【不動産賃貸】店舗賃貸等における居抜き物件の扱い方を押さえよう!

不動産会社で店舗等の賃貸営業に携わる方々でも、居抜き物件を扱うのが苦手な方は多いようです。

皆さんは、いかがですか?

この記事では、事業用建物賃貸における居抜き物件の扱い方について、まず3つのポイントをご説明します。

更にその上で、居抜き物件を扱う際の注意点、取引の実務の概要をご説明にします。

この記事をお読み頂ければ、居抜き物件の全体像がつかめます。

この機会に是非居抜き物件を押さえ、取引の幅を広げてみましょう!

目次

居抜き物件とは

そもそも居抜き物件とは、どういうものなのでしょう?

「居抜き」という言葉自体は、特に不動産の専門用語というわけではありません。

一方「居抜き物件」とは、ある特別な状態で事業用建の賃貸取引が行われた場合に用いられる、いわば業界での通称です。

そして、ここで言うある特別な状態とは、店舗内装や機器等が譲渡物として付帯している状態のことです。

言葉だけでは、なかなかイメージが付かないかと思います。

参考までに、ごく一般的な事業用建物賃貸物件(ここではスケルトン物件)が、居抜き物件となるまでのプロセスを辿ってみると、下記の通りとなります。

経緯1.当初の賃借人が賃貸人からスケルトン物件を賃借する。

経緯2.当初の賃借人が自らの費用負担で内装や機器等の動産を備え付ける。

経緯3.当初の賃借人が店舗の営業をスタートさせる。

経緯4.数年、あるいは十数年が経過。

経緯5.当初の賃借人が店舗を閉店することを決意し、賃貸人に居抜きで募集したい旨を申し入れる。不動産会社に居抜き物件としての募集を依頼する。

経緯6.動産の譲受人(=スケルトン物件の新たな賃借人)が現れ、店舗を閉店する。

経緯7.居抜き物件が、譲受人(=新賃借人)に引渡される。

このように、前賃借人が、賃貸人から引渡されたスケルトン物件に内装や機器等を備え付け、その動産を譲渡しようとして取引対象となった物件が居抜き物件です。

居抜き物件を扱う上でのポイント

では私たち不動産業者が、居抜き物件を扱おうとする時、注意すべき点、押さえておくべき点は、どういう点でしょう。

それは3つあります。

順番に見ていきましょう。

ポイント1.居抜き物件は、スケルトン物件の賃貸借である

まず1つ目は、居抜き物件は、スケルトン物件の賃貸借を含んでいる、という点です。

前賃借人は、賃貸人から物件をスケルトン状態で借り受けました。したがって明渡しに際ては、本来、スケルトン状態に原状回復しなければなりません。

したがって前賃借人が、自ら備え付けた動産を譲渡できるのは、賃貸人の承諾が得られた場合に限ります。

この点は大変重要ですので、しっかり押さえておきましょう!

ポイント2.居抜き物件は備え付けられた動産の売買を伴う

次に2つ目ですが、居抜き物件は、前賃借人(譲渡人)が備え付けた動産の売買を伴う、という点です。

前賃借人(譲渡人)は、自らの費用負担でそれらを備え付け、新賃借人(譲受人)に売り渡そうとします。

晴れて買い手が現れた場合、備え付けられた動産だけに着目すると、前賃借人は譲渡人(売主)で、新賃借人は譲受人(買主)になります。

そして通常、譲渡人(売主)と譲受人(買主)との間で、それら動産の譲渡に関する契約が取り交わされます。

この契約を、造作物譲渡契約と言います。

繰り返しになりますが、売主は、前賃借人です。スケルトン物件の賃貸人でない点に注意しましょう。

ポイント3.居抜き物件では、スケルトン物件の賃貸借と造作物譲渡は同時でなければならない

さてここまでで、居抜き物件は、スケルトン物件の賃貸借と、備え付けられた動産の売買(譲渡)から成っていることが、ご理解頂けたと思います。

そして、ここが非常に重要なのですが、これら二つの取引は、同時に行われなければなりません。

そしてこの、「二つが同時に行わなければならない」という点が、ポイントの3つ目になります。

では、なぜ同時でなければならないのでしょう。

結論から申します。

実は、この二つが同時に行なわれないと、賃貸借取引の原則が破綻してしまうからです。

店舗内の動産は、あくまで前賃借人の所有物であって、賃貸人の所有物ではありません。

前賃借人が、賃借している物件内に自身の所有物を設置し続けるためには、その物件の賃借を継続しなければなければなりません。

このことは、店舗内の動産を譲り受けた新賃借人についても言えます。

店舗内の動産の所有権は、前賃借人(造作物譲渡契約の譲渡人【売主】)から、賃貸人を経由せず、直ちに新賃借人(造作物譲渡契約の譲受人【買主】)に移転します。

新賃借人が、賃貸人の所有物件内に、自ら所有する動産を備え付けたままの状態で譲り受けるわけです。

そうである以上、新賃借人は譲受と同時に賃借を開始しなければなりません。

前賃借人は、店舗内の動産を譲渡するまで物件を賃借し続けなければならないし、一方新賃借人は、店舗内の動産の譲受と同時に、物件を賃借し始めなければならない、というわけです。

そして、これら諸条件を満たす唯一の方法が、スケルトン物件の賃貸借と店舗内の動産の売買(譲渡)を、同時に行なうことなのです。

居抜き物件では、リース品を精算しなければならない

実は前賃借人が備え付けた動産の中には、自らの所有物ではない機器等が混在している場合があります。

リース品です。

実はこのリース品の扱いは、居抜き物件初心者の方には非常に難易度が高いです。

しかし宅建業者として居抜き物件に関わる以上、どうしても押さえておかなければならないことです。

以下の記事で、少し詳しめにご説明しております。

是非ご参照ください。

賃借人(譲渡人)が居抜き物件での引渡しを断念する場合の手順と注意点

店舗営業を続けながら新賃借人(動産の譲受人)を募っているけど、なかなか見つからない、そんな時当初の賃借人は、通常の退去を考え始めます。

なぜなら新賃借人(譲受人)を募る以上は、賃料を払い続けなければならないからです。

そのような場合、退去までの手順はどうなるでしょう?

