【不動産売買】売買物件の初案内、事前に押さえたい必須知識5選!

「いよいよ今週末に初めての売買物件案内、でもお客様からの質問に答えられなかったらどうしよう」

そんな不安をお持ちではありませんか?

実は、この記事でご紹介する基礎知識5つを押えれば、何とか初案内を乗り越えることができます。

この記事では、不動産売買における買主様側仲介営業での必須知識の中で、お客様を物件案内する際に欠かせない知識を、5つに厳選して初心者の方向けにご説明します。

初めての売買物件案内を数日後に控えている方、今は賃貸営業だけど早く売買にシフトしたいとお考えの方、必見です!

目次

売買物件のローン・税金・給付金・境界・諸費用

今まで売買物件を案内したことが無い方が初めて案内する場合、最低限押さえておきたい事項とは、いったいどのようなことでしょう。

それは実に様々あるように思います。

しかしこの記事では厳選しました。

下記の5つです。

1.住宅ローンについて
2.税金(固定資産税・不動産取得税・住宅ローン控除)について
3.すまい給付金について
4.不動産売買における敷地境界について
5.売買物件価格以外の諸費用について

この5つを押さえれば、何とか売買物件の初案内を乗り越えられると思います。

以下にこの5つについて、極力深掘りは控え、初心者の方向けに、おおまかにご説明します。

住宅ローンについて

お客様がご自宅を購入しようとする場合、大抵は住宅ローンを組んで購入します。したがって、不動産売買における買主様側の仲介業務においては、住宅ローンの知識がどうしても必要になります。

しかし一方で、私たちは住宅ローンの専門家ではありません。住宅ローンの専門家は金融機関の方々です。

お客様が物件購入を決心して住宅ローンを組むことになったら、売買営業担当者は、金融機関の担当者と連携しながら物事を進めていくことになります。

したがって大前提として、お客様の初期対応さえ乗り越えれば、そから先は常にご自身の背後に金融機関の担当者が居ることを覚えておきましょう。

金融機関の担当者にとって不動産業者は、金融機関とお客様を結びつけた存在として、比較的大切にして頂けるケースは多いです。

住宅ローンで解らないことがあたら、金融機関の担当者に遠慮なく質問しましょう。

とは言え繰り返しになりますが、不動産売買営業担当者は、最低限の住宅ローンの知識は押さえておきましょう。

下記の通りです。

固定金利と変動金利

住宅ローンは、金利のタイプで分類した時、大きく分けて2つに分類できます。

固定金利と変動金利です。

固定金利とは、月々の返済額が返済期間中ずっと同額のタイプです。ずっと同額なので、「次の期から返済額が上がるかもしれない」という心配がありません。これがメリットです。しかしそもそもの金利が、変動金利より高めというデメリットがあります。

変動金利とは、定期的に金利が見直されるタイプです。そもそもの金利が低めというメリットがある一方、返済期間中に返済額が上がるかもしれない、というリスクがあります。

銀行ローンと「フラット35」

住宅ローンはまた、その取り扱い箇所で分類した時、やはり2つに分類できます。

銀行・ネット銀行・信用金庫などの民間金融機関のローン(ここでは銀行ローンとします)と、「フラット35」です。

銀行ローンは、金利タイプによって様々な種類に分かれ、それこそ金融機関ごとに多種多様な住宅ローンがあります。

一方「フラット35」は、住宅金融支援機構というところが民間金融機関と提携して提供する住宅ローンで、固定金利に特化しています。

銀行ローンにも固定金利はありますが、一般的には「フラット35」よりも金利が高いです。

したがって一般的には、変動金利なら銀行ローン、固定金利なら「フラット35」がおすすめとされています。

金利の推移を把握する

金利は、景気や国の方針によって高くなっり低くなったり(上ったり下ったり)することはご存じかと思います。

そして不動産売買に携わる以上、この金利の変動にある程度敏感である必要があります。なぜならそれに最も影響を受ける方々こそ、私たちのお客様方だからです。

ですので、初めての案内を機に、以後折りに触れて金利の推移を確認するようにしましょう。

ネット検索で、住宅ローンの金利推移表が簡単に閲覧できます。

そして、もしこの金利推移表に初めて触れ、かつ近日中に売買物件の初案内が入っている場合は、最低限「今が金利の高い時期なのか、低い時期なのか」という点だけでも把握して、初案内にのぞみましょう。

物件の購入をご検討されるお客様の目線に、少しでも近付くことが出来ると思います。

団体信用生命保険

お客様が住宅ローンを組むと、その返済は長期間に渡ります。その長い返済期間中にお客様に万が一のことがあって返済が滞ってしまう可能性に備え、金融機関はお客様に団体信用生命保険への加入を義務付けています。

加入を申し込む際には、お客様の健康状態が金融機関から問われます。したがって万が一、健康状態が好ましくなく団体信用生命保険への加入が出来ないと判断された場合、住宅ローン自体を組むことができません。

