【不動産】保証会社とは?賃貸(家賃)保証や住宅ローン保証について

不動産会社で賃貸なり売買なりの営業に携わっていると、保証会社というものの存在を意識する機会があると思います。

保証会社が担う保証とは、賃貸であれば賃貸(家賃)保証、売買であれば住宅ローン等の保証になりますが、実はこの2つ、本質的にはほぼ同じです。

そこでこの記事では、保証会社というものの本質的な役割についておおまかにご説明するとともに、賃貸(家賃)保証と住宅ローン等保証それぞれの固有の部分について、補足的にご説明します。

保証会社については、賃貸営業の方は賃貸(家賃)保証に、また売買営業の方は住宅ローン等保証に精通されている方が多数いらっしゃいます。

でも例えば、日頃売買営業でバリバリやっていらっしゃる方でも、たまに賃貸の客付けに携わったりすると、「賃貸(家賃)保証って何?」となったりする場合もあろうかと思います。

この記事では、賃貸(家賃)保証と住宅ローン等保証を、包括的にご説明しますので、微力ではありますが、そのような方々にもお役立て頂けるかと思います。

では、どうぞ。

目次

保証会社とは

不動産賃貸においては、借主は一般的に月に1度、賃主に賃料を支払います。

すなわち不動産賃貸の借主は、賃料の債務者として、一定額を継続的に支払う義務を追います。

また不動産売買においては、住宅ローン等を用いて売買代金を支払った売主は、やはり月に1度、銀行等に住宅ローン等を返済します。

すなわち不動産売買の買主は、住宅ローン等の債務者として、やはり一定額を継続的に返済する義務を追います。

そして、これら賃料や住宅ローン等は、継続的であるがゆえに、どうしても滞納リスクが伴います。

保証会社とは、このような賃料や住宅ローン等の支払いないし返済が、万が一滞ってしまった場合に、債務者に代わって支払いなり返済なりを行う会社のことを言います。

債務者と債権者と保証会社の契約形態

賃料の支払いに着目した時、借主は債務者、貸主は債権者にります。

また住宅ローン等の返済に着目した時、不動産売買の買主である住宅ローンの借主は債務者、銀行等住宅ローン等の貸主は債権者になります(ちなみに金銭消費貸借契約においても借主・貸主という言葉を用います)。

こしてこれらに保証会社が関与した時は、その三者間での契約形態は、下記の通りとなります。

・債務者と債権者→不動産賃貸借契約/金銭消費貸借契約

・債権者と保証会社→保証契約

・債務者と保証会社→保証委託契約

上記で保証契約とは、債権者が万が一、約束されている賃料の支払い、ないし住宅ローン等の返済が滞った場合に、債務者に代わって支払い、ないし返済してもらうことを約束する契約です。

また上記で保証委託契約とは、債務者が万が一、賃料の支払い、ないし住宅ローン等の返済を滞らせてしまった場合に、その保証(自身に代わって弁済してもらうこと)をお願いする契約です。

保証会社による保証の2つの注意点

保証会社が関与する債務者と債権者に関することで、改めて確認しておきたいことが2つあります。

保証会社の保証料は債務者が負担

不動産賃貸借の賃料の保証であれ、住宅ローン等の保証会社であれ、その保証(委託)料は誰が負担するでしょう?

お分かりになると思いますが、それは債務者が負担します。

保証(委託)料は、債務者が保証会社に支払います。

保証会社の保証は債権者に対するもの

では保証会社の保証は、債権者と債務者、どちらのためのものでしょう?

