例えば宅建業者が、売主または売主側仲介業者として新築戸建てを売り出す場合、買主の購入目的は、至ってシンプルですよね!
目的はその戸建てに住むことであり、買主はそこに住もうとする個人に限られます。
しかしこれが戸建て用地の売り出しとなると、様々な購入目的を持った買主が想定できます。
それは例えば注文住宅を建てようとする個人だったり、建売業者だったりします。
この記事では、戸建て用地の買主として想定できる方々を、その購入目的に着目して4つに分類し、売主側の仲介業者目線でご説明します。
この記事を読めば、煩雑に思われがちな戸建て用地売買の大きな枠組みが、スッキリ整理できます!
この記事が、不動産売買営業員の方々にとって、売買案件の取り扱い幅を広げる一助となれば幸いです。
では、どうぞ。
(注)
この記事では、アパート用地、マンション用地、事業用建物用地等については言及しておりません。
またこの記事は、戸建て用地を売主側の仲介として扱う場合についてのみご説明しております。
注文住宅のハウスメーカーや工務店の方、建売業者の方、買取再販や転売を行う業者の方等には、有益ではありません。
戸建て用地の買主の購入目的は、注文・建売・条件付き宅地・転売の4つ
今仮に売主側の仲介業者として、家の建築にに適する土地(戸建て用地)を売り出しているとします。
この場合、その土地を購入しようする方々はどういう方々でしょう?
実は、宅建業者が戸建て用地を売主側の仲介業者として売り出す場合、買主として想定できる方々を購入目的ごとに分類すると、概ね下記の4つになります。
1.注文住宅を建てようとする個人
2.建売業者
3.建築条件付き土地として売り出しそうとするハウスメーカーや工務店
4.転売しようとする宅建業者や個人
この辺りのことは、実際に戸建て用地売買の取引経験を積むことで、自然に身につく知識だと思います。
とは言え予め知っておくことで、宅建業者の売買営業員として、扱える宅地売買案件の幅が広がります。
以下1つづつ、少し詳しめに見ていくことにしましょう!
1.戸建て用地の買主が、注文住宅を建てようとする個人の場合
古家付きか更地かを問わず、宅建業者が売主側の仲介業務として戸建て用地を売り出す場合、問い合わせてくる方々としてまず思い浮かぶのは、当たり前ですが、その土地に戸建てを建てようとする方々だと思います。
そこで少しだけ、新たに戸建てを持とうとする方々のマインドを想像してみましょう。
その方々は、一番最初に何をするでしょう?
実はそういう方々の中で「まず先に土地を買ってから…」という方は、ゼロではありませんが、少数派のようです。
また仮に土地を先に決めたとしても、土地だけでは住宅ローンを組むことができません。
そういう方々は大抵、先行して建てる戸建ての情報収集を行っている場合が多いようです。
売り出し中の戸建て用地に問い合わせてくる頃には、戸建ての建築をお願いするハウスメーカーや工務店の候補を、何社か絞り込んでいたりします。
住宅用地を売り出す宅建業者としては、そういう方々は、土地探しと平行して、ハウスメーカーや工務店との間で、建てる戸建てについて打ち合わせている場合があることを想定しておきましょう。
そして、売買契約に向け話しが進むプロセスにおいて、それらハウスメーカーや工務店の担当者とやり取りする場合が出てくることも想定しておきましょう。
更に契約から決済までの段取りにおいても、土地売買の都合だけでは進められるず、戸建て新築工事の請負契約の都合を考慮しなければならない場合が出てくることを想定しておきましょう。
例えばハウスメーカーや工務店側は、お客様との間で、戸建て新築工事の図面を完成させた後でないと、お客様に土地の決済引渡しを受けて頂くことができない事情があります。
また土地の売主側の仲介業者としても、例えば売主側で確定測量する場合など、引渡しまで数ヶ月を要する場合があります。
戸建て用地の買主が、その土地に戸建てを建てようとする個人の場合には、買主だけでなく、建築を請け負うハウスメーカーや工務店のことも意識しておく必要があります。
なおこのようなパターンで建築される戸建てのことを、一般的に注文住宅と言います。
注文住宅とは、既に完成された家を土地建物として購入するのでなく、お客様の要望を取り入れて、オーダーメイドで建てる家のことです。
2.戸建て用地の買主が、建売業者の場合
上記で注文住宅について少しご説明しましたが、戸建てには注文住宅以外にもう一つ、建売住宅というものがあります。