ここでしっかり確認しておきましょう。

賃貸借契約の解約前予告の確認

事業用建物賃貸物件は、解約前予告が3ヶ月前だったり6ヶ月前だったりします。

居抜き物件の引渡しが成立した場合、賃貸人に空室リスクはありません。したがって一般的に居抜き物件の募集では、解約前予告の定めに縛られることはありません。

しかし、途中から通常の退去に切り替えた場合、解約前予告の定め通りにしなければなりません。

私たち不動産業者が居抜き物件の譲渡人側仲介に携わる場合には、この点をしっかり押さえておきましょう。

スケルトンへの原状回復義務

当初の賃借人が店舗内の動産の譲渡を断念し、通常の退去に切り替えるということは、賃貸人に物件を明渡すということです。

明渡しに際しては、賃借人には原状回復義務が伴います。

居抜き物件の賃貸借の対象は、スケルトン物件です。

よって賃借人は、スケルトンに原状回復しなければなりません。

居抜き物件の譲渡人側仲介に携わる場合には、この点もしっかり押さえておきましょう。

居抜き物件では、譲渡断念よりも無償譲渡のほうが特なケースも

このように、通常の退去に切り替えるということは、退去完了までの3ヶ月分ないし6ヶ月分の家賃、及びスケルトン戻しの工事費用を、負担しなければならなくなります。

したがって、当初の賃借人の動産は、希望額より安くても譲渡してしまったほうが有利な場合が少なくありません。

また状況によっては、無償譲渡に踏み切ったほうが良い場合もあります。

居抜き物件の譲渡人側仲介に携わる場合は、このように、譲渡価格を速やかに見直したほうが良い場合があることを、覚えておきましょう。

居抜き物件のメリットとデメリット

居抜き物件には様々なメリットがある一方、デメリットもあります。

このメリットとデメリットは、とりわけ、譲渡受人側仲介として関わる場合に押さえておくと良いです。

下記の通りです。

居抜き物件のメリット

・初期の金銭的負担が軽減できる。

居抜き物件のデメリット

・内装や機器等が中古品のため、故障や破損のリスクは新品よりも当然高まる。

・店舗内装の自由度が制限される。

・店舗運営を終えて譲渡する場合、更なる中古品になるため、希望よりも安めの価格に設定せざるを得ない場合が多い。

居抜き物件を仲介した場合の、宅建業者の手数料

居抜き物件を仲介した場合、宅建業者は賃貸借契約の仲介手数料とは別に、造作譲渡契約の手数料を頂くのが一般的です。

譲渡人側に付いたら譲渡人から、譲受人側に付いたら譲受人から、双方に付いたら双方から頂くのが一般的です。

また、その上限額に定めはありません。

造作譲渡契約の対象物は動産であって不動産ではないため、宅建業法の規制を受けないからです。

手数料の額は、地域によって様々なようですし、また同じ地域内でも、業者によって様々なようです。

譲渡額の7%から10%(税別)あたりが相場のようです。また、一律幾らとしているところもあり、25万から30万(税別)あたりが相場のようです。

居抜き物件の契約と引渡し

居抜き物件は、契約をしてから決済・引渡しまでのあいだに、やらなければならないことが様々あります。

概ね、下記の通りです。

居抜き物件の契約時にやること

・賃貸借契約と造作譲渡契約の締結
・譲渡金の手付金の授受
・造作譲渡契約手数料の半金の受領(引渡し時に一括で受領する場合もあります)
・譲渡対象物リストに基く対象物の明示
・譲渡対象物の動作確認

居抜き物件を契約してから引渡すまでのあいだにやること

・リース品があれば精算(前賃借人【譲渡人】)
・譲渡対象物以外の備品の撤去(前賃借人【譲渡人】)
・ライフライン等の名義変更(前賃借人【譲渡人】)
・賃貸借契約の初期費用の振込み(新賃借人【譲受人】)

居抜き物件の決済・引渡し時にやること

・譲渡金の残代金の授受
・前賃借人(譲渡人)から新賃借人(譲受人)への鍵のお渡し
・造作譲渡契約手数料の残半金の受領

まとめ

居抜き物件は、最初複雑で難しい印象があるかと思いますが、分解して一つ一つ丁寧に見ていくと、スッキリ理解できると思います!

最後にもう一度内容を確認しておきましょう。

□居抜き物件とは

1.スケルトン物件の賃貸借取引
2.店舗内装造作物の売買取引
3.上記1と2を同時に行う

□リース品の取り扱いには要注意

□賃借人(譲渡人)が居抜き物件での引渡しを断念したら

・解約前予告の規定に基き解約日が決まる
・スケルトンへの原因回復義務を負う
・場合によっては無償譲渡も

□居抜き物件のメリット

・初期の金銭的負担が軽減できる。

□居抜き物件のデメリット

・故障や破損のリスクが高い
・店舗内装の自由度が制限
・改めて譲渡する場合、設定価格が安め

□造作譲渡契約の手数料

・譲渡額の7%から10%(税別)あたりが相場のよう
・一律の場合、25万から30万(税別)あたりが相場のよう

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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