【不動産売買】土地の価格査定方法を、現役営業員(宅建士)が解説!

不動産会社で売買営業員を始めてまだ日が浅いと、不動産売買物件の価格査定って、どういう方法で行われているか、謎ですよね!

査定対象となる不動産には、土地や中古のマンションや戸建等があるかと思いますが、その査定を、上司や先輩方はどういうふうに行っているのでしょう?

不動産会社が売却の依頼を承った時など、お客様に対して行う価格査定の方法は、実は様々あるようです。

そしてその方法は、個々の売買営業員が、実務経験で培ったノウハウに負うところもあるようです。

とは言えある程度は、「お決まり」の部分があるのも事実です。

この記事では、不動産の価格を査定する方法において、比較的分かりやすく、かつ用いりやすい方法を、1つご紹介します。

一部どうしても、直ちに数値化するのが難しく、概要説明に留まる箇所もございますが、参考にして頂けたらと思います。

では、早速見ていきましょう!

目次

不動産売買の土地価格査定における、拠り所としての固定資産税路線価

不動産会社の賃貸営業部で住居賃貸、いわゆるお部屋探し営業をやっていると、「この辺りでこれぐらいの平米数だったら、賃料はだいたい○○○円だな…」といのが、掴めるようになってきますよね!

「賃料の相場観が掴めてくる」とでも言うのでしょうか。

不動産売買の土地価格査定においても、この感覚は、やはり大事なようです。

でも相場観を掴むためには、そもそもの成約事例数や売り出し物件数が、豊富である必要がありますよね。

でも土地売買は、住居賃貸に較べ、その成約事例は著しく少ないと思います。

それに住居賃貸物件(主にマンションやアパート)だったら、ある程度、類型化というか、パターンみたいなのがあって比較しやすいですが、土地はバラつきがあり過ぎて、比較のしようが無いイメージがありますやね。

土地の価格を査定するにも、比較する絶対数が少ない上に、バラつきがあり過ぎる…、さて、どうしたものでしょう?

でも大丈夫です!

実は、土地の価格を査定する時に、強い味方になってくれるものがあります。

固定資産税路線価です。

役所が示す地価には、公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価というものがありますが、固定資産税路線価はこの4つの中でも、いわば毛細血管みたいに、細部にまで行き渡っていて、土地の価格を査定する時に、一旦立ち返る値として用いるのに最適です。

いわば、不動産売買の土地価格査定において、その拠り所(よりどころ)としやすいです。

不動産売買の土地価格査定における、固定資産税路線価の取り入れ方

ではここから、不動産売買の土地の価格査定に、固定資産税路線価をどのように取り入れたらいいか、一例とともに見ていくことにしましょう。

今仮に、お客様からxという土地の売却依頼を受け、その売却価格を査定しようとしているとします。

そしてレインズを使って、xの近くにある土地の成約事例yを見つけたとします。

偶然にもこのxとyは、形状や面積、その他ありとあらゆる条件がほぼ同一でした(実際そんなケースは、ほぼあり得ませんが)。

さてこの場合、xの査定価格を、そのままyの成約価格と同一としてしまうのは、適切でしょうか?

答えは、NOですよね!

なぜなら、土地そのものの値段が異なるかもしれないからです。

例えば建物、解りやすい例として、新築戸建であれば、それらが同じ建物だったら、何処に建てようと、その価格はほぼ同じと捉えて良さそうですよね。

でも土地は、そうではありません。

仮に駅前の繁華街と、街づくりが及んでいないある場所に、全く同じ形状の土地があったとします。

仮にこれら2つの土地を、同時に売り出すことになったとして、その売り出し価格は同じでしょうか?

違いますよね。

やはり繁華街の土地は高値で、街づくりが及んでいない場所の土地は、それより安価になるだろうと思われます。

これは極端な例ですが、土地にはこのように、それそのものの値段の差異があるわけです。

では実際に、幾ら差異があるのでしょう?