これは債権者のためになります。

保証会社の保証(委託)料は債務者が負担しますが、その保証は、あくまで債権者のためのものになります。

したがって債務者が賃料の支払い、ないし住宅ローン等の返済を滞らせてた場合、その債務が消えて無くなるわけではありません。

保証会社による代位弁済とは

保証会社の保証における代位弁済とは、保証会社が債務者に代わって、賃料の支払い、ないし住宅ローン等の返済を、行うことを言います。

なお保証会社による代位弁済は、賃料の支払いの代位弁済と、住宅ローン等の返済の代位弁済とでは、その重みが異なります。

賃料については、多くの保証会社が、たとえ1ヶ月の滞納でも代位弁済を行う場合が多いです。

そして債務者が、その後直ちに保証会社に賃料相当額を納入すれば、引き続き物件を借続けることができる場合が多いです。

一方住宅ローンについては、一般的には、1ヶ月程度の滞納では、代位弁済は行われません。

滞納が数ヶ月間重なった場合に、代位弁済が行われます。

ただしこの場合の代位弁済は非常に重みい行為で、その後滞納が重なると、債務者は競売によって不動産を失うことになります。

保証会社による審査業績について

ご存じの通り、保証会社は債務者の債務の保証義務を行うとともに、その方が不動産賃貸借契約、金銭消費貸借契約をして大丈夫かどうか、その点を審査する義務も担います。

保証会社の審査は、賃貸(家賃)保証を行う一部の会社を除いて、個人信用情報も確認されます。

賃貸(家賃)保証会社のポイント

ここまで保証会社について、包括的にご説明して参りましたが、ここからは賃貸(家賃)保証と住宅ローン等保証それぞれについて、見ていきます。

まず保証会社の賃貸(家賃)保証からです。

賃貸(家賃)保証の保証内容や保証(委託)料などのラインナップは、住宅ローン等保証の保証に比べ、遥かに多種多様に渡ります。

保証会社としては、賃貸物件を多数管理している不動産会社に、いかに入り込めるかどえかがポイントのようで、各社様々な保証商品を揃えています。

保証会社によっては、入居審査時に、個人信用情報を確認しないところもあります。

なお賃貸(家賃)保証を扱う場合に気を付けたいのが、連帯保証人の要・不要です。

不動産業界に携わり始めた当初から、売買営業を専門にやってこられた営業員の方々の中には、賃貸(家賃)保証を活用すれば、連帯保証人は必要無いと思われている方がいいらっしゃいます。

実は賃貸(家賃)保証を活用する場合であっても、連帯保証人を必要とする保証会社は少なくありません。

また保証会社の中には、審査において、住居賃貸物件に対しては比較的積極的に承認を出すものの、事業用物件となると著しく辛くなる傾向にある会社があったりします。

上述の通り、賃貸(家賃)保証の保証商品は多種多様であることに加え、物件の用途によって、いわば得意不得意があるようです。

不動産賃貸営業において、賃貸(家賃)保証を扱う場合は、その保証内容のポイントとなる点をしっかり確認した上で、扱う必要があります。

経験豊かな不動産賃貸の営業員の方々は、保証会社の保証内容や審査承認傾向に精通している方も多く、お客様の属性をヒアリングしながら、幾つかある選択肢の中からそのお客様に適切な保証会社をセレクトし、審査に掛けたりします。

なお国土交通省では、賃貸(家賃)保証の保証会社に対する登録制度(家賃債務保証業者登録制度)を設けており、国土交通省のホームページの該当ページで、登録業者一覧を閲覧することができます。

また管理物件を数多く保有している不動産(管理)会社の中には、自社の関連会社として保証会社も運営していたりして、自社管理物件については、極力その保証会社を活用するよう、賃貸営業の従業者に求めているところもあるようです。

住宅ローン等の保証会社のポイント

上述した通り、住宅ローン等の保証における代位弁済は、一般的な賃貸(家賃)の保証に比べ、状況が深刻化した際に行われます。

保証会社による代位弁済が実施された段階では、もはや月々の返済という形態をとることができなくなっていて、任意売却という特殊な売却手法を用いなければ、その物件は抵当権が実行され、競売にかかります。

住宅ローン等の保証会社は、賃貸(家賃)保証の保証会社ほど多種多様ではありません。

大手都市銀行や大手地方銀行等は、実質的な子会社として保証会社を持っており、それらの銀行で住宅ローン等を組んだ利用者は、それら子会社の保証会社を利用することになります。

またそこまで規模が大きくない地方銀行や信用金庫等では、地域ごとに共同設立した保証会社を活用するケースもあれば、独立系の保証会社を活用するケースもあります。

まとめ

いかがでしたか?

日頃よく耳にする保証会社ですが、その全体像を捉える機会は以外にないと思います。

是非この機会に、整理して押さえてしまいましょう。

最後にもう一度、内容を確認しておきます。

□保証会社とは

不動産賃貸借契約や金銭消費貸借契約の借主が、貸主への支払いや返済を滞らせて場合に、代位弁済する責任を追う会社のこと。

□債務者と債権者と保証会社の関係

・債権者と債務者→不動産賃貸借契約/金銭消費貸借契約

・債権者と保証会社→保証契約

・債務者と保証会社→保証委託契約

□保証会社への保証(委託)料の負担と保証

保証会社の負担→債務者/保証→債権者

□賃貸(家賃)保証のポイント

・保証商品が多種多様。

・必ずしも連帯保証人が不要とは限らない。

□住宅ローン等保証のポイント

・代位弁済は重い措置。

・大手銀行→子会社/地銀や信金→共同設立会社や独立系

この記事は以上となります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして。宅地建物取引士のケイヒロと申します。40歳代半ば過ぎに不動産会社に転職し、住居賃貸営業、店舗事務所賃貸営業を経て、今は売買営業をやっています。よろしくお願いします。

コメント

コメントする

目次