵当権設定登記が発生するからです。

また、着工(時)金と上棟(時)金(中間金)をどう支払うか等、注文者と請負者と金融機関の三者で調整すべき事項が諸々出て来ることになり、何かと大変なようです。

住宅ローンを分割して融資してもらう

上記以外に、住宅ローンを分割して融資することを、可能としている金融機関もあるようです。

ただしこの場合、土地の残代金、着工(時)金、上棟(時)金(中間金)の融資実行のタイミングでは、担保が無いことに変わりありません。

ハードルは高いようです。

まとめ

いかがでしたか?

つなぎ融資の知識は、建築業の免許を持たない宅建業者にお勤めの方には、馴染み薄い知識かと思います。

とは言え、戸建て用地を扱う場合に備え、知っておくと良いです。

是非覚えましょう!

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□売買契約と請負契約

・売主⇆(売買契約)⇆買主

・注文者⇆(請負契約)⇆請負者

□注文住宅の流れ

土地の売買契約→注文住宅工事の請負契約→土地の決済・引渡し→基礎工事→棟上げ(上棟)→注文住宅の完成・引渡し

□注文住宅における売主(注文者)の支払い

土地の手付金→土地の残代金→着工(時)金→上棟(時)金(中間金)→注文住宅の残代金

□つなぎ融資

土地の残代金と着工(時)金と上棟(時)金(中間金)の支払いのタイミングで実行され、注文住宅の残代金支払いのタイミングで一括精算

□つなぎ融資を使わない住宅ローン

土地を担保に一部を実行/住宅ローンの分割

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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