そこで確認すべきなのが、固定資産税路線価です。

固定資産税路線価はインターネットで、(一般財団法人)資産評価システム研究センターというところが出している全国地価マップで閲覧することができます。

今仮に、xのすぐそばの固定資産税路線価がa、yのすぐそばの固定資産税路線価がbだったとします。

確認してみたところ、aはbの1.2倍でした。

したがってこの場合、xの査定価格は、yの成約価格の1.2とするのが妥当であると推測できます。

このように、不動産売買での土地の価格査定では、まずは比較しやすい成約事例を見つけ出し、次にそれぞれの土地の固定資産税路線価を確認して、その2つの固定資産税路線価の差異を算出し、それを査定価格に反映させる、という方法を取ることができます。

あくまで複数ある方法のうちの1つでしょうが、ベテラン営業員の方々も、このやり方を手法のうちの1つとして、持ち合わせている方は多いようです。

なお査定しようとする土地の固定資産税路線価は、すなわち固定資産税の評価額です。

売却依頼者様から固定資産税納税通知書の写しを頂くか、公価証明書を代理取得して、その中の「評価額」を確認してみましょう。

不動産売買での土地価格査定では、固定資産税路線価の年ごとの差異も考慮

ご存じの通り成約事例は、必ずしも当年の事例とは限りません。

その成約事例は、昨年のものかもしれないし、3年前のものかもしれなかったりします。

また、全国地価マップの固定資産税路線価をご確認頂けるとわかりますが、固定資産税路線価は、毎年変わります。

したがって、見つけ出した成約事例のすぐそばの固定資産税路線価を確認する場合には、成約事例の年と同一年の固定資産税路線価を、確認する必要があります。

上記で、査定対象の土地xの査定価格は、成約事例yの1.2倍としましたが、これはあくまで当年の固定資産税路線価に基づく差異であり、実は成約事例は、3年前の事例だったとします。

この場合、拠り所とすべき固定資産税路線価は、当年のものでなく、3年前のものでなければなりません。

そこで、成約事例yのすぐそばの、3年前の固定資産税路線価を確認してみたところ、査定対象地xの固定資産税路線価aは、その1.3倍に相当することが確認できました。

したがってxの査定価格は、成約事例yが3年前のものであることを考慮して、yの1.3倍とするのが適切です。

このように、土地の価格査定においては、その年ごとの差異を、しっかり反映させることが重要です。

なお少し逸れますが、宅建の勉強経験がお有りの方はご存じと思いますが、不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価においては、このような修正で、より精度の高い修正のことを、専門用語で「時点修正」と言います。

不動産売買での土地価格査定では、その土地の個別的要因による差異も考慮

ここまで、査定対象地xの価格査定の方法の1つとして、固定資産税路線価を拠り所にして、成約事例yとの比較で見出だす方法を、ご説明して参りました。

しかしながら上述した方法では、実際の土地の査定方法としては、不充分です。

なぜなら、上述した方法はあくまで、査定対象地xと成約事例yが、同一の面積かつ同一の形状、その他ありとあらゆる点で、同一であることが前提だからです。

しかし現実には、そのようなことはほぼあり得ません。

現実においてはほぼ間違いなく、査定対象地aと成約事例地bは、それぞれに個別的要因があり、全く異なる土地であることが想定されます。

したがって、査定対象地xの土地価格の査定を、成約事例地yとの比較対象で行うにあたっては、それらの個別的要因による差異も、査定価格に反映させる必要があるわけです。

土地価格査定の比較対象地として相応しい成約事例地の条件4つ

上記で、土地価格の査定を成約事例地との比較対象で行う場合には、個別的要因も考慮する必要があると述べました。

話の流れが逆流してしまい、今更ながらのご説明になってしまいますが、そのためには、比較対象とする成約事例地は、下記のような土地であることが好ましいです。

1.前面道路や隣地との高低差が無く、擁壁が施されていない土地

2.正方形や長方形など、形状がすっきりした土地

3.前面道路が建築基準法の道路の土地

4.土砂災害警戒区域等、建築制限がかかっていない土地

土地にはそれぞれ、その価格を下落させる要因(マイナスの個別的要因)がある場合がありますが、上記4つのような土地については、それらが無い、もしくはあっても少ないと言えます。

