【不動産売買】高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地の注意点

不動産売買の営業員として、中古戸建てや売土地の売買に携わっていると、高低差のある土地や傾斜地、擁壁がある土地を扱いますよね。

実はこれらの物件は、非常に注意して扱わなければならないことをご存じですか?

法令関係や細かいことは他の記事に譲るとして、この記事では、高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地を扱うときの注意点について、不動産初心者の方向けに、わかりやすくご説明します。

この機会に、これらの土地を扱う際に必要な、不動産業従業者としての「目」を身につけてしまいましょう!

では、どうぞ。

目次

高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地を扱う際は注意が必要

不動産業者の売買営業員が扱う宅地がどれも平坦だったら、こんなに楽なことはないですよね。

でも実際には、隣地と高低差があったり、傾斜地に接していたり、擁壁が施されていたりします。

そして、それら高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地を含む宅地を扱う場合、平坦な宅地とは違った様々な注意が必要です。

その高低差や傾斜が一定規模以上だったら、崖(がけ)条例の制限がかかります。

またご存じの通り、場所によっては宅地造成工事規制区域が指定されていますが、扱おうとする高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、宅地造成工事規制区域内にあったら、また別の注意が必要になったりします。

更には、扱おうとする高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、崖(がけ)条例に該当する規模で、かつ宅地造成工事規制区域の区域内だったら、その土地で行おうとする行為が、どちらの規制対象になるか正しく判断し、正しい手続を経る必要があります。

このように高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地は、崖(がけ)条例や宅地造成等規制法等の制限がかかる場合があり、その分慎重に調査されなければなりません。

では崖(がけ)条例の制限も受けず、かつ宅地造成工事規制区域の区域内でなかったら、何も気にしなくていいのでしょうか?

そんなことはありません。

宅地に関係してくる高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地は、崖(がけ)条例や宅地造成等規制法に関係なく、しっかり調査され、安全面に問題があれば、買主様にその旨がしっかり伝えられなければなりません。

また安全かどうかわからなければ、わからない旨、安全でない恐れがある旨を、伝えなければなりません。

高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地の調査には建築士の「目」が必要

では、これら高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地の調査は、不動産の売買営業員が行えば足りるのでしょうか?

その営業員の方が経験豊かな方であれば、ある程度の調査はできると思います。

しかし実は、不動産の売買営業員では、調査を完遂させることはできません。

完遂させるには、建築士による調査が必要です。

建築士による調査の介在が無くても、その高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地にはリスクがある旨をしっかり説明し、買主様がそのことをしっかり理解したうえであれば、引き渡しは可能です。

とは言え一般的には、その物件が売主から買主に引き渡されるプロセスのどこかで、建築士による精度の高い調査が行われるケースが多いです。

例えば、宅建業者が一般の売主様から、古い擁壁が施された古家付き土地の売却依頼を受けたとします。

そしてその宅建業者には、建築士が居なかったとします。

その場合、売主側宅建業者は例えば、「既存擁壁はやりかえが必要になる可能性があります」ということを添えて、売り出したりします。

するとその土地上に新たに家を建てようとする購入希望者は、建築を請け負ってもらう予定の工務店の建築士さんに、その擁壁について詳しく調査してもらったうえで、購入するしないを判断したりします。

このように、売り渡されるまでのプロセスのどこかで、建築士の「目」が入るのが一般的です。

とはいえ、不動産業者の売買営業員が、何から何まで建築士任せでいいかといえば、もちろんそうではありません。

やはり不動産業者の売買営業員も、高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地について、ある程度知っておくことが望ましいです。

以下に順序立てて、見ていくことにしましょう。

高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、崖(がけ)条例に該当する場合

高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、一定規模以上である場合、崖(がけ)条例の対象になる場合があります。

対象かどうかは、その都道府県の崖(がけ)条例の内容を正しく把握していれば、建築士でなくても判断できますが、判断に迷う場合は、やはり建築士が専門知識を元に判断します。

そして崖(がけ)条例の対象であることが明らかになったら、一般的には下記のような制限を受けることになります。

崖(がけ条例)に該当する、高低差のある土地、傾斜地の扱い

その高低差のある土地、ないし傾斜地が崖(がけ)条例に該当していたら、その崖(がけ)の上、ないし下に新たに建築物を建築する場合、定められた距離を、その崖から離して建築しなければなりません。

あるいはその崖に、定められた擁壁を設置しなければなりません。

またその崖付近に既存建築物が建っている場合、その建物と崖とのあいだに、定められた一定の距離が確保されていなかったら、既存不適格物件になります。

売買等によって所有者が変わるタイミング等で、是正されなければなりません。

具体的には、定められた距離を確保できるように建て替えるか、定められた擁壁を設置するかしなければなりません。

崖(がけ条例)に該当する既存擁壁の扱い

崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地に擁壁を施す場合、建築基準法に基づく工作物の確認申請が必要になります。

したがって崖(がけ)条例に該当する既存擁壁には、基本的に検査済証が存在していることになります。

さなわち、崖(がけ)条例に該当する擁壁は、条例に基づいて適法に造られるべきものであり、「この擁壁は適法に造られましたよ」という証明があるはず、ということです。

したがってその検査済証がちゃんと存在しており、その上で建築士がその擁壁の状態をチェックし、問題なしと判断されれば、その擁壁は継続利用できます。

しかし検査済証が無い場合もあり、そういう場合は、擁壁をやりかえなければならない可能性があります。

崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、宅地造成工事規制区域内の場合

崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、宅地造成工事規制区域内にある場合、さらに慎重な調査が必要になります。

