【賃貸】月極駐車場の車庫証明申請と保管場所使用承諾証明書の書き方

不動産会社に勤務していると、月極駐車場等をお借り頂いているお客様から「車庫証明を発行してもらえませんか?」と依頼を受けませんか?

お客様方が言うこの車庫証明、実は保管場所使用承諾証明書のことであることを、ご存じでしょうか?

この記事では、不動産会社において、新人の方でも任されるケースが多い、保管場所使用承諾証明書の発行業務についてご説明します。

併せてこの保管場所使用承諾証明書と、車庫証明との違いについてもご説明します。

入社して間もない頃に、右も左も分からないまま保管場所使用承諾証明書の発行業務を任された方々の中には、その後もよく分からないままになっている方が少なくないのではないでしょうか?

この機会に是非、おさらいしてしまいましょう!

では、どうぞ。

目次

月極駐車場等の賃借人が保管場所使用承諾証明書や車庫証明を必要とする理由

勤務先の不動産会社が月極駐車場等を管理していると、賃借人様方から車庫証明(正しくは「保管場所使用承諾証明書」)の発行を求められと思います。

そもそも賃借人様方は、何故このような書類を求めるのでしょう?

それは自動車の使用者は、自動車の保管場所を確保しなければならず、かつ確保したことを証明する書面を提出しなければならないからです。

仮にある方が、自動車販売店から自動車を購入したとします。

しかしその方は、その自動車を保管すべき場所を確保していませんでした。

この場合自動車販売店は、その方に自動車を引渡すことはできません。

確保しそのことを証明する書面が提出されない以上、その方に自動車が納車されることはないのです。

このことは、自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)という法律の第4条という箇所で、明確に定められています。

(保管場所の確保を証する書面の提出等)
第四条 道路運送車両法第四条に規定する処分、同法第十二条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更に係るものに限る。以下同じ。)又は同法第十三条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更を伴う場合に限る。以下同じ。)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面で政令で定めるものを提出しなければならない。ただし、その者が、警察署長に対して、当該書面に相当するものとして政令で定める通知を当該行政庁に対して行うべきことを申請したときは、この限りでない。

自動車の保管場所の確保等に関する法律 第四条 e-Govポータル 『デジタル庁』

保管場所使用承諾証明書と車庫証明との違い

ところで月極駐車場等を賃借するお客様方は、「車庫証明取るのに必要な書類をください」とか、「車庫証明を取りんですけど…」といったような言い方で、私たち不動産業者に依頼されるケースが多いと思います。

またお客様の中には、私たち不動産業者に「車庫証明出してください」とおっしゃる方もいると思います。

そのような背景から私たち不動産業者のほうも、「不動産業者が発行する書面=車庫証明」と認識してしまいがちだと思います。

ところが実は、不動産業者が発行するのは車庫証明ではありません。

保管場所使用承諾証明書という書面です。

お客様方はともかく、私たち不動産会社の従業者は、これら2つの違いについては、やはり一通り理解しておきたいところだと思います。

下記にてご説明します。

この機会に押さえてしまいましょう!

保管場所使用承諾証明書とは

上記で自動車の使用者は、車庫法の第4条に基づき、自動車の保管場所の確保を証する書面を提出しなければならない、と述べました。

ここで言う「自動車の保管場所の確保を証する書面」とは、保管場所の地図や、住所確認書類など数点ありますが、実はそのうちの1つこそが、保管場所使用承諾証明書になります。

保管場所使用承諾証明書は、自動車の使用者が、その保管場所を確保したことを証明するための大切な書面の1つ、というわけです。

なおこれら書面の提出先は警察になります。

自動車の使用者自ら提出する場合もあれば、自動車販売店の担当者が代理で提出する場合もあります。

また保管場所使用承諾証明書の発行元は、その駐車場の所有者、もしくは管理者になります。

私たち不動産会社は、ここで言う管理者(不動産会社自ら所有している場合は所有者)に該当します。

よって月極駐車場等を賃借するお客様方は、私たちの元に保管場所使用承諾証明書の発行を依頼なさるわけです。

車庫証明とは

車庫証明という言葉は、実は通称です。

正式には、自動車保管場所証明書と言います。

そして自動車保管場所証明書とは、ややこしいですが、「自動車の保管場所の確保を証する書面」を、提出したことを証する書面になります。

自動車の使用者は、車庫法の第4条に基づき、自動車の保管場所の確保を証する書面を提出すべく、保管場所使用承諾証明書や地図等を取得し、警察に提出します。

警察はその提出を受け、書面に不備がないかをチェックします。

そして不備がなければ、自動車保管場所証明書(通称:車庫証明)を、自動車の使用者本人に交付するわけです。

硬く申しますと、自動車保管場所証明書とはいわば、自動車の使用者が、車庫法の第4条に基づく義務を履行したことの証として、公的機関である警察が交付する書面であるわけです。

保管場所使用承諾証明書を発行する際の注意点

ここまでで、私たち不動産会社が発行するのは車庫書面でなく、保管場所使用承諾証明書でおることが、お分かり頂けことと思います。

ではその保管場所使用承諾証明書を発行する際に、気をつけておきたいことは、どういうことでしょう?

