公図・字図は通称!法務局の14条地図と地図に準ずる図面とは

お部屋探しなど不動産賃貸営業に携わっていると、売買営業の方々等がよく口にするコウズとかアザズって、何のことだかサッパリ分からないですよね!

でもこの記事を読めば、それらが何なのか分かります。

コウズは公図、アザズは字図と書きます。

この記事では、建物賃貸取引ではほとんど扱わないこれら公図・字図について、超初心者の方向けにご説明します!

人材育成が行き届いた職場でしたら別ですが、一般的な不動産会社では、公図・字図について教えて頂ける機会は、実はあまり無いように思います。

是非この機会に押さえてしまいましょう!

では、どうぞ。

目次

売買営業の方々、公図・字図で何調べてる?

お部屋探しなど賃貸取引ではあまり扱いませんが、取引の幅が広がってくると扱うものの1つに、公図(コウズ)とか字図(アザズ)と呼ばれるものがあります。

売買取引に至っては、これらは必須アイテムです。

公図・字図を扱っている方々は、これらで一体何を調べているのでしょう?

実は、私たち不動産会社が扱う案件には、対象不動産を調査しないと実態が分からない案件がたくさんあります。

物件が特定できていないので特定する必要があったり、一見対象地だと思ったら、調べたら実は隣接地だったり、対象地がしっかり道路に接道している思って調べてみたら、実は他人の土地が細く割って入っていたり。

公図・字図を活用している方々は、実はこれらを調べているのです。

さて、このような公図・字図ですが、実は正式名称は異なります。

公図(コウズ)・字図(アザズ)は、通称にすぎません。

次に、この点についてご説明します。

「14条地図」及び「地図に準ずる図面」とは

売買営業員等の方々が公図・字図と言うとき、それは法務局に備わっているマップ(注)を指します。

法務局に備わっているマップとは、正式には「14条地図(単に「地図」とも言います)」と「地図に準ずる図面」のことです。

売買営業員は「14条地図」及び「地図に準ずる図面」のことを、通称として公図・字図と言っているのです。

以下にこれらについて、少し詳しく見ていきましょう。

「14条地図」及び「地図に準ずる図面」に表されていることとは

「14条地図」及び「地図に準ずる図面」には、一体何が記されているのでしょう?

土地の数を数えるとき、その最小単位を「筆」と言います。

土地は、1筆、2筆と数えます。

そしてそれら土地の1筆ごとには、「地番」が割り当てられています。

「14条地図」及び「地図に準ずる図面」とは、法務局に備わっている、1筆ごとの土地の位置や形状が、地番と共に表されている図面のことなのです。

「14条地図」と「地図に準ずる図面」の違い

「14条地図」と「地図に準ずる図面」の違いについて、あまり深掘りせずにご説明します。

これら法務局に備わっているマップは、実は随分前に作成されたものを元にしています。

そして当時はまだ測量技術が乏しかったというのが理由とされていますが、それらマップと現況が相違している場合が少なくありません。

経験のある方はお分かりだと思いますが、本当に相違していたりします。

このようなこともあり只今我が国では、この法務局に備えておくべきマップのリニューアル作業に取り組んでいます。

そして、リニューアル後のマップを「(不動産登記法で言う)地図」と言います。あるいは「14条地図」とも言います。

「地図」(=「14条地図」)は、さすがに昨今の測量技術による測量に基づくだけあって、かなり高精度です。

一方、リニューアル前のマップのことを「地図に準ずる図面」と言います。こちらは不動産登記法で言う「地図」とは言いません。

繰り返しになりますが、不動産登記法においては、「14条地図」のみを「地図」と言います。

上述の「現況との相違が見受けられるマップ」とは、この「地図に準ずる図面」のことです。

通称としての公図・字図

先程、公図・字図は通称です、と申しました。このことについて簡単に言及しておきます。

法務局のマップのことを差す公図とか字図という言葉ですが、これらのどっちを用いるかは、どうも地域によって相違があるようです。

法務局のマップのことを、ある地域では公図と言い、また別の地域では字図と言っているようです。

とは言え同一地域内でも、ある不動産会社は公図と言い、隣の不動産会社では字図と言っていたりします。

また別の切り口で申しますと、これは概ね公図についてですが、ある地域では、「14条地図」及び「地図に準ずる図面」の双方を公図と言ったりします。

そうかと思えば、「14条地図」と差別化して、「地図に準ずる図面」だけを公図と言う地域もあるようです。

そしてどうやら、この「地図に準ずる図面」のみを公図と言う用いり方は、全国的にもかなり根強いようです。

何だかややこしいですね。

いずれにしても大切なのは、法務局のマップの正式名称が「地図」(=「14条地図」)及び「地図に準ずる図面」という点です。

この点だけは、しっかり押さえておきましょう!

