不動産取引に携わると、物件場所を表す言葉に、地番や家屋番号などが出て来て混乱しませんか?
でもこの記事を読めば、地番・「番地」・家屋番号の違いが解ります!
この記事では、重要事項説明書の「所在(地)」のところの正しい記載方法を、地番・「番地」・家屋番号の違いと共にご説明します。
また一緒に、登記情報提供サービス利用上の注意点もご説明します。
実はこの辺りのことは、ある程度キャリアをお持ちの方でも間違ったりします。
この機会にキッチリ押さえてしまいましょう!
では、どうぞ。
地番と家屋番号
さてここから、以下の2点についてご説明して参ります。
・重要事項説明書の「所在(地)」の欄には何を記載すべきか。
・登記情報提供サービス(注)でそれらを正しく検索するには、何に気をつければいいか。
そこでまずは、地番とはどういうものか、家屋番号とはどういうものか、について見て参りたいと思います。
下記の通りです。
(注)
この記事でいう「登記情報提供サービス」とは、私たち宅建業者が日頃活用する、登記情報をインターネットで確認できる有料サービスのことです。
地番とは
土地1つ1つの単位を「筆(ひつ)」と言いますが、地番とは、法務局が、不動産登記法に則って、土地を特定するために付けた番号のことです。
ポイントは3つです。
1つ目は、△△町○○番や、△△町○○番□など、「番」で表されるということです。
2つ目は、対象不動産が土地である、ということです。
3つ目は、管理元が法務局である、ということです。
整理しますと、地番とは、法務局が管理する、土地を「番」で表した番号のことです。
家屋番号とは
法務局では、土地と建物を別々に管理します。
したがって、もし土地上に建物が建っていたら、その土地建物は、土地は土地、建物は建物で番号管理されることになります。
そして家屋番号とは、いわば地番の建物バージョンのことです。
家屋番号とは、法務局が、不動産登記法に則って、建物を特定するために付けた番号のことです。
やはり「番」で表されます。
地番と家屋番号とで番号相違している土地建物物件
ここで1点、とても大切なことを申し上げます。
それは、「地番と家屋番号は、必ずしも同一番号ではない」ということです。
今仮に○○町に、とある土地建物があるとします。そしてその土地の地番が、「○○町123番5」だとします。
この場合、通常は、この土地上の建物の家屋番号も、「123番5」です。
しかし稀に、地番は「○○町123番5」
だけど、家屋番号は「123番5」でない、という場合があります。
この点は、是非とも押さえておきましょう!
と申しますのも、この点をご存じないと、登記情報提供サービスで建物登記情報を検索する際に、正しく検索できない場合があるからです。
きちんと建物登記されている物件にもかかわらず、検索してみたら探し切れなくて、「ああ、この建物は未登記なんだな」と、間違った早合点をしてしまう、などの早合点です。
この手の早合点は、実は、登記情報サービスを活用する際に知っておきたい操作上の注意点(詳しくは後述します)を、ご存じないことが根本原因だったりします。
とは言え、「地番と家屋番号は、必ずしも同一番号ではない」ということは、私たち宅建業者は是非とも知っておきたいことかと思います。
登記情報提供サービス利用の際は、しっかり念頭に置いておくようにしましょう!
建物の登記情報に出てくる「○○番地」の意味
建物の登記情報を見ていると、「○○番地」という表記が出てきますよね。
これは一体どういうことでしょう?
じつはこれは、その建物が建っている場所を表しています。
仮に建物登記情報が、「○○町123番地5」となっているとします。
これが意味しているのは、「この建物が建っている場所は、地番が『○○町123番5』の土地の上ですよ」ということです。
これは不動産登記法で、「建物が存在している場所は地番で表しましょう、そしてそのことを登記簿に記録する際は、その土地の地番の『番』の後に『地』を付けて、『番地』としましょう」と決まっているからです。
「○○町123番5」の土地に建っている建物を、登記簿に記録する場合は、「○○町123番地5」と記録しましょうと決まっている、ということです。
ここで今一度、家屋番号のお話に戻ります。
先程、「地番と家屋番号は、必ずしも同一番号ではない」と申しました。
このことは、ここでも言えます。
地番と家屋番号に加え、「番地」も含めてそれらの関係性についてご説明します。
登記情報の地番が「○○町123番5」となっている1筆の土地があるとします。
もし、この土地上に建物があるとしたら、その建物の登記情報は、所在の欄には「○○町123番地5」と記載されているはずです。
そして一般的には、その建物の登記情報の家屋番号の欄は「123番5」になります。(ちなみに繰り返しますが、「番地」ではありません。家屋番号は「番」です。「番地」はあくまでも、その建物の所在です。)
整理すると下記のようになります。
●土地の登記情報の「所在」の欄
→○○町123番5
●建物の登記情報の「所在」の欄
→○○町123番地5
●建物の登記情報の「家屋番号」の欄
→123番5
一般的にはこのようになります。
しかし家屋番号は、地番同様、その建物の所在(=「番地」)とは、必ずしも同一番号ではありません。
下記のような場合があり得ます。
●土地の登記情報の「所在」の欄
→○○町123番5
●建物の登記情報の「所在」の欄
→○○町123番地5
●建物の登記情報の「家屋番号」の欄
→*同一でない他の番号
重要事項説明書の「不動産の表示」の「所在(地)」欄に記載すべき事項
これまでのご説明を踏まえ、ここから、不動産取引の重要事項説明書にある、対象不動産の表示の中の「所在(地)」の欄の記載方法について見て参ります。
取引の種類ごとに記しますと、下記のようになります。
土地建物の売買の場合
一般的な土地建物売買の重説の書式では、不動産の表示を、土地と建物それぞれについて記載するようになっているかと思います。
したがって「所在」あるいは「所在地」も、別個の記載となります。
すなわち、重説の土地の「所在(地)」の欄には、土地の登記情報の地番を、建物の「所在(地)」には、建物の登記情報の所在(=「番地」)を記載します。
建物は、家屋番号ではなく、所在(=「番地」)を記載する点に注意しましょう!