宅地造成工事規制区域内にある、崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地の扱い

崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地や傾斜地が、宅地造成工事規制区域の区域内に存在している場合があります。

その場合、それらの崖に何らかの工事を施したり、それら崖付近に建築物の建築計画をしたりする際に、それら工事や計画が、がけ(崖)条例の規制を受けるのか、宅地造成等規制法の規制を受けるのか、建築士でなくては正しく判断できない場合があります。

こういうケースおいては特に慎重に、建築士による調査が必要になると言えます。

またその場所が宅地造成工事規制区域内であれば、その崖の規模が、崖(がけ)条例に該当していなくても、やろうとする工事や計画が、宅地造成等規制法の規制を受ける場合があります。

更に言えば、元が平坦な土地であっても、その場所が宅地造成工事規制区域内であれば、一定規模以上の造成工事をする場合には、宅地造成等規制法の規制を受けることになります。

宅地造成工事規制区域内にある、崖(がけ)条例に該当する擁壁の扱い

崖(がけ)条例に該当する擁壁が、宅地造成工事規制区域内にある場合、その擁壁は、宅地造成等規制法の規制に基づいて設置されることになります。

宅地造成工事規制区域内においては、宅地造成等規制法に基づく擁壁の設置基準が、崖(がけ)条例による建築基準法の設置基準を網羅しており、かつ宅地造成等規制法のほうが、いろいろと厳しく規程されているからです。

宅地造成工事規制区域内で、崖(がけ)条例相当以上の擁壁を設置する場合や、造成工事によって宅地造成等規制法の規制以上の擁壁を設置する場合には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。

その擁壁が適法に造られていたら、基本的には都道府県知事による、宅地造成工事の許可証並びに検査済証明が存在していることになります。

したがってそれらがしっかり存在しており、その上で建築士がその擁壁の状態をチェックし、問題なしと判断できれば、その擁壁は継続利用できます。

そうでない場合、やはりやりかえなければならない可能性があります。

崖(がけ)条例に該当しない高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地で、宅地造成工事規制区域外の場合

街には、宅地造成工事規制区域外にあって、規模が小さく崖(がけ)条例にも該当しない高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地が、たくさん見受けられます。

実はこれらについても、慎重な調査が必要です。

宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない高低差のある土地、傾斜地の扱い

宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない高低差のある土地であっても、安全性が保たれなければならないことに、変わりありません。

それらの付近に新たに建築物を建築する際、建築士の判断で、新たに擁壁を設置する場合もあります。

また計画によっては、その高低差のある土地、傾斜地に工事を施すことで、結果として、崖(がけ)条例に該当する崖を生じさせることになったり、工作物の確認申請を要する擁壁を設置することになる場合があったりします。

その高低差や傾斜が極めて小規模である場合を除き、やはり建築士による慎重な調査が必要であると認識しておいたほうが良さそうです。

宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない既存擁壁の扱い

宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない既存擁壁であっても、古くてひび割れていたり、土圧で傾き気味な擁壁は、やはりマズイです。

そしてお気づきの方もいると思いますが、このタイプの既存擁壁は、実はとても多いです。

崖(がけ)条例云々以前に、安全性が脅かされる擁壁であると言えてしまいます。

崖(がけ)条例に該当する擁壁でなくても、基本的にはやはり、建築士による安全性の調査は求められます。

その上で、建築士が安全であると判断したものでなければ、補修等が必要になりますし、場合によってはやりかえが求められたりします。

また既存擁壁には、素人目には安全そうに見えても、擁壁材そのものが、現行の建築基準法ではアウトのものがあったりします。

例えば古い既存擁壁で、ブロックが積み上げられて造られたものがありますが、この擁壁などは違反になります。

既存擁壁の調査には、崖(がけ)条例に該当しない小規模なものであっても、やはり建築士によるしっかりとした調査が必要であると言えそうです。

まとめ

いかがでしたか?

高低差のある土地、傾斜地、擁壁がある土地については、建築士に負う点がかなり多いです。

とはいえ不動産の売買営業員も、建築士と適切コミュニケーションをとるにあたり、それらに対する知識は、やはり必要です。

この機会にある程度知識を習得し、以後の実務に生かして参りましょう。

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地

崖から一定距離話して建築する必要あり

□崖(がけ)条例に該当する既存擁壁

建築基準法による検査済証が存在する

□宅地造成工事規制区域内にある、崖(がけ)条例に該当する高低差のある土地、傾斜地

崖(がけ)条例による制限を受けるのか、宅地造成等規制法なよる制限を受けるのか、適切に見極めて正しく手続きする必要あり

□宅地造成工事規制区域内にある、崖(がけ)条例に該当する既存擁壁

基本的には宅地造成等規制法による許可証、検査済証が存在する

□宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない該当高低差のある土地、傾斜地

やはり建築士による慎重な調査が望まれる

□宅地造成工事規制区域外にあり、崖(がけ)条例にも該当しない既存擁壁

安全性が確認できなければ、建築士の判断で、やりかえ等必要となる場合あり

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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