投資用不動産の基礎用語!総合不動産会社の売買営業初心者の方向け

不動産会社で賃貸営業から売買に移ってまだ日が浅いと、先輩方が時折用いている投資用不動産(収益物件)に関する用語がわからず、マズイナ~と感じたことはないですか?

でも実は、この記事を読めば基本的な用語が確認できます!

この記事では、いわゆる総合不動産会社の売買営業部の方が押さえたい投資用不動産(収益物件)の基礎用語について、初心者の方向けにご説明します。

早速参りましょう!

(注)

この記事は、総合不動産会社の売買営業初心者の方々向けです。

テレアポ等を主体とした、いわゆる投資用マンションの販売営業等の方々には、適さない内容かと存じます。

目次

実需と投資用

お部屋探し等の不動産賃貸営業に携わっているとあまり馴染みがありませんが、実は不動産売買営業においては、投資家さんと呼ばれる方々がお客様になる場合があります。

つまり実際に住んだり、店舗や事務所として利用するために物件を購入するのでなく、投資対象として購入するお客様方です。

そこでまず最初に、押さえておきたい2つの用語がございます。

「実需」という用語と「投資用」という用語です。

不動産業界では、これらの用語は対象的に用いられます。

実需とは、実際の需要という意味です。

主に金融とか証券の業界の言葉のようですが、不動産業界においては、そのまま「実需」と言ったり、「実需用物件」とか「実需向け物件」という言い方で用いられます。

一方投資用とは、いわゆる投資目的で売り買いされる物のことで、不動産業界においては「投資用不動産」とか「投資用物件」という言い方で用いられます。

また投資用不動産のことを「収益物件」とも言います。

実需が、実際に住んだり、店を営業したり、事務所や倉庫として利用するために購入される物件であるのに対し投資用不動産(収益物件)は、一般的には賃借人が付いている、あるいは付く予定の物件です。

ただし、空室物件を投資目的で購入する場合もあります。

また新築の投資用分譲マンションの一室を、実需目的で購入するお客様もいらっしゃいます。

なので一概に、投資用不動産(収益物件)=賃借人付きとは言えません。

更には、賃借人付きの分譲マンションの一室を購入してしばらく運用し、賃借人の退去後にリフォームして、実需として売り出す場合もあります。

不動産売買営業の現場では、実際に需要向け物件とか投資用不動産(収益物件)という言葉が用いられますが、あくまで購入目的が実需か投資用かがポイントです。

投資用不動産(収益物件)の案内方法

投資用不動産(収益物件)は、一般的に賃借人が賃借しています。

したがって物件を購入しようとする方は、物件を内見せずに購入するかしないかを判断するのが一般的です。

賃借人にお願いして内見させて頂くようなことは普通はしません。

仮に現地案内する場合でも、ご覧頂けるのは外観と共有部分のみになったりします。

分譲マンションの一室の場合、実需向けとして売り出されている他の号室があったら、参考としてそこを内見案内する場合はあります。

投資用不動産(収益物件)の場合、お客様が購入するかしないかの判断材料は、現場よりもむしろ、立地条件や物件概要、更には投資用不動産(収益物件)特有の参考資料(詳しくは後述します)になります。

投資用不動産(収益物件)の用語

実需向け物件については、私達宅建業者がイメージする、いわゆる通常の売買取引という認識で良いと思います。

一方投資用不動産(収益物件)の売買においては、通常の用語に加え、それ特有の用語も用いられます。

以下に見て参りましょう!

オーナーチェンジ物件

繰り返しになってしまいますが、投資用不動産(収益物件)は、一般的に賃借人様が賃借中です。

そしてこのような、賃借人様が賃借中の物件のことを、オーナーチェンジ物件と言います。

その物件に住んでいたり、店舗営業していてりする賃借人様は変わらず、物件のオーナーだけがチェンジするのでオーナーチェンジ物件と言われます。

売買営業担当者が、オーナーチェンジ物件の取引に携わる場合、特に気を付けておきたいことが3つあります。

1つ目は上記で申し上げた通り、オーナーチェンジ物件は原則内見ができないという点です。

そして2つ目ですが、売主様と賃借人様とのあいだで交わされた賃貸借契約の内容は、原則買主様に承継される、ということです。

敷金も承継されます。

そして3つ目ですが、買主様がローンを利用しようとする場合、オーナーチェンジ物件は住宅ローンが使えない、という点です。

住宅ローンは、あくまで実需目的のうち、住宅として使う場合に限り利用可能なローンです。

そこに賃借人様が住んでいらっしゃる以上、買主様が住むことはできませんよね。

よって住宅ローンは利用できません。

レントロール

オーナーチェンジ物件の中には、分譲でない(ワンオーナーの)賃貸マンションやアパートもございます。

そして、そのような物件の賃料収入を、一覧表にしたものをレントロールと言います。

縦軸に「部屋番号」を、横軸に「間取り」、「個人法人の別」、「面積」、「賃料」、「共益費」、「敷金」等を記した表です。

レントロールは、オーナーチェンジ物件を購入しようとするお客様が購入するかしないかを判断する大変重要な書類です。

オーナーチェンジ物件を投資用不動産(収益物件)としてご検討されるお客様には、しっかりお見せしましょう。

秘密保持誓約書(略称:CA)

投資用不動産(収益物件)の中には、その物件の所有者様あるいは賃借人様が、対外的に事業を営んでいる個人あるいは法人だったりする場合があります。

そしてそういう場合、その物件を購入しようとする方に開示する情報の中に、その物件の所有者様あるいは賃借人様の営業情報や個人情報など、いわゆる秘密情報が含まれる場合があります。

そのような投資用不動産(収益物件)の特性から、「得た情報の中に入っている秘密情報は第三者には開示しないことをお約束します」といった主旨の書面を取り交わす場合があります。

このような書面を、秘密保持契約書(略称:CA)と言います。

宅建業者の中には、投資用不動産(収益物件)を専門的に扱っている業者もございます。

そういう業者とやりとりする時など、頻繁にシーエーという言葉が登場します。

「シーエーもお願いします!」などと言われたら、それは秘密保持誓約書の取り交わしもお願いします、ということです。

この機会に押さえてしまいましょう!