(フラット35では、団体信用生命保険の加入は義務ではありません。またワイド団信という、加入条件が緩和されるタイプの団体信用生命保険を扱っている金融機関もあります。この記事では、それらの詳細説明は割愛します。)

抵当権

抵当権という言葉は、賃貸仲介ではあまり耳にしない言葉だと思います。

お客様が住宅ローンの融資を受けた後、その返済を遂行して頂けなくなってしまったら、金融機関は困ってしまいます。

そんな万が一の事態に備え、金融機関は住宅ローンを融資する際、お客様が購入する物件を競売にかける権利を及ばせます。

この権利を「抵当権」と言います。

万が一お客様が返済できなくなったら、金融機関は抵当権を実行してお客様のご自宅を競売にかけ、その落札されて入ってくる資金から残債を回収します。

税金(固定資産税・不動産取得税・住宅ローン控除)について

お客様がご自宅を購入することになったら、
これまで関わらなかった税金に関わるようになります。したがって売買営業担当者も、それらを押さえておく必要があります。

しかし一方で住宅ローン同様、私たちは税金の専門家ではありません。

税金の専門家は、税務署であり都道府県税事務所であり市区役所町村役場の税務課です。

税金は複雑です。

ある程度の経験を積めば、お客様の質問に対して適切にお答えできるでしょうし、またコンサルティング的な助言なども、して差し上げることができるでしょう。

しかしそれらは、初めのうちはやはり難しいです。

もし初案内当日に、お客様から質問を受けた場合は、「確認していついつまでにご回答申し上げます」と申し上げるに止め、確認先に確認してから回答するようにしましょう。

なお最終的には、減額対象者あるいは控除対象者は、お客様ご本人であることを申し添え、お客様自ら確認先への最終確認をして頂くよう申し伝えしましょう。

前置きが長くなりました。

初めての売買物件案内に備え、最低限押さえたい税金に関する事項は、下記の通りです。

固定資産税

私たちは「持ち家」を持つようになると、毎年納めなければならない税金が生じます。

固定資産税と都市計画税です。

納税通知書が毎年4月頃に市区町村から届き、それに基づいて一括もしくは年4回に分けて納めます。

なお、お客様の購入物件が新築の場合、非常に大切なポイントがあります。

新築住宅には、固定資産税を減額してもらえる措置があるのです。

おおまかには下記の通りです。

【減額措置のおおまかな内容】

・一般の新築だったら3年度間の減額。
・3階建以上の中高層耐火建築の新築だったら5年度間の減額。
・更にそれらが長期優良住宅だったらプラス2年度間の減額。

固定資産税の課税主体と確認先は下記の通りです。

【課税主体】市町村

【確認先】各市区役所(町村役場)の税務課

繰り返しになりますが、案内当日にこのことについてお客様から質問があったら、一旦持ち帰って確認先に確認し、追って回答するようにしましょう。

不動産取得税

不動産取得税とは、文字通り不動産を取得した際に生じる税金のことです。家を購入してからしばらくすると、都道府県から納税通知書が送られてきます。

そしてここが重要なのですが、不動産取得税は大抵の場合、やはり「軽減措置」によって納税額が0円、もしくは少額になります。

軽減措置のおおまかな適用要件、課税主体、確認先は下記の通りです。

【軽減措置のおおまかな適用要件(一部)】

・床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
・中古住宅の場合、取得日20年(RC造は25年)以内に新築されたものであること。
・昭和57年1月1日以後に新築されたものであること。
(*他にも適用要件はありますが、ここでは割愛します。)

【課税主体】都道府県

【確認先】各都道府県税事務所

案内した物件が軽減措置の対象となるかどうかは、慣れてくれば独力で判断がつくでしょうが、初めのうちは難しいと思います。

もし案内当日に質問を受けたら、やはり一旦持ち帰って確認先に確認し、追って回答するようにしましょう。

住宅ローン控除

住宅ローンを使って家を購入した場合、一定の条件を満たせば、所得税が10年間(または13年間)減税してもらえます。

控除のおおまかな適用要件、課税主体、確認先は下記の通りです。

【控除の適用要件(一部)】

・床面積が50㎡以上であること。
・中古住宅の場合、マンションなど耐火建築物は築25年以内、木造などは築20年以内であること。
・控除を受ける年の合計所得額が3,000万円以下であること。
(*他にも適用要件がありますが、ここでは割愛します。)