(注)土地のマイナス個別的要因は、他にも多数ありますが、上記はそれらの中で主要とされるものの一部です。

したがって、成約事例の中からこのような土地を査定の比較対象にすれば、査定対象地の側だけの個別的要因を考慮するだけで良いことになります。

結果として、その土地の価格査定が、ずっとやりやすくなるわけです。

査定対象地に存在するマイナス個別的要因の具体例と、その想定額を査定価格に反映させる方法

ではここから、査定対象地に存在する可能性が高いとされる、マイナスの個別的要因と、その要因による差異の反映の仕方について、幾つか具体的に見ていくことにしましょう。

隣地や前面道路と高低差がある土地は、査定価格が下がる傾向にある

土地売買価格を査定しようとする土地が、隣地や前面道路と高低差がある場合には、査定価格が下がる傾向にあります。

そのような土地は、必要に応じて、新たに擁壁を設置しなければならなかったり、既存擁壁を付け換えなければならない場合が多いです。

そして、その土地上に建築物を建築する際に、それら擁壁に関する工事を施す必要があるとすれば、それはその土地のマイナスの個別的要因となり、価格を査定する場合には、その工事費に相当する額を、差し引く必要があります。

今仮に、査定対象地xは、擁壁付け換え工事を要する土地、成約事例地yは、高低差がほぼ無く、その工事が必要ない土地だとします。

それぞれの固定資産税路線価を確認したところ、査定対象地の固定資産税路線価aは、成約事例地の固定資産税路線価bの1.2倍でした。

なお、xの面積はyの2倍、またyは当年の成約事例だったので、年ごとの差異の考慮(不動産鑑定評価で言う時点修正)は不要だったとします。

この場合、xの査定価格は、下記式のように導き出せます。

x=y×1.2×2-擁壁工事相当額

このように、固定資産税路線価を拠り所にしつつ、成約事例地との差異を算出し、さらに「擁壁工事相当額」というマイナスの個別的要因相当額を差し引いて、算出することができると言えます。

とは言えここで、まと新たな壁にぶち当たりますよね。

「擁壁工事相当額を差し引く」と言いますが、その額って、どうやって算出するのでしょう?

実はこういう時、力量を発揮するのがベテランと言われる方々です。

彼らはこれまでの経験で、「ああ、この場合の擁壁付け換え工事だったら、だいたい○○万円くらいだな…」というのが、概ね掴めていたりするのです。

あるいは、これまでの経験で培った人脈等で、電話1本で、この擁壁を付け換えた場合の概算見積りを入手できたりします。

でも売買営業を始めて間もない方々は、そうはいきませんよね。

果たしてどうすれば、査定対象地の擁壁工事相当額を、知ることができるのでしょう。

実は、こういう場合に役立つのも、成約事例と固定資産税路線価です。

まず成約事例の中から、査定対象地と似たような高低差がある土地を見つけ出します。

見つかったら、出来ればその成約事例地の近くにあり、できれば成約年が同一のものの中から、今度は高低差のほぼ無い成約事例を見つけ出します。

その際土地の面積についても、できる限り同じくらいのものを探します。

もし近くに無かったら、周辺環境が似ていて、かつ固定資産税路線価が同一の地域から見つけ出します。

そして必要に応じ、時点修正を加えたり、固定資産税路線価の差異を反映させたりします。

こうすることで、査定対象地xに類似した、「高低差あり」というマイナスの個別的要因を内包する土地サンプルと、内包しない土地サンプルの2つが見つけ出せたことになります。

