営業保証金の供託による宅建業者と保証協会の社員の宅建業者

実は宅建業者には、営業保証金というものを預けて成った業者と、保証協会というものに加わって成った業者があるのをご存じですか?

この記事では、これらについておおまかにご説明します。

また宅建業者は、専任媒介などで物件を預かった際、指定流通機構という業者向け情報サイトにその物件を登録しなければなりませんが、それには特定の団体に加わる必要があります。

この記事では、その団体についてもご説明します。

この記事を読めば、宅建業界の全体像がザックリ掴めますよ!

では、どうぞ。

目次

営業保証金とは

実は宅建業者になるためには、金銭等を供託(きょうたく)しなければならないことになっています。

供託とはおおまかに申しますと、国に金銭等を預けることです。

そして、この時の供託すべき金銭等のことを、営業保証金と言います。

さて営業保証金はいくらでしょう?

1000万円です。

私たちは、宅建業を開業しようとする場合、営業保証金として1000万円を供託しなければならないのです。

1000万円、デカいですよね。

宅建業者に勤務する方々の中には、機会があったら独立したいとお考えの方もいらっしゃると思います。

もう少し優しい金額にならないものでしょうか?

そこで登場するのが保証協会です!

以下にご説明します。

保証協会とは

保証協会とは、宅建業者に替わって金銭等を供託してくれるところのことです。

宅建業を開業しようとする方が、60万円を納付してその保証協会に加われば、その保証協会は、その方に替わって国に高額な金銭等を供託してくれ、その方は営業保証金を供託したのと同等の地位を得られます。

ちなみに、宅建業を開業しようとする方が、保証協会に加わることを、「社員になる」と言います。

また、保証協会が供託所に供託する金銭等のことを、「弁済義務保証金」と言います。

宅建業を開業しようとする方が供託する「営業保証金」とセットで覚えてしまいましょう。

更には、宅建業を開業しようとする方が保証協会に納付する金銭のことを、「弁済業務保証金」の最後に「分担金」を付けて、「弁済業務保証金分担金」と言います。

全国宅地建物取引業保証協会と不動産保証協会

ところで、その保証協会とは、具体的にどういうところがあるのでしょう?

2021年現在、国が認めている保証協会は以下の2つになります。

・全国宅地建物取引業保証協会
・不動産保証協会

以下にそれぞれについて、少し詳しく見ていきましょう!

全国宅地建物取引業保証協会

ハトがシンボルマークの保証協会です。

統計によれば、全国の宅建業者の実に8割程度が全国宅地建物取引業保証協会の社員であるようです。

また、全国宅地建物取引業保証協会の社員になると、必然的に「全国宅地建物取引業協会連合会」という団体に加わることになります。

全国宅地建物取引業協会連合会は、各都道府県に支部があり、実務においてはそれら地方支部が、各々の宅建業者の対応窓口になります。

また、全国宅地建物取引業協会連合会は、指定流通機構(通称「レインズ」)を利用できる団体に該当します(詳細は後述します)。

レインズへの物件登録方法は、各都道府県支部によって多少異なります。

ほとんどの支部は、支部固有の物件登録システムを有していて、宅建業者は、その地方支部のシステムに物件を登録すれば、自動的にレインズにも登録されます。

しかし支部によっては、そのような支部固有のシステムを有しないところもあります。

そういう支部の宅建業者は、全国宅地建物取引業協会連合会の中央本部の統一システムに登録すれば、やはり自動的にレインズにも登録されます。

なお、全国宅地建物取引業協会連合会の統一システムを、通称ハトマークサイトと言います。

また、各都道府県支部の固有のシステムについても、一般的には、やはり支部版のハトマークサイトと言いますが、支部によっては「ハト」という言葉を使わず、固有の通称名を使っているところもあります。

不動産保証協会

うさぎがシンボルマークの保証協会です。

設立は、全国宅地建物取引業保証協会よりもはるかに早く、老舗の保証協会です。

また、不動産保証協会の社員になると、必然的に「全日本不動産協会」という団体に加わることになります。

やはり全日本不動産協会にも各都道府県に支部があり、それら地方支部が、各々の宅建業者の対応窓口になっています。

また、全日本不動産協会も、やはりレインズを利用できる団体に該当します。

全日本不動産協会の宅建業者は、中央本部の統一システムに物件を登録することで、自動的にレインズに登録しています。

なお、全日本不動産協会の統一システムを、通称ラビーネットと言います。

固有のシステムを有している都道府県支部はありません。

指定流通機構(通称「レインズ」)を活用できる団体とは

宅建業者は、お客様から専任媒介もしくは専属専任媒介で物件を預かったら、指定流通機構(通称「レインズ」)にその物件を登録しなければなりません。

(注)

指定流通機構への物件登録業務と、媒介契約の規制の詳細については、是非、以下の記事をお読み頂けてらと思います。

○○○

また一方で、そのレインズを活用するためには、宅建業者は特定の団体に加わらなければならないことになっています。

宅建業者にとって、レインズ活用は必須です。

よって宅建業者は、レインズ活用が許された特定の団体に、必然的に加わらなければならない、となります。

(注)

もしかしたら、専任媒介と専属専任媒介を一切担わず、それらの団体に加わらない宅建業者が存在するかもしれませんが、この記事では、その点の深掘りは控えます。

さてこのような、レインズの活用が許されている団体とは、どういうものでしょう?

それは、下記の4つです。

・全国宅地建物取引業協会連合会
・全日本不動産協会
・不動産流通経営協会
・全国住宅産業協会

これら4つのうちの、全国宅地建物取引業協会連合会と全日本不動産協会は、お解りにのりますよね。

全国宅地建物取引業保証協会の社員は、必然的に全国宅地建物取引業協会連合会に加わりますし、不動産保証協会の社員は、全日本不動産協会に加わることになります。

ポイントは、保証協会の社員にならず、営業保証金を供託して宅建業者となった業者です。

それらの業者がレインズを活用するためには、不動産流通経営協会か全国住宅産業協会のいずれかに加わる必要があるのです。

なお保証協会は、2つあるうちのどちらか一方の社員にしかなれません。

両方を掛け持ちで加わることは出来ないのです。

よって必然的に、全国宅地建物取引業協会連合会と全日本不動産協会の両方に加わることもできません。

しかし、全国宅地建物取引業協会連合会と不動産流通経営協会、もしくは全国住宅産業協会とを掛け持つことは可能です。

また、全日本不動産協会と、やはり不動産流通経営協会、もしくは全国住宅産業協会とを掛け持つことも可能です。

まとめ

いかがでしたか?

これから先、取引の相手方の業者が、もしご自身の勤務先業者が加わっている団体と別の団体に加わっていたら、是非この記事を読み直してみてください!

きっとお役に立てると思います。

最後にもう一度、内容を確認しておきましょう!

□宅建業者の種類

・営業保証金の供託による宅建業者

・保証協会に弁済業務保証金分担金を納付して社員となった宅建業者

*保証協会は弁済業務保証金を供託

□保証協会の種類

・全国宅地建物取引業保証協会→ハト/全国宅地建物取引業協会連合会/ハトマークサイト

・不動産保証協会→うさぎ/全日本不動産協会/ラビーネット

□レインズを活用できる団体

全国宅地建物取引業協会連合会/全日本不動産協会/不動産流通経営協会/全国住宅産業協会

*営業保証金を供託した宅建業者は、不動産流通経営協会か全国住宅産業協会に加わる

この記事は以上になります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

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