テナントのA工事・B工事・C工事とは?その区分や原状回復等について

不動産会社で店舗・事務所等、テナント営業に携わっていると、A工事・B工事・C工事という言葉を耳にしませんか?

このA工事・B工事・C工事、いったいどういう意味なのでしょう?

この記事では、店舗・事務所等、テナント営業の分野で日常的に用いられる、A工事・B工事・C工事について、わかりやすくご説明します。

では、参りましょう!

目次

店舗・事務所等、テナント(事業用建物)賃貸物件における工事の種類

店舗や事務所などのテナント(事業用建物)物件では、テナントが入れ換わるたびに様々な工事が発生します。

今仮に、ビルの1区画を借りていた事務所が退去し、そこに美容室が入ることになったとします。

この場合、想定される工事としては、まず専有部分の内装工事があります。

なおこのビルは、各専有部にトイレや洗面所が無くて、それらは各階の共有部に備わっているビルだったとします。

するとこの場合、更に想定される工事として、専有部分への給排水工事があります。

なぜならこのタイプのビルでは、各専有部に給排水設備が設けられていない可能性が高いからです。

美容室には給排水設備は必須でしょうから、自分達の専有部でもそれが機能するように、工事しなければなりません。

さてここで、考えてみたいことが2つあります。

まず1つ目は、工事費用の負担についてです。

これら内装工事と給排水工事の工事費用は、ビルオーナー側と美容室側、どちらが負担するのが適切でしょう?

答えは、美容室側です。

まず内装工事は、美容室側からすると、自分達が借り受けた専有部の工事なので、自分達だけの工事であり、いわばビルオーナーは関係ありません。

よって工事費は美容室側が負担します。

更に給排水工事ですが、こちらは共有部にある給排水設備から美容室まで、新たに別の管を施して、美容室でも給排水が機能するようにする工事です。

この工事も、そもそもが美容室の為の工事なので、美容室が費用を負担するのが一般的です。

次に、考えてみたいことの2つ目です。

これら内装工事と給排水工事は、ビルオーナー側と美容室側、それぞれどちらが工事を発注するのが適切でしょう?

答えは、内装工事は美容室側、給排水工事はビルオーナー側が発注するのが一般的とされています。

まず内装工事ですが、これはあくまで美容室の専有部内の工事なので、ビルオーナーとしても、テナントである美容室側に自由に業者選定してもらって差し支えない、と捉えるとができます。

美容室側は、付き合いのある業者や、相見積もりで低価格でやって頂けそえな業者に、いわば自由に工事を発注することができるわけです。

では、給排水工事はどうでしょう?

この工事は必然的に、共有部分も扱うことになります。

そして一般的に、ビルの共有部分の維持管理義務はビルオーナー側にあります。

ビルオーナー側からしてみたら、いくら一テナントの為の工事とは言え、テナント側に工事発注を委ね、万が一その工事に不備があって、共有部が一時的でも機能しなくなったりしたら、困ってしまいます。

そのような背景から、共有部を扱うことになる工事は、借りそれが一テナントの為のものであっても、ビルオーナーが発注するのが一般的とされています。

これらを整理すると、下記のようになります。

【美容室の内装工事】

・費用負担:美容室側

・工事発注:美容室側

【美容室に給排水を機能させる工事】

・費用負担:美容室側

・工事発注:ビルオーナー側

そして上記【美容室の内装工事】のように、工事費用をテナント側が負担し、工事発注もテナント側が行う工事のことをC工事と言います。

また上記【美容室に給排水を機能させる工事】のように、工事費用はテナント側が負担しますが、その工事発注はビルオーナー側が行う工事のことをB工事と言います。

これらC工事とかB工事とのことを、内装工事等の分野で工事区分と言います。

この工事区分について、以下に整理しておきます。

内装工事等における工事区分、A工事・B工事・C工事とは?

そもそも内装工事等における工事区分には、A工事・B工事・C工事という、3つの種類があります。

これら3つは、その工事の費用負担、及び工事発注を、ビルオーナー側とテナント側のどちらが行うかによって区分されています。

下記の通りです。

A工事とは

A工事とは、ビルオーナー側が工事を発注し、その費用負担もビルオーナー側が担う工事のことを言います。

ビルの外壁工事や、エレベーターの部品交換工事、その他ビル全体に関わる様々な工事が、このA工事になります。

B工事とは

B工事とは、ビルオーナー側が工事を発注するものの、その費用負担はテナント側が担う工事のことを言います。

その工事が行われることでメリットを得るのは、その工事を要求したテナントに限られます。

しかしその一方で、その工事は必然的に共有部を扱うことから、費用負担はテナント側、工事発注はビルオーナー側というふうに、複雑な形態になります。

上記例のように、オフィスビルに美容室やクリニックが入る場合などに、そのテナントの利益のために給排水工事を施す場合がこれにあたります。

また例えば、主に軽飲食が入っている飲食ビルに、重飲食が入ることになり、その区画にだけ、電気の供給量を増やすための工事を施す場合なども、 B工事が採用されたりします。

その他ケースに応じ、様々なタイプのB工事があります。

C工事とは

C工事とは、テナント側が工事を発注し、その費用負担もテナント側が担う工事のことを言います。

主にテナントが借り受ける、専有部内の内装工事等がこれに当たります。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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