【課税主体】住宅ローン控除とは所得税の控除です。所得税の課税主体は「国」になります。

【確認先】税務署

案内した物件が控除対象となるかどうかは、やはり初めは自己判断での即答は控え、確認して後日回答するようにしましょう。

すまい給付金について

お客様の購入予定物件が新築の場合、お客様は給付金の給付を受けられる可能性があります。その給付金を「すまい給付金」と言います。

新築物件を購入しようとするお客様にとって、「すまい給付金」の給付を受けられるかどうかは大切なことです。

給付対象かどうかは、「物件」と「お客様の収入」で判断されます。

お客様からご質問をうけた場合は、初めのうちはやはり即日の明言は控え、確認してから回答するようにしましょう。

なお回答する場合も、明言は購入予定物件が対象かどうかだけに止め、収入に関することは、極力お客様ご本人にご確認頂くようお伝えしましょう。

そして最終的には、給付金の受領者はお客様ご本人であることを申し添え、物件に関することを含め、お客様自ら、確認先への最終確認をして頂くよう申し伝えしましょう。

下記に、おおまかな対象要件、給付主体、確認先を記載致します。

【主な対象要件(一部)】
・新築住宅であること(中古の場合は付加要件があります)。
・床面積が50㎡以上であること。
・住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅であること(新築であれば原則加入しています)。
・収入額の目安が775万円以下であること(詳細は別途要確認です)。

(*他にも適用要件(中古住宅の場合など)がありますが、割愛します。)

【給付主体】国土交通省

【問い合わせ先】「すまい給付金」事務局

不動産売買における敷地境界について

不動産賃貸営業ではあまり馴染みがありませんが、実は家でもマンションでも、その建物が建っている土地(敷地)には「境界」というものがあります。

ではその境界は、どのように示されているのでしょう。

それは、地面の敷地境界と思われる箇所を注意深く見てみるとわかります。

その箇所に、石や金属で造られた杭が見受けられる場合があります。それらが隣地との境界を示した杭(境界杭)になります。

不動産が売りに出され、新たな買い手に引渡される場合、原則として売主様にその境界を明らかにする義務があります。

境界を明らかにするのは売主様なので、案内した物件の敷地境界の詳細については、大抵の場合、売主様側の仲介業者が熟知しています。

お客様が案内物件を本格的にご検討なさる場合、特にその物件が戸建でしたら、売主様側の仲介担当者に境界について確認し、しっかりとお客様に伝えるようにしましょう。

売買物件価格以外の諸費用について

お客様が物件を購入する場合に、物件の価格以外にも様々な費用が必要になります。

最後にこの点を確認しておきましょう。

物件価格以外の諸費用の総額は、だいたい物件価格の10%程度と言われています。

もし物件価格が3000万円でしたら、諸費用は10%の約300万円となり、お客様の総お支払い額は、だいたい3300万円程度ということです。

一つの目安として、採用して良い算出法かと思います。

諸費用の概要は下記の通りです。

固定資産税の按分

売主様には、その年度の3月31日(地域によっては12月31日)まで、固定資産税を支払う義務があります。しかし実際には、物件の引渡しを受けた日以降は、お客様(買主様)が支払うべきものです。

そこで不動産売買では、買主様が、引渡しの日から3月31日(地域によっては12月31日)までの固定資産税を、売主様に支払うのが一般的です。

金融機関への事務手数料等

お客様が住宅ローンを組んだら、その金融機関に事務手数料等を支払う必要があります。

火災保険料

購入予定物件が将来、火災等によって無くなってしまう場合が無いとは言えません。

住宅ローンの融資を受けた場合、万が一のそんな場合に備え、金融機関は買主様に火災保険への加入を義務付けています。

登録免許税と司法書士への報酬

お客様が物件を購入したら、そのことを法務局というところに登録します。これを所有権移転(保存)登記と言います。

またその際、抵当権ついても一緒に登録します。これを抵当権設定登記と言います。

そしてこれらの登記業務は、司法書士という有資格者がその実務を行います。

お客様は、これらの登録免許税と司法書士への報酬を支払う必要があります。

不動産売買仲介手数料

買主様側の仲介業者は、買主様から仲介手数料を頂戴することができます。

契約時に半金、決済引渡し時に残半金を頂戴する場合もあれば、決済引渡し時に一括して頂戴する場合もあります。

まどめ

今まで売買物件の案内をなさったことがない方にとって、売買物件の初案内は、やはり不安が多いものかと存じます。

今回の記事内容を何とか頭に叩き込み、初めての売買物件案内を、どうにか乗り越えて頂けたらと思います。

最後にもう一度内容を確認しておきましょう。

□売買物件初案内前に押さえたいこと5つ

住宅ローン/税金/すまい給付金/境界/諸費用

□住宅ローン

・固定金利と変動金利がある。
・銀行ローンと「フラット35」がある。
・変動なら銀行ローン、固定なら「フラット35」がおすすめ。

□税金

・固定資産税→新築の減額措置あり
・不動産取得税→軽減措置あり
・住宅ローン控除

□すまい給付金

・新築購入の場合、対象要件を満たせば給付あり。

□境界

・売買物件取引では境界が重要。

□諸費用

・諸費用の合計→物件価格の約10%。
・固定資産税の按分/金融機関手数料/火災保険/登録免除税と司法書士報酬/仲介手数料

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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