後は、内包しない土地の諸々の修正反映後の価格から、内包する土地の単価を差し引きます。

このようにして算出された額は、ザックリとではありますが、高低差のある土地の価格査定において、差し引くべき「擁壁工事相当額」、言い換えれば、考慮すべきマイナスの個別的要因の相当額として、用いることができます。

旗竿地は、査定価格が下がる傾向にある

同様に、土地売買価格を査定しようとする土地が、旗竿地の場合には、そのことがマイナスの個別的要因となり、査定価格が下がる傾向にあります。

では、幾らぐらいさがるのでしょう?

その場合も上記のように、成約事例と固定資産税路線価を用いることで、ある程度の目安を捉えることができます。

査定対象地に類似したような旗竿地の成約事例地をまず見つけ出し、続いて、それと比較対象できそうな四角形の成約事例地を見つけ出します。

必要に応じて、四角形の成約事例地のほうの成約価格に対し、時点修正を加え、固定資産税路線価による差異を反映させます。

更にそれら2つの面積が掛け離れる場合には、その差異も考慮すべきでしょうから、それぞれの坪単価を算出しておきます。

次に、旗竿地の成約事例地の坪単価と、それと比較するための四角形地の成約事例に諸々の修正を加えた坪単価との差額を算出します。

こうすることで、四角形の土地の坪単価と、旗竿地の坪単価との、ザックリとした差額(坪単価)が算出できます。

そして最後に、当初算出した査定額から、この差額(坪単価)に坪数を掛けた額を差し引く、言い換えれば、旗竿地というマイナスの個別的要因を考慮することで、やはりザックリとではありますが、その土地の最終的な査定価格とすることができます。

不動産売買の土地価格査定では、他に様々なマイナスの個別的要因が存在する

ここまで、不動産売買における土地の価格査定において、「高低差あり」の場合と「旗竿地」の場合といった2つのマイナスの個別的要因について、それを査定額に反映させる方法を見て参りました。

とは言え、土地の価格査定において、マイナスの個別的要因となるものは、これら2つだけではもちろんなく、他にもいろいろ存在します。

例えば、下記のものなどもマイナスの個別的要因となり得ます。

・査定対象地の前面道路が、私道を含む位置指定道路である。

・査定対象地が、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内にある。

・査定対象地が、宅地造成工事規制区域内にある。

・査定対象地の前面道路に上水道、あるいは下水道が来ていない。

・査定対象地上に高圧電線が通っていて、その土地に電力会社の地役権が付いている。

これらについても、上述したように、成約事例と固定資産税路線価を用い、だいたいの相当額を算出し、マイナスの個別的要因として、当初の査定額から差し引いて、最終的な査定額を算出する必要があります。

そして更に言えば、これら以外にも、マイナスとなる個別的要因はまだまだ存在するのが実態です。

そして実は、不動産売買での価格査定における、マイナスの個別的要因の抽出作業は、突き詰めますと、不動産売買における、契約不適合責任の対象箇所の抽出作業に直結します。

したがって、不動産売買の経験がまだ不充分な場合には、あまり難易度の高い土地については、ある種の勇気をもって手を引き、上司の方や先輩の方にお任せしてしまったほうが無難だったりします。

またそのような上司や先輩方がいらっしゃらない環境の場合には、残念ですが、お客様に対し、承れない旨をお伝えするようにしましょう。

とは言えせっかくの機会ですので、自主調査は進めて、次の機会に備えておくことをおすすめします。

不動産売買での土地価格査定と建物解体

不動産売買において土地を売り出す時に、その売り出し状態は、様々あります。

土地上に古屋が備わっている状態で、中古戸建でなく土地として売り出す場合もあれば、更地で売り出す場合もあります。

またその土地に古屋が備わっている場合、その解体費用を売主様負担として売り出す(解体更地渡し)か、買主様負担として売り出すか(古屋付き現状渡し)によっても、違ってきます。

