「建築許可」と聞いて、「違うでしょ、建築確認の間違いでしょ」と思ったことありませんか?
実はそうではないんです。
「建築許可」という言葉、実際にあるんです!
この記事では、開発許可制度における市街化調整区域での建築許可について、売買初心者の方向けにご説明します。
建築許可を実際に実務で扱うのは、売買初心者の方にはかなりハイレベルです。
とは言え知識として知っておくと、後々安心です。
また以外かもしれませが、実は宅建の勉強をしている方は、言葉としての建築許可を、それとは知らず習得してます!
この記事では、建築許可の宅建参考書での扱われ方も一緒に説明します。
この機会に建築許可を、宅建試験と実務の両方を視野に入れ、押さえてしまいましょう!
では、どうぞ。
(注)
建築許可とは広い意味では、建築基準法や都市計画法などで基本NGとされる建築行為に対し、特定行政庁が特別に許可を与えること全般を言うようです。
この記事では、開発許可制度における市街化調整区域での建築許可に限定し、ご説明します。
建築許可とは?建築確認との違い
私たちにとって比較的身近かな言葉に建築確認がありますよね。
この建築確認と、これから深掘りしていく建築許可とは、一体何が違うのでしょう?
それはおおまかに申しますと、下記の通りです。
・建築確認を求める:「こういう建て方でいいですか?」
・建築許可を求める:「建ててもいいですか?」
つまり建築確認は、建築自体はOKで、その上で建て方を問題にしています。
「これからこういう建築物を建築する予定です。図面その他書類はこれです。建築基準法に適合しているかどうか確認願います」というのが建築確認です。
一方建築許可は、その前の段階を問題にしています。
建築自体がOKなのかNGなのか、そこを問題にしているのが建築許可になります。
以下にその建築許可について、もう少し踏み込んで見ていくことにしましょう。
市街化調整区域の市街化を2重に抑制する仕組み
例えば、昔のお侍さんの時代に、まだどこの国にも属さない荒れ地があったとします。
その荒れ地を巡ってA国とB国が争ってA国が勝ち、そこをA国の民たちが勝手に使用し始めたとします。
民たちはそこに家を建てることにしたとします。
荒れ地の大部分はデコボコしていたので、きれいに整地してから家を建てることにし、一部の平ら部分は、そのまま家を建てることにしたとします。
ところが民の意向とは反対に国は、この荒れ地を市街化調整区域にし、開発許可制度によって、民の家の建築を抑制することにしたとします。
さてこの場合、どういうふうに抑制されるでしょう?
まずは開発行為の規制ですよね。
この場合、大部分のデコボコした土地を整地する行為が開発行為に当たります。
開発行為の規制によって、この土地の大部分が家を建てられなくなります。
もしこの土地のすべてがデコボコしていてら、開発行為1つですべて規制できますよね。
しかし土地によってはこの土地の平らな部分またいに、開発行為をしなくてもそのまま家が建てられる場所があるわけです。
そこで登場するのが、建築行為に対する規制です。
建築行為の規制によって、この土地の平らな部分に家を建てられなくすることができるのです。
このように市街化調整区域における市街化の抑制は、まずは開発行為を規制することで抑制し、そこから漏れるところ、開発行為を要せず土地利用が可能なところに対しては、建築行為を規制することで要せずしているわけです。
市街化調整区域における市街化の抑制は、開発行為と建築行為の2重に規制がかかる、というわけです。
開発許可制度における市街化調整区域での建築許可について
上記の通り市街化調整区域の市街化は、まずは開発行為を規制し、そここら漏れるところについては建築行為を規制して抑制します。
そしてご承知の通り、原則として市街化調整をでは、開発行為は許可さるはませんし、建築行為も許可されません。
しかし場合によっては、許可される場合も稀にあります。
そして、建築行為にあたえられる許可のことを建築許可と
言います。
開発許可が、開発行為を要するところに対し、その行為を許可することであるのに対し、建築許可は、開発行為を要しないところに対し、建築行為を許可することを言います。
上記の例で言えば、平らな部分に家を建てる行為を仮に許可してとしてら、それが建築許可です。
なお建築行為に対して許可を与える制度を、建築許可制度とは言いません。
これはあくまで、開発許可制度の中の一部として捉えるのが一般的なようです。
開発許可制度における建築許可、という言い方が一般的です。
なお建築許可という言葉も、実は通称とのことです。
この制度は、建築行為のみを対象としているのでなく、特定工作物を新たに建設する行為も対象です。
また建築にしても、新築だけを対象としているのでなく、改築や用途変更も範囲に入ってきます。
それらすべてを網羅した許可制度としての名前があるようですが、ややこしいので通称で建築許可と言っているそうです。
宅建の参考書に見る建築許可
さてこのような建築許可ですが、それを定めた法では、この建築許可に関する事項をどのように定めているでしょう?
