宅建協会に所属する宅建業者にとって、必須アイテムである宅建協会サイト、しかしここで検索できる物件以外にも、宅建業者として、扱い方を押さえておきたい物件があるのをご存じですか?
実は、この記事を読めば、その辺りのことがご理解頂けます。
この記事では、宅建協会に所属する宅建業者が活用する宅建協会サイトと、一般の方向けサイト及びレインズとの関係性について、また、その関係性を理解しない方に、稀に見る誤解について、ご説明します。
この記事は、不動産売買経験が豊富な方には当たり前の内容です。
でも初心者の方には、きっと新鮮な内容だと思います!
では、どうぞ。
(注)
・この記事で言う宅建協会とは、全国宅地建物取引業協会連合会に加盟する各都道府県の宅地建物取引業協会のことです。
・この記事の内容は、全日本不動産協会の宅建業者、及び営業保証金の供託による宅建業者に携わる売買担当の方には、適した内容とは言い難い内容かと存じます。よろしければ、参考としてお読み頂けたらと思います。
一般の方向けサイトで得た物件情報は、宅建協会サイトでの確認が必要
今仮に、宅建協会に所属する、1人の事業主さんが居るとします。
その事業主さんは、株式会社リクルート様が運営するSUUMOや、株式会社LIFULL様が運営するLIFULL HOME’Sなど、いわゆる「一般の方向けサイト」で見つけた物件を、そのままお客様に提案しました。
この事業主さん、とても大切な確認行為を飛ばしてしまっています。
何でしょう?
宅建協会サイトで、その物件が検索できるかどうかの確認です。
実は、物件を売り出そうとする業者は、宅建協会サイトには物件を登録せず、一般の方向けサイトにだけ掲載する場合があります。
宅建協会の会員業者は、宅建協会サイトに物件を登録することで、レインズに登録しています。
レインズ登録は、専任媒介及び専属専任媒介を取引態様とする場合は義務ですが、売主及び一般媒介の場合は義務ではありません。
(*取引態様とレインズの登録業務に関する詳細は、よろしければ以下の記事をご一読ください。)
物件を売り出そうとする宅建業者は、売主及び一般媒介を取引態様とする場合、他の業者が仲介に入るのを退けつつ、自らが買い手と結び付く手段として、一般の方向けサイトにだけ物件掲載する場合があるのです。
この場合、一般的には他の業者は仲介に入れません。
一般の方向けサイトで検索して見つけた他業者売り出し物件は、事業者で扱えるかどうか、宅建協会サイトを検索し、しっかりと確認しましょう。
ただしこの確認行為は、物件を売り出す業者が、宅建協会に所属する業者である場合に限り成立します。
と申しますのも、実は宅建業者は、宅建協会に所属する業者が全てではないのです。
宅建協会サイトでは検索できないが、レインズで検索できる物件とは
全日本不動産協会の宅建業者、及び営業保証金の供託による宅建業者の売り出し物件
実は宅建業者は、宅建協会に所属している業者以外に、全日本不動産協会というところの傘下の業者(通称:全日の宅建業者)と、営業保証金というものを供託して成った業者とがございます。
(*宅建業者の種類についての詳細は、よろしければ以下の記事をご一読ください。)
したがって宅建協会サイトには、全日の宅建業者が扱う物件、及び営業保証金の供託による宅建業者が扱う物件は、検索されません。
そして実は、宅建協会の業者、全日の業者、営業保証金の供託による業者、これら全ての宅建業者が登録した物件を検索できるのが、レインズなのです。
統計によれば、宅建協会に所属する宅建業者は、国内の全宅建業者の実に8割程度に相当するそうです。
したがって宅建協会サイトは、登録されている物件数も潤沢なケースが多く、時に宅建協会の業者は、レインズでの物件検索を要することなく契約を成立させるケースもあるようです。
しかし宅建協会サイトは、あくまでも、全国宅地建物取引業協会連合会の傘下にある各都道府県の宅地建物取引業協会サイトであり、扱える物件の全てが登録されているわけではありません。
したがって、その物件が、宅建業者として扱えるかどうかを正しく判断するには、宅建協会サイトでの確認だけでは、実は不十分なわけです。
正しく判断するには、レインズを確認する必要があるのです。
一般の方向けサイトで得た物件情報を、レインズで確認すべき理由
この記事の最初の項で、「一般の方向けサイトで得た物件情報は、宅建協会サイトでの確認が必要」と申し上げました。
しかしこれは、繰り返しになってしまいますが、物件の売り出し業者が、宅建協会の業者である場合に限ります。
この確認方法では、売り出し業者が、全日の業者、あるいは営業保証金の供託による業者である場合に、確認漏れになってしまうのです。
慣れてくれば、業者名を見ただけで宅建協会の業者かどうか解るようですので、パッと業者名を見て、サッと宅建協会サイトを確認すればこと足りるようです。
しかし最初のうちは、しっかりとレインズを確認しましょう!
一般の方向けサイトで得た物件情報を、宅建協会サイトで確認したら存在しておらず、かつその物件の取引態様が売主、あるいは一般媒介だったとします。
そういう場合であっても、レインズにだったら登録されているケースはございます。
レインズへの物件登録は宅建協会サイトから
ここで、宅建協会に所属する宅建業者の、レインズの登録方法について確認しておきます。
宅建協会に所属する宅建業者は、宅建協会サイトに物件登録することで、レインズに登録します。
レインズに、ダイレクトに物件登録するということはありません。
(注)
宅建協会のみならず、全日本不動産協会に所属する宅建業者も、そこが運営する物件サイト(通称:ラビーネット)に物件登録することで、レインズ登録します。
また、営業保証金の供託による宅建業者も、不動産流通経営協会か全国住宅産業協会に所属することで、レインズを活用できますが、
その物件登録も、やはり所属団体が運営するサイトを介しての登録となります。
一般の方向けサイトと宅建協会サイトとレインズとの関係性を理解しない方に、稀に見る誤解
最後に改めて、一般の方向けサイトと宅建協会サイト、そしてレインズとの関係性を理解することの大切さを、別の観点から申し添え致します。
実は、宅建業に携わる方々の中に、「あの業者はオトリ物件をやっている」とか、「あの業者は物件の抱え込みをやっている」など、根拠なく他業者を批判する方がいらっしゃいます。
しかし、よくよく話を聞いてみますと、この記事でご説明したような仕組みをご存じないことから来る、誤解である場合が少なくないようです。
とりわけ、異業種から新規参入された、事業主さんに、そのような誤解をされる方をお見受けします。
私たちには、そのような方々のこの手の発言が、正しいのか誤解なのかを聞き分ける知識が必要なようです。
まとめ
いかがでしたか?
この記事が、お客様、及び他業者様との円満な関係構築の一助となれば幸いに存じます。
最後にもう一度、内容を確認しておきましょう!
□一般の方向けサイトと宅建協会サイト
取引態様が売主、あるいは一般媒介の場合、一般の方向けサイトでは検索できるが宅建協会サイトではできない場合あり(ただし宅建協会の業者内でのこと)
□宅建協会サイトとレインズ
・宅建協会サイトには、全日の業者、及び営業保証金の供託による業者の物件は検索できない。
・一般の方向けサイトで得た物件情報は、宅建協会サイトだけではなくレインズでも確認が必要
□レインズへの物件登録
宅建協会サイトに物件を登録すれば、自動的にレインズにも登録される
□各サイトの関係性を理解しない方に稀に見る他業者批判
正しいか誤解かを聞き分ける知識が必要
この記事は以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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