したがって、査定時に古家が備わっている土地を、土地として売り出す売買には、その土地の価格を査定した後に、古家の扱い方に応じた売り出し価格を設定する必要があります。

一般的には、解体更地渡しでしたら、その解体費用相当額を査定額に上乗せして売り出します。

この場合、解体費用相当額は、買主様負担となります。

一方、その土地の価格を査定する際の捉え方として、古屋が備わっているという要因を、マイナスの個別的要因として、解体費用相当額を差し引いて最終査定額とする場合もあります。

この場合、解体相当額は売主様負担と捉えられます。

この辺りは、地域性や売主様の意向もあるようですので、それらを踏まえて価格反映させるようにしましょう。

なお、話しは前後してしまいますが、査定対象地の比較対象地として成約事例地を見つけ出す場合には、更地を選ぶようにするか、古屋付きの場合には、その解体工事相当額を、マイナスの個別的要因として差し引くようにしましょう。

不動産売買での土地価格査定と確定測量

不動産の土地売買においては、その土地の地籍測量図が古い場合、土地家屋調査士による、土地の確定測量を行うのが一般的だと思います。

そして、売主様と買主様双方が、宅建業者でない一般の方の場合には、確定測量費用は、売主様負担とするのが一般的であろうと思います。

したがって、そのような土地を売り出す場合には、最終査定額を売り出し額とするものの、引渡しの際には、売主様が確定測量費を負担する必要があることを、売主様に予めお伝えしておく必要があります。

不動産売買での土地価格査定と造成工事

不動産の土地売買においては、その土地を、造成工事を施して売り出す場合と、そのまま(更地のまま、あるいは建物解体しただけのまま)で売り出す場合があります。

一般的には、その土地の売主様が、宅建業者の場合に、造成工事を施して売り出すようですが、一般の方の場合には、施しても建物解体ぐらいまでの場合が多いと思います。

そして、その土地に施された造成工事相当額は、一般的には土地の最終査定額に上乗せされて売り出される場合が多いようです。

したがって、話しは再び前後してしまいますが、査定対象地の比較対象地として成約事例地を見つけ出す場合には、造成工事が施されていない土地を選ぶようにしましょう。

不動産売買での土地価格査定と開発行為による固定資産税路線価の上昇

固定資産税路線価を、年ごとに注意深く見ていると、ある一部分の区域の価格上昇だけが、他の区域の上昇率に較べ、突出している場合があります。

例えば、ある場所の3年前と2年前の固定資産税路線価を比較した時に、「だいたいどこも1000円ぐらいしか上昇していないのに、そこだけピンポイントで、なぜか3000円上昇してる!」といったような場合です。

その場合、その部分だけ上昇する、何らかの理由があるのが一般的です。

そしてよくあるのが、開発行為による価格上昇です。

例えば、市街化区域にある1200平米の雑種地が、開発行為によって綺麗な宅地造成地に生まれ変わった、などの場合です。

こういう場合、その開発行為の前と後とで、その土地の固定資産税路線価が突出して上昇したりします。

成約事情と固定資産税路線価を用いて、土地の価格査定の比較対象地を見つけ出す場合には、その点を考慮する必要があり、そのような急な価格上昇が見られる土地は、なるべく避けましょう。

なお逆に、ある土地を開発行為を施して売り出すような場合には、そのような土地を参考にする必要があります。

不動産売買での土地価格査定では、必要に応じて売主様の事情も考慮

これまで述て参りました通り、不動産売買で土地の価格を査定する場合には、成約事例と固定資産税路線価を用いて行うことができます。

しかし、その物件を実際に売り出す場合には、当然のことながら、その査定価格に対する売主様の同意が必要です。

売主様が不動産を売却しようとする場合、そこには様々な事情がある場合があります。

「急いでなので高めの価格で売りたい」とおっしゃる方もいらっしゃれば、「少しぐらい安めででも、早めに決着させたい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