利回り

不動産を投資用不動産(収益物件)として扱う際、「利回り」という用語が頻繁に用いられます。

「利回り」という用語はさらに2つに分けられます。

「表面利回り」と「実質利回り」です。

以下に少しだけ詳しく見ておきましょう!

表面利回りとは

そもそも利回りとは投資した金額に対し、1年間で得た利益をその投資額に対するパーセンテージで表したものです。

例えば、100万円を投資して5年間運用し、50万円の利益を得たとします。

この場合、利回りは利益50万円÷投資額100万円÷5年×100で10%になります。

これが投資用不動産(収益物件)だったらどうなるでしょう?

共益費込みの月額賃料10万円の分譲マンションの一室が、2000万円で売り出されたとします。

この物件の利回りは何%でしょう?

計算式は下記の通りです。

年間利益120万円÷投資額(物件価格)2000万円×100

そして利回りは6%となります。

そしてこの6%という利回りは、もう少し突っ込んで言うと、表面利回りという言い方をします。

表面利回りとは、経費を考慮しない利回りのことです。

【表面利回り】

年間賃料収入 ÷ 購入価格×100

実質利回りとは

不動産を保有するには、様々な費用がかかります。

まず固定資産税がかかります。

また分譲マンションであれば、管理や修繕積立金がかかります。

更にもし管理会社に管理委託したら、その管理料もかかります。

また購入するにも、登記費や仲介手数料など、様々な軽費がかかります。

このような、物件保有にかかる年間の経費と、物件購入にかかる経費を考慮した利回りを、実質利回りと言います。

【実質利回り】

(年間賃料収入-年間諸経費)÷(購入価格+購入時諸経費)×100

(満室)想定利回り

投資用不動産(収益物件)には、一棟もののワンオーナータイプ物件もあります。

そしてこういう物件が投資用不動産(収益物件)として売り出される時、満室でなく空室がある場合もあります。

空室がある場合、今の空室有り状態の利回りとは別に、満室を想定した利回りも求めたりします。

このような、一棟ものの投資用不動産(収益物件)における満室を想定した利回りを(満室)想定利回りと言います。

(満室)想定利回りには、表面利回りの(満室)想定利回りと、実質利回りの(満室)想定利回りがあります。

インカムゲインとキャピタルゲイン

不動産を投資目的で扱う際に、インカムゲインとキャピタルゲインも知っておくとよい用語です。

インカムゲインとキャピタルゲインは不動産に限らず、投資全般に用いられる用語です。

不動産の現場で頻繁に用いられかというと、実はそうでもありません。

インカムゲインは賃料収入、キャピタルゲインは売却益というふうに、普通の用語を用いるケースのほうが多いように思います。

不動産会社、とりわけ総合不動産会社に携わる方々でしたら、これらの用語は知識として知っておく程度でよいかと思います。

インカムゲインとは

投資用語としてのインカムゲインとは、資産を保有していることで継続的に得られる収益のことを言いようです。

では保有資産が不動産だったら、「それを保有していることで継続的に得られる収益」とは何でしょう?

お分かりですよね。

賃料収入です。

私たち不動産に携わる者にとっては、インカムゲインとは、すなわち賃料収入のことです。

キャピタルゲインとは

投資用語としてのキャピタルゲインとは、資産を売却することで得られる売却益のことを言うようです。

売却資産が不動産の場合であっても、そのままですね!

不動産を売却して得られた利益がキャピタルゲインです。

ここで2点だけ、確認しておきたいことがあます。

1つ目は「収益物件」という言葉についてです。

収益物件は、あくまで月々の賃料収入、インカムゲインを見込める物件に対して用いられます。

キャピタルゲインを目的とする物件に対しては、収益物件という用語は通常用いりません。

2つ目はキャピタルゲインは売却「額」でなく売却「益」という点です。

仮に売却額が3200万円だったとして、この額がキャピタルゲインというわけではありません。

幾らで購入したかを考慮する必要があります。

仮に3000万円で購入したら、3200万-3000万で200万円ですね。

この200万円が売却益、キャピタルゲインです。

まとめ

いかがでしたか?

一口に不動産と言っても、本当にいろいろありますよね。

覚えることが多く大変ですが、一つ一つ習得していきましょう!

今回の投資用不動産の内容を、最後にもう一度確認しておきます。

□実需

実際に住んだり、店を営業したり、事務所や倉庫として利用したりするために購入される物件のこと。

□オーナーチェンジ物件

賃借人が賃借したままで売り出され物件のこと。

□レントロール

ワンオーナータイプの集合物件について、賃料収入を一覧表にしたもの。

□秘密保持誓約書(略称:CA)

投資用(収益)物件を検討する際に得た秘密情報等を、第三者に開示しない約束をする書面。

□表面利回り

年間賃料収入 ÷ 購入価格×100

□実質利回り

(年間賃料収入-年間諸経費)÷(購入価格+購入時諸経費)×100

□(満室)想定利回り

ワンオーナータイプの集合物件において、満室を想定した場合の利回り。

□インカムゲイン

不動産においては、投資用不動産(収益物件)の賃料収入のこと。

□キャピタルゲイン

売却益のこと。

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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