建売住宅とは、既に完成している戸建てが、土地と一緒に販売されているタイプの住宅のことです。
そして、これら建売住宅を建築販売する業者を、一般的に建売業者と言います。
建売業者も、日々戸建て用地を探しており、想定される買主の一つと言えます。
建売業者は戸建て用地を購入し、その用地に見合う戸建てをプランニングし、そして建築します。
なお大手とされる建売業者によっては、その社内規定で、建築確認済証の交付を停止条件としなければならない場合があります。
「建築確認済証の交付を停止条件とする」とは、万が一確認済証が交付されない場合、契約は無効になる、というものです。
その建売業者もある程度調査して購入するしないを判断しているので、無効となるのは稀なようですが、その点は売主に、しっかり説明しておく必要があります。
3.戸建て用地の買主が、建築条件付き土地として売り出しそうとするハウスメーカーや工務店の場合
戸建て用地を購入しようとする業者は、そこに戸建てを建築して販売する建売業者だけではありません。
購入したものの、戸建ての建築をせずに販売する業者も存在します。
買い取った戸建て用地に造成工事だけを施し、売り出す業者です。
それら業者は一般的には、造成工事を施した土地に建築条件を付けて売り出します。
そして戸建てを建てようとする顧客を獲得して、注文住宅による戸建てを建てて頂くわけです。
したがってこのようなタイプの買主もやはり、一般的にはハウスメーカーや工務店になります。
4.戸建て用地の買主が、転売しようとする宅建業者や個人の場合
不動産の価格は、戸建て用地に限らず、時期によって高くなったり安くなったりします。
そして戸建て用地に限らず、不動産を購入しようとする方々の中には、不動産のこのような特性に着目し、より高く転売できそうな物件を、常に探している方が居ます。
物件を購入して一定期間所有し、タイミングを見てより高い価格で売り出すわけです。
物件によっては、購入後直ちに転売される場合もあります。
売り出した戸建て用地が、そのような転売を目的として、購入される場合もあります。
なおこの場合の買主は、宅建業者の場合もあれば、宅建業者でない個人の方の場合もあります。
【注意】売側との対応者が、注文住宅を請負うハウスメーカーや工務店の担当者の場合
戸建て用地を購入しようとする方が、注文住宅を建てようとする個人の方の場合、その個人の方ご本人でなく、その方から注文住宅を請け負うハウスメーカーや工務店の担当者が、問い合わせてくる場合があります。
両者の間で既に具体的な話しが進み、あとはいよいよ土地を見つけるだけという場合に、その種の問い合わせが来たりします。
この場合、問い合わせてくるハウスメーカーや工務店の担当者は、売主側の仲介業者からすると、あたかも買主側の仲介業者のような印象を受けますが、そうではありません。
いわばただ単に、土地を購入しようとする個人の方に替わって、やり取りをして頂いているにすぎません。
契約となる場合、個人の方ご本人から仲介手数料を頂くのが一般的です。
ただしハウスメーカーや工務店によっては、グループ会社の不動産会社が、買主からの手数料を受領する場合もあるよです。
また、問い合わせ頂いた段階でしっかり内容を聞き取らないと、個人の方が注文住宅を建てるための土地探しなのか、自社が建築条件付きで売り出すための土地探しなのか、わからなくなります。
話しが進んで契約となる場合、後者のケースでは 、ハウスメーカーや工務店が買主になります。
間違わないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
売主側の仲介業者として戸建て用地に携わる場合は、お問い合わせ頂いた業者ないし個人の購入目的を、しっかり捉えるようにしましょう。
最後にもう一度、内容を確認しておきます。
□戸建て用地を購入しようとする方々の主な購入目的4つ
1.注文住宅を建てようとする個人
2.建売業者
3.建築条件付き土地として売り出しそうとするハウスメーカーや工務店
4.転売しようとする宅建業者や個人
□個人から注文住宅を請け負うハウスメーカーや工務店の担当者が問い合わせてくる場合
契約になった場合の買主は、あくまでその土地に注文住宅を建てようとする個人
この記事は以上となります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
コメント