また、お客様の中には、その不動産に抵当権に基づく債務が付いていて、少なくとも、その債務を完済できるだけの価格でないと売らない、とおっしゃる方もいらっしゃいます。

更に売主様によっては、不動産会社による査定価格とは別に、ご自身で「せめて○○万円で売りたい」という額が、結構いらっしゃいます。

お客様から、不動産の売却の依頼を承ったら、不動産そのものの価格の査定ももちろん大切ですが、その不動産は不動産会社のものでなく、売主様のものである以上、当たり前ですが、売主様のご意向をしっかりヒアリングすることが極めて大切です。

売主様の不動産を売却する際には、売主様のこのような事情や意向を踏まえた上で、最終的な価格を設定することになります。

不動産売買営業員による価格査定と不動産鑑定士による不動産鑑定評価

宅建の試験勉強をやったことがある方はわかると思いますが、不動産の分野では、不動産鑑定士という方々による、不動産鑑定評価というものがあります。

不動産鑑定士とは、とても難易度の高い国家試験をパスした方々がもっている専門資格です。

そして不動産鑑定評価とは、不動産鑑定士が、不動産鑑定評価基準というものに基づいて、その専門知識を用いて判断した、経済情勢・市場状況を踏まえて適正な価格のことを言います。

不動産鑑定評価基準とは、国道交通省が出している、約70ページに渡る不動産鑑定評価の基準を説明したもので、インターネットでも閲覧することができます。

また不動産鑑定評価書について言えば、例えば、国土交通省が出している「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のホームページで、公示地価を調べた際に、その固有のページの鑑定評価書の詳細表示をクリックすると、閲覧することができます。

これらをご覧頂くとお分かり頂けると思いますが、これらに記載された内容は、不動産会社の売買営業員でも直ちに理解できるようなものでなく、とても難しい内容で、不動産鑑定士による不動産鑑定評価が、いかに専門性の高いものであるかがわかります。

すなわち、不動産会社による価格査定と、不動産鑑定士による不動産鑑定評価とでは、目指す方向性はほぼ同一であるものの、査定者ないし鑑定者に求められる知識や技量、価格の精度、価格に対する社会的責任度等については、明らかに別モノであると言えます。

なお上述したような、不動産会社が土地売買の価格査定で一般的に用いる手法は、不動産鑑定評価における取引事例比較法を、簡素化した方法であると言えます。

まとめ

いかがでしたか?

不動産売買の土地の価格査定は、成約事例の価格や固定資産税路線価に適切な修正を加える必要がある場合があります。

また、個別的要因を的確に捉え、その想定額を算出し、査定額に反映させるなど、難しい点も多いです。

是非この機会に、その一般的なやり方を、まずは知識として、知って頂けたらと思います。

最後にもう一度、内容を確認しておきましょう。

□不動産売買で土地の価格査定に用いるもの

・レインズ等の成約事例

・固定資産税路線価

□用いる固定資産税路線価には、年ごとの差異を考慮

□比較対象地に相応しい成約事例地

1.高低差が無いく

2.正方形や長方形

3.前面道路が建築基準法の道路

4.土砂災害警戒区域等、建築制限がかけらない

□土地の価格査定におけるマイナスの個別的要因

・高低差

・旗竿地

・前面道路が私道を含む位置指定道路

・土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内

・宅地造成工事規制区域内

・前面道路に上下水道が無い

・土地上の高圧電線と電力会社の地役権

・その他

□売り出し価格の設定で考慮すべきこと

解体費用/確定測量費用/宅地造成工事費用

□固定資産税路線価の上昇要因

開発行為など

□不動産の売り出しには、売主様の事情等を要考慮

□不動産売買営業の価格査定と不動産鑑定士による不動産鑑定評価

別モノ

この記事は、以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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