(注)

「地図」という言葉は、広義では様々なタイプの地図の総称でしょうが、狭義では、不動産登記法における「14条地図」そのものを差します。

この項では、両者を区別するために、広義での「地図」を意図的に「マップ」と記しております。

「14条地図」及び「地図に準ずる図面」が活用される具体的場面

ここで改めて、「14条地図」と「地図に準ずる図面」がどういうふうに活用されているか、そのごく一部ですが、確認しておくことにしましょう。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」による、物件の特定

実は不動産会社には、下記のような売却依頼が普通に来ます。

「街外れの土地を数年前に父から相続しました。父が生きてた時はそこで野菜を作っていましたが、今は放ったらかしにしています。私自身その土地のことはよく知りません。使わずに固定資産税だけ払ってるので、もう売却したい」

このような案件は、対象地の特定が困難だったりしますが、「14条地図」・「地図に準ずる図面」によって、ある程度特定することができます。

なお少し本筋とずれますが、1点大切なことをお伝えします。

実は宅建業者による不動産の初期調査では、どんなに頑張っても対象地を完璧に特定することはできません。

対象地を完璧に特定するとは、境界を確定させるというです。

境界を確定させるには、土地家屋調査士という有資格者による、確定測量が必要です。

しかしこれには高額な費用がかかります。

売却ご依頼者様からすれば、買い手が見つかる前に実施するには抵抗があります。

このような理由から、確定測量を要する不動産売買は一般的に、売買契約締結→確定測量による境界確認→決済・引渡しの順に行われるのです。

したがって、ここで言う対象地の特定とは「確定」ではなく、売り出せるレベル、売買契約できるレベルまでの特定、ということになります。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」による、別筆の小さな隣接地

「地図に準ずる図面」について言えば、場合によっては現況との相違が見受けられます。

しかし一般的には、その相違とは形や大きさについてであって、地番○○の土地の隣接地は地番△△になる、といったような筆ごとの「並び」については、信頼性が高いです。

土地には、現況では対象地の一部に見えるものの、実は別筆の小さな隣接地だった、という場合があったりします。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」は、このような隣接地を見つけ出すツールとして活用されます。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」による、接道の確認

対象地に建築物を建築するためには、その対象地が接道義務を満たしている必要がありますよね。

実は土地には、外観は接道義務を満たしているように見えても、対象地と前面道路の間の一部に、細長い別筆が入り込んでいたりする場合があります。

その別筆も道路の一部だったら問題無いですが、対象地の所有者とは別の所有者が所有しする土地だったりしたら困ってしまいます。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」は、このような点の確認ツールとして活用されます。

(注)

「14条地図」・「地図に準ずる図面」は、上記以外にも様々な場面で活用されます。

「14条地図」・「地図に準ずる図面」の取得方法

「14条地図」・「地図に準ずる図面」は、登記簿等と同じように、法務局に備えられています。

取得は法務局で可能です。

また登記情報等と同様に、登記情報提供サービスでその写しを取得できます。

手順としてはまず、登記情報提供サービスの「不動産請求」の画面を開きます。

下のほうに「請求内容選択」とありますので、その中の「地図」にチェックを入れます。

あとは地番検索すれば、その地番及びその周辺を納めた「14条地図」・「地図に準ずる図面」の写しが抽出されます。

「14条地図」と「地図に準ずる図面」の見分け方法

では抽出された「14条地図」あるいは「地図に準ずる図面」が、そのどちらなのかは、何処を見れば確認できるのでしょう?

それは、紙面の下のほうの「分類」のところを見れば分かります。

「分類」のところが、「地図(法第14条第1項)」となっていれば、それは「地図(=14条地図)」です。

一方「地図に準ずる図面」となっていたら、それは「地図に準ずる図面」になります。

そのままですね!

まとめ

いかがでしたか?

呼称、公図・字図、正式名称「地図(=14条地図)」・「地図に準ずる図面」は、扱い慣れるには、やはり幾分かの時間を要します。

まずは是非この機会に、そのおおまかな全体像を掴んで頂けたら幸いに存じます。

最後にもう一度、内容を確認しておきましょう!

□「14条地図」・「地図に準ずる図面」とは

法務局に備わっている、1筆ごとの土地の位置や形状が、地番と共に表されている図面

□「14条地図」と「地図に準ずる図面」の違い

・「地図に準ずる図面」→法務局に当初から備えられていたもの

・「14条地図」→単に「地図」とも/「地図に準ずる図面」から新たに備え替えられたもの

□公図・字図とは

「14条地図」・「地図に準ずる図面」の通称/地域によって用いられ方は様々

□「14条地図」・「地図に準ずる図面」の活用場面(一部)

対象地特定の手掛かりとして/別筆の小さな隣接地を見つけ出すツールとして/接道の確認ツールとして/他

□「14条地図」・「地図に準ずる図面」の取得方法

法務局/登記情報提供サービス

□「14条地図」・「地図に準ずる図面」の見分け方

紙面下の「分類」を確認

この記事は、以上になります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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