以下にまとめました。

保管場所使用承諾証明書の書式は管轄警察署のホームページから取得可

保管場所使用承諾証明書の書式は、それぞれの警察署のホームページからダウンロードすることができます。

会社によっては社内の共有フォルダ等に書式が格納してあ場合もあるでしょうが、それが無くても、警察署ホームページから取得できます。

保管場所使用承諾証明書は発行者が記入する

不動産会社によっては、実務において、保管場所使用承諾証明書の記名・押印欄への記名・押印だけ済ませ、あとは空欄のまま賃借人様にお渡ししている場合もあるようです。

しかし警察側としては、保管場所使用承諾証明書の作成者を、発行者としています。

すなわち、不動産会社が管理者である月極駐車場等の保管場所使用承諾証明書は、管理者である不動産会社の従業者が記載を完了させて記名・押印し、賃借人様に発行するのが原則です。

保管場所使用承諾証明書の使用期間について

保管場所使用承諾証明書には、使用期間を記載する欄がありますが、その欄の記載に際しては、気をつけなければならないことが2つあります。

まず1点目は、使用期間を最低でも1ヶ月以上にする必要がある、ということです。

使用期間が1ヶ月に満たない場合、原則として警察署は保管場所使用承諾書を受領してくれません。

この点は注意しましょう。

2つ目は、保管場所使用承諾証明書の使用期間は、駐車場契約書の契約期間の範囲内てなければねらない、という点です。

賃借人様がその駐車場を保管場所にできるのは、当たり前ですが、その駐車場を賃借しているあいだに限られます。

したがって保管場所使用承諾証明書の使用開始日を、駐車場契約書の契約開始日より前にすることはできません。

同様に使用終了日を、契約終了日より後にすることもできません。

気をつけなければならないのは、契約更新時に更新料等が発生する、期間の定めを設けた契約の場合で、契約残期間が1ヶ月に満たない場合です。

その場合そのままでは、保管場所使用承諾証明書の使用期間を1ヶ月以上とすることはできません。

そういう場合、先に駐車場契約の更新手続きを済ませてから、保管場所使用承諾証明書を発行するようにしましょう。

保管場所使用承諾証明書の記名・押印欄の日付は忘れずに

保管場所使用承諾証明書の記名・押印の欄に、日付を記載する欄があります。

この日付は、保管場所使用承諾証明書の発行日を意味します。

忘れないように記入しましょう。

保管場所使用承諾証明書には所在図と配置図を添える

自動車保管場所証明書(通称:車庫証明)の申請には、保管場所使用承諾証明書と一緒に、保管場所を明らかにする書類も提出する必要があります。

したがって、対象となる駐車場が何処にあるか、更には対象となる自動車が、その駐車場内のどの区画に保管されるか、分かるものを提出する必要があります。

まずは保管場所となる駐車場を含む地図を出力し、対象となる駐車場をマーキングしたものを作成しましょう。

更にその駐車場の配置図等を用意し、対象となる自動車を保管する区画をマーキングしたものを作成しましよう。

配置図は、会社で作成したものがあればそれを活用すれば良いでしょうし、無ければ自ら手書きで作成したものを提出しても大丈夫です。

これら保管場所の地図と配置図は、一般的には依頼を受けた不動産業者が作成します。

保管場所使用承諾証明書と一緒に作成し、発行するようにしましよう。

保管場所は居住地から2km以内

大前提として、自動車の保管場所は、その自動車の使用者の居住地との距離が、直線で2km以内でなければならない、とされています。

例えば駐車場を借りようとする方にお住まい先の住所を聞いたら、当該駐車場との距離が、2kmよりも遠かったとします。

保管場所使用承諾証明書には、保管場所の位置の記載欄と、使用者の住所を記載する欄がありますが、これら2つの所在地の距離が2kmよりも遠かったら、保管場所使用承諾証明書は受領されません。

この点はしっかり押さえておきましょう。

保管場所使用承諾証明書に関する質問等は管轄の警察署へ

不動産会社で月極駐車場等を管理していると、様々なタイプの方が問い追わせてくるとおもいます。

したがって保管場所使用承諾証明書の発行依頼も、様々なタイプの方々からご依頼頂くことになり、場合によってはその場で判断てかないご質問を受ける場合もあると思います。

それらご質問の問い合わせ先は、管轄の警察署になります。

管轄の警察署に電話して、保管場所使用承諾証明書に関する質問である旨を伝え、交通課に回して頂いた上、質問するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

保管場所使用承諾証明書や自動車保管場所証明書(通称:車庫証明)については、日々の業務の中で再確認する機会は、なかなか無いと思います。

是非この機会に、押さえてしまいましょう!

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□保管場所使用承諾証明書とは

・自動車の使用者が、その保管場所を確保したことを証明するための書面

・自動車保管場所証明書(通称:車庫証明)の申請に必要な書面

【発行】駐車場の所有者・管理者

□自動車保管場所証明書(通称:車庫証明)とは

「自動車の保管場所の確保を証する書面」を、提出したことを証明する書面

【交付】警察署

□保管場所使用承諾証明書発行の注意点

・書式は警察署のホームページからダウンロード可

・不動産(管理)会社が漏れなく記入の上、記名・押印して発行するのが原則

・使用期間は駐車場契約書の契約期間の範囲内

・所在図と配置図を要添付

・居住地から直線2km以内

・不明点は管轄の警察署に要確認

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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