●土地→番地
●建物→所在(=「番地」)*家屋番号でない
土地の売買及び賃貸借の場合
この取引の場合、建物は登場しません。したがって重要においても、設けられているのは土地の表示だけです。当然「所在(地)」の欄は、土地の登記情報の地番を記載します。
●土地→番地
建物の賃貸借の場合
実は、これが一番間違いやすいです。
一般的な建物賃貸借の重要事項説明書には、建物の表示しか設けられておらず、したがって、建物の「所在(地)」の欄しか記載箇所がありません。
結論としては、建物の登記情報の所在(=「番地」)を記載します(やはり家屋番号ではない点に注意しましょう)。
●建物→所在(=「番地」)*家屋番号でない
この場合、土地の登記情報の確認しなくても、建物の登記情報だけの確認によって、重要事項説明書の記載が出来てしまうのです。
実はこの点が、逆に気をつけなければならない点です。
売買取引の場合、建物取引は必ずその下の土地取引とセットで成されます(建物だけの取引も可能ですがこの記事では、その辺りの詳細は割愛します)。
したがってその建物が、間違いなくその土地の上に建っているということを、必然的に検証することになります。
しかし建物賃貸借では、この検証をしなくても、重要事項説明書は作成できてしまうわけです。
実は、この検証をしないということは、目当てとする建物登記情報を、正しく抽出できていないかもしれない、というリスクが潜んでいます。
抽出した登記情報が、実は目当てとしている建物の隣の建物だった、などの間違いをするリスクです。
賃貸借の取引によっては、賃借人側の建物業者が重要事項説明書を作成する場合もあるかと思います。
その場合、建物の登記情報を確認していて少しでも「あれっ?」と思う箇所があったら、必ず土地の登記情報も確認する必要するようにしましょう。
登記情報提供サービスで建物登記情報を検索する場合の注意点
私たち宅建業者が1つの物件を特定する場合、まずはブルーマップ等で地番を予測し、その地番を元に登記情報提供サービスで登記情報を検索しますよね。
そしてその登記情報を元に、特定しようとする物件が本当にこの物件でよいかどうか検証しますよね。
そしてもし、このような検証をしようとする物件が土地のみだったら、登記情報提供サービスによる検索方法は比較的シンプルです。
すなわち、不動産請求の画面で、請求方法を「所在指定」とし、種別を「土地」にして検索すればいいわけです。
しかしこれが建物のみとなると、少し注意が必要です。
以下にご説明します。
登記情報提供サービスで建物登記情報を検索する場合に起こり得る間違い
そのまま種別を「建物」にして検索してしまうと、登記情報自体が抽出されない可能性があります。
そして本当は、その建物の登記情報は存在しているのに、早合点して「未登録建物」と結論づけをしてしまう可能性があります。
あるいは、目当てとする建物登記情報とは別のものが抽出されてしまう可能性もないとは言えないです。
しかもこの場合、検索した当事者がそのことに気付けないかもしれないのです。
なぜこのような間違いが起きるのか、その理由の1つには繰り返しになってしまいますが、地番と家屋番号とで、番号相違している場合があるからです。
このような間違いは、建物賃貸借での重要事項説明書作成時に起こる可能性があります。
取引によっては、賃借人側の仲介業者が重要事項説明書を作成する場合もあるかと思います。
そういう場合には、更に慎重に検証する必要があるように思います。
ではこのような間違いを防ぐには、また間違ったとしてもそれに気づけるようにするには、どうしたら良いでしょう?
次に、そのことについてご説明します。
登記情報提供サービスで建物登記情報を正しく抽出するための手順
ブルーマップ等で得た地番を元に、建物の登記情報を、登記情報提供サービスでより精度高く抽出するためには、どう操作したらいいのでしょう?
それは、「土地からの建物検索指定」を用いることにあります。
登記情報提供サービスの不動産請求の画面のデフォルトでは、請求方法のところが「所在指定」になっています。
この「所在指定」のチェックを「土地からの建物検索指定」に変えるのです。
そうすることで、ブルーマップ等で予測した地番の土地上に建つ建物の登記情報を抽出することができます。
建物の所在(=番地)に基づいた登記情報が、地番と家屋番号の番号相違に関係無く抽出されるのです。
土地の登記情報の検証をせずとも、建物の登記情報の検証だけでこと足りてしまうような、建物賃貸借の重説作成時のような場合には、この「土地からの建物検索指定」の方法で検索されることをお勧めします!
まとめ
いかがでしたか?
今回ご説明させて頂いた内容は、「一度押さえてしまえば後はもう安心!」といった内容かと存じます。
登記情報提供サービスによる対象不動産の所在特定についてご不安をお持ちでしたら、是非参考になさってみてください!
最後にもう一度、内容を確認しておきましょう。
□地番と家屋番号(法務局管理)
・地番→土地を「番」で表した番号
・家屋番号→建物を「番」で表した番号
(*これらは番号相違する場合あり)
□所在
・土地→番
・建物→番地
□重説の「不動産の表示」の所在(地)
・土地建物売買→土地の所在/建物の所在
・土地賃貸借及び売買→土地の所在
・建物賃貸借→建物の所在(◎要注意)
□登記情報提供サービスによる、建物登記情報検索時の注意点
検索は「土地からの建物検索指定」で!
この記事は、以上となります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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