それは都市計画法の第43条第1項という箇所で、下記のように定められています。
「何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第2号若しくは第3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず(以下省略)」
いかがでしょう?
宅建試験の勉強をなさっている方々の中には、ピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか?
上記に「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」という言葉がありますよね。
そうなんです!
実は建築許可は、宅建の参考書等の中では、開発許可制度の「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」のところで説明されているんです。
「建築許可」という言葉は、宅建の参考書等には、基本的に登場しませんよね。
登場しないとは言えその概要は、実は宅建参考書にしっかり説明されているんです。
宅建の参考書の開発許可制度のところに、「開発許可を受けた開発区域以外の区域内」の建築制限について、原則と例外に分けて言及している箇所があると思います。
その箇所の原則のところに、「都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更・第1種特定工作物の新設はできない」といった主旨の記述が確認できると思います。
ここで言及している都道府県知事の許可こそが、建築許可のことです!
言葉自体こそ登場しませんが、宅建の試験範囲として、宅建の参考書等にしっかりと解説されているんです!
建築許可が不要な場合
繰り返しになってしまいますが、市街化調整区域においては、原則建築行為は許可されません。
しかし例外として、許可不要な場合があります。
この機会に、宅建の参考書に記載されてあおる内容と、売買営業員が知っておきたい内容とに分けて、確認しておきましょう。
建築許可が不要な場合(宅建の参考書等の内容)
宅建の参考書に記載されている内容ベースでは、下記の通りです。
・農林漁業用建築物
・公益上必要な建築物(駅舎・図書館・公民館・変電所等)
・都市計画事業の施行として行う建築物の建築
・その他
建築許可が不要な場合(売買営業員が押さえたい内容)
売買営業員においては、もう少しだけ踏み込んで押さえおくと良いと思います。
下記の通りです。
・農林漁業用建築物、及びそれらの従事者用の住宅の新築・改築・用途変更
・公益上必要な建築物(駅舎・図書館・公民館・変電所等)の新築・改築・用途変更
・都市計画事業の施行として行う建築物の新築・改築・用途変更、及び第一種特定工作物の新設
・非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築・改築・用途変更、及び第一種特定工作物の新設
・仮説住宅の新築
・都市計画事業等により開発行為が行われた区域内で行う新築・改築・用途変更、及び第一種特定工作物の新設
・通常の管理行為、軽易な行為(詳細規定あり)
・従前の敷地内における増改築で、床面積の合計が1.5倍以内のもの(詳細規定あり)
・その他
(注)
実務においては、扱おうとする案件が建築許可不要に該当するかどうかは、必ず所轄の都市計画課に確認しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
なかなか馴染みない建築許可ですが、是非この機会に知識として押さえてさまいましょう。
宅建試験範囲でもありますし、一挙両得ですよ!
最後にもう一度、内容を確認しておきましょう。
□建築確認と建築許可の違い
・建築確認を→「こういう建て方でいいですか?」
・建築許可→「建ててもいいですか?」
□市街化調整区域の市街化を2重に抑制する仕組み
開発行為を規制→建築行為を規制
□開発許可制度における市街化調整区域での建築許可
建築許可とは、市街化調整区域において、建築行為にあたえられる許可のこと
□宅建の参考書に見る「建築許可」
建築許可=「都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更・第1種特定工作物の新設はできない」の箇所の都道府県知事の許可
□建築許可が不要な場合
(*上記をご参照ください)
この記事は以上となります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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