不動産の売買営業員として、中古戸建や住宅用地を扱う際、古いブロック塀が施されている物件がありますよね。
この古いブロック塀、取り扱いに非常に注意を要することをご存じですか?
なぜなら既存の古いブロック塀は、建築基準法違反だったり、既存不適格だったりする場合が多いからです。
この記事では、不動産売買における古いブロック塀調査のポイントについて、不動産売買初心者の方向けにご説明します。
では、参りましょう!
ブロック塀の具体的調査の前に確認すべきこと3つ
今仮に不動産売買の営業員が、物件所有者様から古家付き土地の売却依頼を承ったとします。
その物件の境界と思われる辺りには、ブロック塀が設置されているとします。
その場合、不動産の売買営業員は、そのブロック塀も調査する必要がありますが、ブロック塀そのものの調査の前に、予め確認しておくことが3つあります。
下記の通りです。
1.そのブロック塀の所有者を確認する
2.そのブロック塀が、擁壁の役割も担っていないかどうか確認する
3.そのブロック塀が、実はCP型枠でないかどうか確認する
以下に順番に、少し深掘りしていきましょう。
1.そのブロック塀の所有者を確認する
まずはそのブロック塀が、こちら側の所有者様の所有物なのか、境界の隣地側の方の所有物なのか、明らかにする必要があります。
これは大抵の場合、売却を依頼された所有者様に確認すれば明らかになります。
なお不動産の売却に際しては、境界付近のブロック塀等工作物の所有者を明らかにすることに加え、境界を確認する必要もあります。
そしてその工作物の所有者がどちら側なのか、更にはその工作物に越境があるかないか、またあるとすれば、どういう越境なのか等によって、それぞれ対処策が異なります。
それら対処策の詳細については、他の記事に譲るとして、この記事では、そのブロック塀が、境界のこちら側に、越境することなく存在しており、かつこちら側の所有者様の所有物であることを前提に、ご説明します。
2.そのブロック塀が、擁壁の役割も担っていないかどうか確認する
そもそもブロック塀は、こちら側と向こう側の境界を明らかにし、住む人のプライバシーを確保し、防犯、騒音、防風などから守るために設置されます。
しかし場合にやっては、境界のこちら側と向こう側とに高低差があり、高いほうの土砂が低いほうに崩れ落ちるのを防ぐ役割も担っている場合があります。
このような役割を、土留めといいます。
そしてこのような土留めとしての役割を担う工作物を、擁壁と言います。
ここで日常的にも用いられる「塀」と「擁壁」という言葉について、建築・土木の分野における専門用語としての理解が必要になります。
建築・土木の分野で「塀」とは、プライバシーの確保等を目的として、境界付近に設けられる工作物のことを言います。
一方「擁壁」とは、土砂等が崩れ落ちるのを防ぐために土留めの役割として設けられる工作物のことを言います。
なおここで言う、一般の方々がブロックと呼ぶものは、専門的にはコンクリートブロックと呼ばれます。
建築・土木の専門家の方々は、CBと言ったり表記したりします。
このコンクリートブロックは、一般的に塀として用いられるものされており、擁壁として用いられるものとして作られていないとされています。
もちらんブロックにも、擁壁用に作られているものもあります。
ここでの詳細は省きますが、例えば間知(けんち)ブロックなどかそうです。
しかし一般の方が言うブロック、すなわちコンクリートブロック(CB)は、そうではありません。
したがってコンクリートブロックが、塀としての役割に加え、擁壁としての役割を兼ねている場合は、擁壁部分が許容内の段数である場合等を除き、建築基準法違反とみなされる場合があります。
なお、この後ご説明するコンクリートブロックの調査方法については、そのブロックが擁壁としての役割を担ってないことを前提にご説明します。
3.そのブロック塀が、実はCP型枠でないかどうか確認する
コンクリートブロックと見た感じが似ているものに、CP型枠(かたわく)というものがあります。
CP型枠とは、土留めとしても用いることが許されている、強い強度を持ち合わせたものです。
したがってその工作物が普通のコンクリートブロックでなく、CP型枠だったら、安全性に問題ないと判断される場合が多いようです。
なお、この後ご説明するコンクリートブロックの調査方法については、そのブロックがCP型枠でないことを前提にご説明します。
ブロック塀の安全性の確認は最終的には建築士が判断
ここまで、ブロック塀を調査する前に、予め確認すべき3つのことについてご説明しました。
しかし読んで頂いて、多くの方が、説明の説明が必要とお感じになったのではないでしょうか。
実はブロック塀の調査は、上記で述べた3つの確認点も含め、不動産の売買営業員では、その確認や調査を、完遂することは難しい場合が多いのです。
まず事前の確認においては、そのブロック塀が擁壁を兼ねている場合、逆に何段までだったら違反じゃないのかとか、コンクリートブロックとCP型枠との具体的違いは何なのかなど、疑問が残ったままかと思います。
さらにブロック塀そのものの調査においては、そのブロック塀に鉄筋は入っているかどうかとか、地中に基礎かあるかどうかということまで調査する必要があります。
もちろんそのブロック塀が非常に古くて、明らかに傾きやひび割れがあったら、やりかえ等が必要になってくることは、不動産の売買営業員でも判断できます。
しかし表面的な確認や調査だけでは判断がつかない場合、専門家による確認や調査が必要になってくるのです。
そして、それら専門家等の確認結果・調査結果を元に、最終的に建築士が、そのブロック塀の安全性について判断を下すことになるわけです。
ブロック塀が付いた不動産売買は、重要事項説明による内容説明が大事
このようにブロック塀の調査においては、表面的な調査で、「このブロック塀は継続理由は無理」と判断できる場合を除き、建築士等による調査が必要になります。
したがって、古いブロック塀が付いた不動産を売り渡す場合には、そのブロック塀の調査が完遂しない状態で引渡すケースが多々出てきたりします。
そういう場合、重要事項説明で、そのブロック塀の内容をしっかり説明することが非常に大事になってきます。
建築士等専門家による調査が行われればその調査内容を、またそうでない場合は、調査が不十分で、完遂していない状態にあること、更には、買主様の責任と費用負担で、当該ブロック塀をやるなおす必要性が出てくる可能性があること等を、買主様にしっかりご説明する必要があるわけです。
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